第26回レインボー・リール東京〜東京国際レズビアン&ゲイ映画祭〜 翻訳ディレクターおすすめの3本を紹介!
第26回レインボー・リール東京〜東京国際レズビアン&ゲイ映画祭〜が7月8日に開幕します! LGBTをはじめとするセクシュアル・マイノリティをテーマにした作品を上映するこの映画祭は1992年に中野区の会議室で小規模にスタート。26回目を迎える現在は毎年5000人近い動員数を誇る、歴史あるイベントです。会場となる青山のスパイラルホールは毎年レインボーカラーに彩られ、お祭りのように賑わいます。JVTAは、この映画祭の主旨に賛同し、毎年字幕制作でサポート。今年も修了生が活躍しています。字幕制作を担当するMTCの秋山剛史ディレクターと吉原明日香アシスタント・ディレクターに、今年のおすすめ作品を聞いてみました!
★MTC 秋山剛史ディレクターの一押し!
◆『ファーザーズ』
タイで多数の映画賞にノミネートされた感動作が日本に初上陸。交際13年のゲイのカップルと彼らが養子として育てる孤児の少年との交流が描かれています。小学校で2人の父のことをからかわれ、自分の家族像に疑問を持ち始める少年。さらに児童権利保護団体のスタッフが現れ、穏やかだった彼らの暮らしに波紋が広がっていきます。
「単純に“ゲイのカップルが子供を育てる物語”ではありません。結婚して子供を得るということはどういうことなのか、家族とは何なのかを考えさせられる作品です。日本でも渋谷区や世田谷区など同性パートナシップの制度が広がりつつあり、今後、家族の在り方も多様化していくと思います。当事者として喜ばしいことに感じますが、そう単純なことではないと本作から学べました」(秋山)
★MTC吉原明日香アシスタント・ディレクターの一押し
◆『アンダー・ハー・マウス』
トロント国際映画祭で「本年度、最も大胆でセクシーな映画」と称されたカナダの話題作がいよいよ日本で初公開。ある日、ファッションエディターのジャスミンが出会ったのは、屋根の修理工をしながら、数々の女性を渡り歩くプレイガールのダラス。2人はひと目で恋におち、フィアンセの男性がいるジャスミンの人生が大きく変わっていきます。監督は女優でもあるエイプリル・マレン。7月9日のシネマート新宿での上映後、マレン監督を迎えたQ&Aも予定されています。
「ダラスを演じるのは、性別を超えたモデルとして活躍するエリカ・リンダーです。ルイ・ヴィトンのランウェイや、ケイティ・ペリーのPV、トム・フォードのキャンペーンビデオなど活躍の場が広がりつつある彼女の初主演作としていま話題の1本です。10月の日本公開を前に見られるチャンス。どうぞお見逃しなく!」
(吉原)
配給:シンカ
© 2016, Serendipity Point Films Inc.
公式サイト http://underhermouth.jp/
★秋山&吉原 両ディレクターの一押し
◆『キキ ―夜明けはまだ遠く―』
レインボー・リール東京では毎年、秀悦なドキュメンタリー作品が、話題となっています。今年上映されるのは、ニューヨークで有色人種のセクシュアル・マイノリティが形成するパーティー「キキ」の姿を追った『キキ ―夜明けはまだ遠く―』。2016年ベルリン国際映画祭でテディ賞最優秀ドキュメンタリー賞を受賞したほか、世界の映画祭で上映されました。大迫力のVOGUEダンスは必見です。
「LGBTQと言っても、全てひとくくりにはできません。国や人種、世代などで、それぞれ取り巻く環境は大きく変わってきます。本作はストレートの方だけでなく、セクシュアル・マイノリティの方にとっても、知らない世界を知ることができる大変意義のある作品だと思います。また、LGBTQの「Q」についてもちゃんと言及しているところに時代の流れを感じます」(秋山)
「私がLGBTQ作品を観るようになったのは、当事者の方たちがどのように毎日を過ごし、何に悩み、何を感じているかを知りたかったからです。そういった意味で『キキ ―夜明けはまだ遠く―』はすごく「リアル」な作品だと思いました。街を歩きながら撮影をしているシーンで、すれ違う人たちが言った言葉に対して真情を吐露する姿に胸が痛みます。LGBTQへの理解を深める1つのきっかけとして、映像作品がある。だからこそ多くの人に観ていただきたい作品です」(吉原)
第26回レインボー・リール東京〜東京国際レズビアン&ゲイ映画祭〜
2017年7月8日(土)-14日(金) @シネマート新宿 ※夜間のみの開催
2017年7月14日(金)-17日(月・祝) @スパイラルホール(3F)
http://rainbowreeltokyo.com/2017/