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SKIPシティ国際Dシネマ映画祭 監督3人が語る作品の見どころとこだわりの演出

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭 監督3人が語る作品の見どころとこだわりの演出

現在公開中の綾野剛さん主演作『日本で一番悪い奴ら』の白石和彌監督をはじめ、熊坂出監督や外山文治監督、中野量太監督など今注目の映画監督が賞を受賞してきたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭。7月16日にオープニングイベントが行われ、『話す犬を、放す』が上映されました。会場には熊谷まどか監督や、出演のつみきみほさん、田島令子さんら多くの映画関係者が駆け付けました。この会場でJVTAが今回英語字幕を担当した3作品の監督にお話を聞くことができました。
 

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長編部門 国際コンペティション

◆『園田という種目』太田真博監督と出演の松下倖子さん
 

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この作品は、僕自身の体験がもとになっています。私小説というか私的映画です。罪を犯して釈放された「園田」について彼の友人や職場の同僚がうわさ話をするという演劇のような映画ですが、作中に園田は登場しません。他者の目から見た姿の中に本当の園田の姿があると考え、園田を描くためにあえて園田を描かなかったのです。
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僕自身、実は字幕にすごく興味があって、洋画に付いている日本語字幕を見ながら、「長いセリフをうまく縮めてきたな」とか思いながら見ています。日本語字幕でたまに、全然違うルビをふる時があるじゃないですか? あれは語呂合わせのようなWミーニングを伝えているのかなとか。ですから自分が作った日本語のセリフがどんな英語字幕になるのか、すごく興味がありますね。
 

この作品で英語字幕にするのが難しそうなのは、格闘技の「段」ですね。園田との親密さを段に例えて「初段」「段はない」「4段かな」「7級、8級」とかいう会話をどういう風に訳すのかなと。また劇中での日本語の言葉遊び、いわゆるダブルミーニングの部分ですね。例えば「佳奈子」という人物が「かーちゃん」と呼ばれている理由には、「佳奈子」の「か」と「佳奈子」の見た目が「母ちゃん」っぽいイメージの両方を兼ねているんです。でも「mother」じゃ同じ音にならないのでこの感じは伝わらないし…。翻訳者さんはきっと悩んだでしょうね。英語字幕をじっくり見てみたいと思います。

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『園田という種目』
2015年/日本/93分
監督:太田真博
出演:松下倖子、社城貴司、白石直也、安部康二郎、野々山椿、溝口明日美、ヒザイミズキ、辰寿広美

(C)松田真子・ガノンフィルムズ
 

短編部門 国際コンペティション
 

◆『キッチンの神様』 中根 克監督
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この映画は、ある映画好きな会社の社長さんが趣味で書いているシナリオを基に作りました。ヒロインはキッチンのショールームで働くシングルマザー。本来はあまり脚光を浴びないような職場ですが、そんな中にも人間ドラマはあるんだよという想いが込められています。タイトルの「キッチンの神様」とは、沖縄の台所に飾られているヒヌカン(火の神)のことで、ヒロインや彼女が担当するお客さんの家にも飾られています。神様は身近にいるし、大事にすれば私たちの生活にそれがかえってくるはずです。子育てや仕事など現代の女性はいろいろなことで悩んでいると思いますが、この作品を見て、それでも頑張っていこうという前向きな気持ちになってもらえたら嬉しいですね。

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撮影で私がこだわったのは、子役が泣く場面での演技をナチュラルに演出したことです。変にこなれた感じにしたくありませんでした。また、作中で「手紙を書くことで初めて伝わることがある」というくだりにも思い入れがあります。手書きの文字には、その言葉だけでなく筆跡からもその人らしさが表れてきますから。スマホなどデジタルな時代だからこそ、そういうアナログの良さも見ている人に伝わればいいなと思っています。何度も観て長い時間をかけて丁寧に英語字幕をつくっていただき、ありがとうございました。

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『キッチンの神様』
2015年/日本/28分
監督:中根克
出演:金子さやか、鈴木花音、上垣保朗、紫城いずみ、武見龍磨、松野美佳、小宮咲

(C)HASHIMOTO SOGYO Ltd.
 

◆『テイク8』上田 慎一郎監督
 
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実はこの映画、自分の結婚式の4日後にクランクインしました。自分自身が結婚と夢について考える時期だったからこそ撮れた作品です。結婚式会場を舞台に映画撮影をしているのですが、監督と花嫁を演じる役者が実は恋人同士でひょんなことから花嫁の実の父親が撮影にピンチヒッターとして参加することになるコメディです。

こだわったのは、前半部分の公私混同で会話がかみ合っていない状態をいかに面白く見せるかでした。映画の撮影をしているのか、プライベートなことを言っているのか、バランスを取りながらも明快に分かるようなやりとりを考えました。作品のコンセプトとして初めからあったのは「不幸になってもいい」という花嫁のセリフです。結婚と夢を選ぶ時、たとえ不幸になってもいいと思える夢やそんな人と一緒にいられることが本当の幸せなんだという想いが込められています。セリフは、「あ、あ」「え、えー」とか2回言うなど、ああいうあいまいな感じは日本語ならではの面白さなので英語字幕にするのは難しかったのはないでしょうか? かみ合わない会話の解釈にも苦労したでしょうね。でも他の映画祭で字幕なしで上映した時に、外国の方が「日本語は分からないけどすごく面白かった」と言ってくれて、観客をもっともっと信じようと改めて思いました。会話のやりとりや表情でなんとなく人物の距離感は分かるんだなと。そういう分かりやすい画づくりも心がけていたので嬉しかったです。

『テイク8』
2015年/日本/19分
監督:上田慎一郎
出演:芹澤興人、山本真由美、牟田浩二、山口友和、細川佳央、福島龍一、北井敏浩、曽我真臣

(C)八王子日本閣
 

※この作品の英語字幕を担当した翻訳者のコメントはこちら
https://www.jvta.net/tyo/2016skipcity-prosemi/
 

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭
7月16日(土)~7月24日(日)
上映スケジュールは公式サイトをご覧ください。
http://www.skipcity-dcf.jp/