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“PROゼミ”参加者がみた!「スウェーデン映画祭」最新3作品

“PROゼミ”参加者がみた!「スウェーデン映画祭」最新3作品

9月19日(土)より東京・渋谷の映画館「ユーロスペース」で開催される「スウェーデン映画祭2015」。同映画祭の「コンテンポラリー・スウェディッシュ・シネマ」特集内の3作品『同窓会/アンナの場合』『ストックホルム・ストーリー』『ホテルセラピー』の日本語字幕は「日本語字幕PROゼミ」にて制作されました。実際に字幕を作ったJVTA修了生は作業を通じて何を感じたのか? 各チームのメンバーから一人ずつ、代表としてお話をうかがいました。

※「日本語字幕PROゼミ」とは?
日本映像翻訳アカデミーの英日映像翻訳科・実践コース修了生を対象にしたゼミ方式の課外講座。映画祭などで上映される長編劇映画を、複数メンバーで翻訳する。映像翻訳ディレクターによる2回のフィードバックを経て、日本語字幕版を完成させる。
 
『同窓会/アンナの場合』
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本作が長編デビュー作となるアンナ・オデル監督の実体験を基にした、フィクションとノンフィクションの世界が入り交じる異色の作品。●アーティストとして名声を得たアンナは20年ぶりに開かれた同窓会で、いじめを受けていた過去についてスピーチを始める。だが、その“同窓会”とは実際の同窓会の招待状が届かなかったアンナが、撮影のために役者を雇って演じた架空のものだった。後日、アンナは元同級生たちを訪ね、その映像を突きつける。
監督:アンナ・オデル
2013ベネチア国際映画祭 国際映画批評家連盟賞
2012スウェーデン・アカデミー賞 作品賞、脚本賞
 

字幕をつけ始める前に、インタビューや
批評をできるだけ読みました
――『同窓会/アンナの場合』チーム 北嶋ゆきえさん

「『同窓会~』は映像翻訳者としての二つの目標を同時にかなえてくれた作品です。一つは現役の芸術家の作品に字幕をつけるということ。もう一つは、担当した映画が劇場で公開されるということです。これらの目標が、タイトなスケジュールを乗り越える原動力になりました」。同作品には、何度も観たくなる魅力があるとか。「この映画は2幕構成の作品で、ストーリーの進行がとてもユニークなんです。おすすめのシーンは第1幕の最後、主人公・アンナの独白シーン。アンナは全編を通して“あること”を行っていて、その理由をこの場面で吐露します。異なる文化の中で育った私たちにも驚くほどストレートに響く内容です」。監督のアンナ・オデルについても調べたという。「『同窓会~』の脚本は監督の実体験がベースとなっています。字幕をつけ始める前にアンナ・オデルという人の世界観を理解したいと思い、インタビューやベネチア国際映画祭に出品されたときの批評をできるだけ読みました。その時に触れた監督の言葉が、作品の理解を深めるのに役立ち、さまざまな局面で判断基準になってくれたように思います」。「原語の音声も余すところなく楽しめるのが字幕の魅力。スウェーデン語のセリフの響きも存分に楽しんでいただければと思います」。
 

『ストックホルム・ストーリー』
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11月の雨のストックホルムを舞台に、5人の男女の人間模様を映し出す。●突然恋人に家を追い出され途方にくれるアンナ。一方、アンナを追い出したトマスは自分あての不可解な手紙の送り主を探していた。その手紙の主であるジェシカは養子縁組に失敗する。上流階級の青年・ダグラスは父親の支配から逃れようともがき、若い作家・ヨハンは“光と闇”に関する持論を証明するために、ある実験を行う。
監督:カリン・ファレーン
 
ストックホルムの街を見下ろすシーンは
朝も夜も、美しいです
――『ストックホルム・ストーリー』チーム A・Sさん

「『ストックホルム・ストーリー』は、どこか心に傷を負った5人が織りなすドラマです。深いメッセージが感じられる作品で、メインの登場人物・ヨハンの“闇の中では、ありのままの世界を見ることができる”という自説には思わずうなずいてしまいました」。スウェーデンの魅力が凝縮されたような映画だという。「ストックホルムの街を見下ろすシーンが何度も出てきます。だんだんと明るくなる朝焼けも、ネオンがきらめく夜景も、どちらもとても美しいです。また、登場人物のひとり、ジェシカのファッションとインテリアが素敵でした」。作品を観ていて、文化の違いも感じたとか。「私の担当箇所ではないのですが、“大人気のコメディアン”が出てくるシーンがあって。劇中では聴衆が大笑いしているのですが、日本人の私にはジョークの笑いのポイントがちっとも分かりませんでした(笑)」。「スウェーデンの文化はまだまだ日本に知られていないように思います。この映画祭は同国の素顔を知る貴重な機会。北欧好きはもちろん、ヨーロッパ好き、映画好きの皆さんと共に楽しめたらうれしいです」。
 

『ホテルセラピー』
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トリノ国際ゲイ&レズビアン映画祭で最高短編賞を受賞したリサ・ラングセット監督が、スウェーデン国内外で活躍しているアリシア・ビガンダーを主演に迎えて“トラウマを抱えた人々”の再生を追う。●出産をきっかけに精神のコントロールを失ったエリカはグループ・セラピーに参加。そこで出会った仲間たちと共にホテルと転々としながら“毎日自分とは違う人格を演じる”という治療を始めるが…。
監督:リサ・ラングセット
2013スウェーデン・アカデミー賞 助演女優賞
 
北欧の映画は日の光やキャンドルの灯が
登場人物を引き立てています

――『ホテルセラピー』チーム 上村遼子さん

「『ホテルセラピー』は自分自身と向き合うきっかけをくれた作品です。思い描いているような人生にならなくなったときに、自分だったらどうやって立ち向かおうとするのか? 自分の人生をこれからどう歩んでいこうか? 自然と登場人物それぞれの人生に自分を重ね合わせていました」。他の国の映画にはない“光の色”と“空気感”があるという。「エリカがセラピーのグループから離れてホテルを飛び出し、ダイニングバーにたどり着くシーンがあるのですが、その時のエリカの横顔が夕日でとても綺麗でした。北欧の映画は、日の光やキャンドルの灯が登場人物を引き立てているのだと思います。大きな窓から外の光が差し込むシーンが多かったのも印象的です」。「スウェーデン映画を観ていると、日本人や日本文化との共通点が見つかることもあり、親近感が湧いてきます。映像の邪魔にならずにストーリーを伝えられるような字幕を目指しました。気がついたらスウェーデン映画に魅了されていた、と感じる人が増えていくとうれしいですね」。
 

珠玉のスウェーデン映画11本が集結する映画祭は9月25日(金)まで開催。各作品の上映スケジュールは公式サイトを参照してください。
 

スウェーデン映画祭2015
http://sff-web.jp/