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[JVTA発] 今週の1本☆inBLG

今週の一本vol.179
『西遊記之大鬧天宮』

今週の一本vol.179<br>『西遊記之大鬧天宮』

中国では、旧正月が近づくと「賀歳映画」が注目を集め始める。「賀歳映画」とは、新年が訪れる前に新しい年を祝うための、いわゆる新春映画だ。

 
今回紹介するのは2014年の賀歳映画の1つ、鄭保瑞(ソイ・チェン)監督の『西遊記之大鬧天宮』(英題:The Monkey King)。この映画は公開から 50日間で興行収入10.5億元(約147億円)を突破し、中国映画史上、興行収入10億元を超えた3作目の映画となった。ちなみに「大鬧天宮(だいとうてんきゅう)」とは、西遊記のうち、孫悟空が生まれてから五行山の下に封じられるまでの話を指す。

 
魔界の王である牛魔王と、天界を率いる玉帝が戦って天界は破壊されるが、女媧(じょか。古代中国神話に登場する、人類を創造したとされる女神)が自ら五色の石になって天を補修する。その時、かけらの1つが人間界に落ち、“石猿”の孫悟空となる。敗北した牛魔王は、妻の鉄扇公主と一族を火焰山に隠す。一方、須菩提祖師(すぼだいそし)に弟子入りした孫悟空は東海竜宮に行き、如意金箍棒(にょいきんこぼう)を無理矢理譲ってもらう。牛魔王は孫悟空の幼馴染である如雪(九尾の狐)を殺し、孫悟空の怒りを利用して、天界の転覆を図るが…。

 
『モーターウェイ』や『アクシデント』を監督した鄭保瑞(ソイ・チェン)がアクション・ファンタジーに初挑戦した作品で、ストーリーは全くの創作。83年に中国で大ヒットしたドラマ『西遊記』を見たことがある人ならすぐ分かるはずで、大鬧天宮に対してのイメージを完全に覆される。『西遊記』を全く知らない人には楽しめる映画だと思うが、私のように、つい過去の映画やアニメと比べてしまうタイプには、ちょっとやり過ぎかなと感じたところもある。でもあの孫悟空が恋に落ちるというのは新鮮で大胆だなと思った。

 
私にとってこの映画の何が一番凄かったかというと、衣装やCGだ。5時間かけたという孫悟空のメイクは、本当にイメージ通りの“孫悟空の顔”で実に素晴らしい! またチョウ・ユンファが、青い眼で神々しい衣装を着て宙を舞い、やさしい龍に変身して戦ったりする姿もとても綺麗だ。3D制作にはハリウッドの『アバター』や『ロード・オブ・ザ・リング』などを手がけたというチームが参加。韓国、日本、ドイツなどがチームで分担して処理したCGはシーンによって完成度にバラツキを感じたが、昔の中国映画より100倍いい出来だ。

 
中国映画が好きな人は、是非見てほしい。原作に詳しい人なら、いったん原作のことを忘れて、ハリウッドのスーパーヒーロー映画を見る気分で楽しむことをお勧めしたい。

 
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『西遊記之大鬧天宮』(英題:The Monkey King)
監督:ソイ・チェン
出演:甄子丹(ドニー・イェン)、周潤発(チョウ・ユンファ)、郭富城(アーロン・クォック)
製作国:中国 / 香港
製作年:2014年
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Written by 李 寧(リ・ネイ)
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[JVTA発] 今週の1本☆
日本映像翻訳アカデミーのスタッフが、月替わりのテーマに合わせて選んだ映画やテレビ番組について思いのままに綴るリレー・コラム。最新作から歴史的名作、そしてマニアックなあの作品まで、映像作品ファンの心をやさしく刺激する評論や感想です。次に観る「1本」を探すヒントにどうぞ。