News
NEWS
不惑のjaponesa(ハポネサ)inCO

不惑のjaponesa(ハポネサ)スペイン放浪記 その1

不惑のjaponesa(ハポネサ)スペイン放浪記 その1

バルセロナ。
地中海に面するスペイン北東部カタルーニャ地方の港町。そして、ガウディーやピカソ、ミロの芸術品が街中に溢れる文化都市。多くの日本人観光客を魅了する街――。

 
12年前、このバルセロナの地に初めて立ったとき、芸術作品よりもこの街の“色”に私は深く興味を抱いた。太陽が降り注ぐ強い光線、青い海、白い家並みを想像していた私は、ピンクや淡い緑、茶などのパステルカラーが目立つ穏やかな色合いに、ある種の安堵感を覚えたのだろう。

 
■ やっぱりガウディでしょ
そんな私にバルセロナを再び訪れる機会がやってきた。2012年1月に始まったマドリードの大学での留学生活で、初めての長期休暇の機会を得たのだ。ピソ(スペイン式アパート)にいてもつまらないので、バルセロナにいる友人J君と日本人の奧さんYさんを訪ねることにした。

 
今回のバルセロナ訪問では、ガウディの建築物をできる限り巡る“ガウディ祭り”をテーマにした。バルセロナに長年住む友人夫妻にお世話になりながら、3日間バルセロナを堪能できることになった。2月上旬のバルセロナの平均気温は10~15度らしいが、訪問した時はマドリードとほぼ変わらない5度程度。寒さに震えながらの“祭り”となった。

 
■Casa Batllo(カサ・バトリョ)
バルセロナ市の中心街にあるグラシア通りに面するCasa Batllo(カサ・バトリョ)。1904年から1906年にかけて、ガウディは大繊維業者ジュゼップ・バッリョ・イ・カザノバス氏の依頼でこの邸宅を改築することになった。

 
偉大な建築物かつ世界遺産でもあったため、壁にでも覆われた特別区域になっているかと思いきや、グラシア通りを歩いているとカサ・バトリョはすっとその姿を現した。世界遺産すら街に溶け込んだこの景観こそが、バルセロナの魅力なんだなぁと再発見する。

 
casa batllo_1
casa batllo_2
街に溶け込み、すっと現れたCasa Batllo(カサ・バトリョ)

 
「この施設の音声ガイドはよくできているから借りてみろ」と強く友人J君から薦められる。美術館でレンタルする音声ガイドには、ネガティブなイメージしか無かった。美術品の説明を押しつけられ、その美術品と鑑賞者のコミュニケーションの妨げになり、想像力を抱きにくくする邪魔ものだと感じていた。だから一瞬躊躇したが、入場料に音声ガイドが含まれていたこともあり、期待もせずに借りてみた。

 
しかーし!!この音声ガイドはこれまで経験したことのない素晴らしいものだった。まず解説に押しつけ感がない。きっと何度も推敲されたのだろう。そして何より、“間”を大切にしている。ナレーターはきっとカサ・バトリョを訪れ、説明の対象物を深く理解したうえで音撮りに挑んだのではないか・・・そう想像できるほどに完成度の高い音声ガイドであった。

 
やっぱり食わず嫌いは良くない。40歳を過ぎてスペインにいるのだから、何にでもチャレンジしてみよう。J君ありがとう!

 
建物は曲線が多く、タイルやステンドグラスが多用されている。各部屋や廊下では、太陽の自然光をふんだんに取り入れている。遊び心が満載だ。ドア1枚、ドアノブ1つにもガウディの息吹を感じられる。

 
こんな部屋で毎日過ごせた人がいたなんて、何と羨ましいことか。

 
—————————————————————————————–
Written by 浅野藤子(あさの・ふじこ)
山形県山形市出身。高校3年時にカナダへ、大学時にアメリカへ留学。帰国後は、山形国際ドキュメンタリー映画祭や東京国際映画祭で約13年にわたり事務局スタッフとして活動する。ドキュメンタリー映画や日本映画の作品選考・上映に多く携わる。大学留学時代に出会ったスペイン語を続けたいという思いとスペイン映画をより深く知りたいという思いから、2011年1月から7月までスペイン・マドリード市に滞在した。現在は、古巣である国際交流団体に所属し、被災地の子供たちや高校生・大学生の留学をサポートしている。
【最近の私】出張先の沖縄は梅雨入り。天然パーマの私の髪は、縦ロールがきいたカーリーヘアーに。先日もお得意様が「浅野さん、髪型変えたんですねー」。「いえいえ、ただ単に湿気で髪が丸まっているだけです(泣)」
—————————————————————————————–

 
 第14回 マドリード、映画あれこれ その3

 
▶ ブログ一覧