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国連UNHCR難民映画祭 初日レポート!!

国連UNHCR難民映画祭 初日レポート!!

JVTAが字幕翻訳でサポートしている“難民映画祭”も今年で12回目。東京・スパイラルホールで開催されたオープニング上映には作家・クリエーターのいとうせいこうさんと女優のサヘル・ローズさんも駆けつけました。当日のイベントやトークの様子をお届けします。

 
オープニング作品は“難民”という複雑なテーマをコメディとして軽快に描いた「はじめてのおもてなし」(旧題「ウェルカム トゥ ジャーマニー(仮)」)。ナイジェリアからドイツに逃れてきた青年ディアロと、ミュンヘンの高級住宅地に暮らすハルトマン一家の交流を描く作品で、会場は何度も笑いに包まれました。



 
上映後はいとうせいこうさんとサヘル・ローズさんが登壇! いとうさんは現在難民問題に関心が深く、世界の難民キャンプの取材に取り組んでいます。サヘルさんはイラン生まれで8歳の時に来日。女優・タレントとして活動するほか、難民となった人たちがネイリストを務めるネイルサロンの広報大使を務めています。
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いとう (映画を観て)コメディ映画のこの作品。映画館の中で人が一緒に笑うって、すごく重要な効果を生んでいると思うんです。人と一緒に映画館で見ることで「あ、これは笑っていいことなんだ」とか、「これは笑っちゃいけないことなんだ」と自然に分かる。そういうメディアが実は映画なんです。この映画が2016年にヒットしたドイツは健全な国だと思います。娯楽映画がちゃんと社会のことを映せるというのは立派なことですよね。日本ではなかなか、社会派コメディってこの頃無いなあ…。

 
サヘル 終始笑ってしまう映画でありながら、メッセージがたくさん込められた映画。見終わった後に、もう一回見たくなる映画でした。難民となってしまった彼らが日常の中で思っていることや壁に感じていることが分かるし、私たちがこの問題にどう向き合えばいいのかを自然と語りかけてくれます。これが“難民問題”が大きく取り上げられる前に撮っている映画なのが印象的です。

 
いとう やっぱり、それを先取っちゃうのが芸術の宿命というか。監督はものすごくよく調べて脚本を書いているから、観ている方もよく分かりますよね。難民が大量に流入する以前に、他者とは何か、ということを書きたかった。そしたら、時代がそのまま乗っかってきちゃった、ということなんでしょうね。それにしても、これがコメディであるということは本当に大きい。世界中でどうしようもなくなっている、下向きがちな問題をコメディにして何かを伝える――、つまり余裕をもって、大きな立場でものを見なきゃならないんだということが分かる映画でしたね。

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サヘル この作品を観て、私は表現者として、声なき声を受け止めて発信していきたいと思いました。自分たちの言葉を届けることができない人たちのメッセージを伝えるのが、今の自分の役割なんじゃないかと思っています。

 
いとう 一番最近はウガンダの難民キャンプを取材しました。難民っていうとものすごく貧しいとか、経済難民のことを思ってしまうんですけど、(実際に)見るともう、服とか、この人中流以上だなあ、と思える人たちがたくさんキャンプの中にいらっしゃいます。お金があっても、爆撃されて逃げざるを得ない、自分の土地も、何もかも失ってこのままいたら死んでしまうので命からがら海を渡る、ということはあるわけです。難民問題は全く人ごとじゃない、いつ自分の身にこれが起きてもおかしくない、この人たちは自分であると考えなきゃなあ、と自然に思ったんですよね。
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いとう(ラインナップのひとつにある)『シリアに生まれて』を観たんですよね。これはコメディではない、ドキュメンタリーです。各地違う状況で問題がありながら、同じ人間が国を出ざるを得ない、どこにも住めなく、自分たちの食事も食べられない。そういう問題をきちんと伝えてくれます。

 

A_シリアに生まれて
『シリアに生まれて』

 
サヘル この作品は7人の子どもたちの目線で、それぞれがどうやって逃れていくかを追います。一人ひとりの状況もそうなんですが、じゃあ、難民申請がおりた子も必ずしもハッピーではなく、その後も問題は続きます。子どもたちが一生懸命背伸びをしていて、大人になろうとしているのが心にこたえました。

 
いとう 難民問題が決して短いものではないんだな、と思わされるのはまさに子どもたちがいっぱい難民の中にいるから。邪険にされた子どもたちが大人になった時、どういう風に世界を捉えるだろうか。その時の、20年後の世界を考えるとぞっとするんですよね。邪険にしない世界にしなければ、20年後の我々がしっぺ返しをもらう。途方もなく、停戦を呼びかけていくしかない中でも、それを撮っている人とか、それでコメディを作ろうとしている勇気のある人たちがいるということを、我々は受け止めて、あ、自分もちょっとだけ勇気を出そう、そういう気持ちにさせてくれますよね。

 
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トーク終了後、JVTAは同映画祭のレセプションに参加。多くの映画関係者が難民問題に深い関心を持っていることを実感しました。

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会場には12月2日公開『希望のかなた』(アキ・カウリスマキ監督)に主演のシェルワン・ハジさんの姿も!

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国連UNHCR難民映画祭2017
2017年9月30日(土)-11月12日(日)
東京、札幌、名古屋、大阪、福岡、広島で順次開催
公式サイト:http://unhcr.refugeefilm.org/2017/