ゴールデンウィークは南インド映画祭へ行こう!
JVTAではUNHCR難民映画祭をはじめ、多くの映画祭をサポートしており、受講生・修了生が「字幕制作」や「映画祭関係者の通訳」などで活躍しています。そのラインナップに、今年新たに加わったのがGWに開催される「南インド映画祭」。ここ数年、日本におけるインド映画の認知度は高まりを見せていますが、南インド映画に特化した映画祭が開催されるのは初めてだそう。そこで今回は、この映画祭に関わったキーパーソン3名にお話を聞きました。
★キーパーソン1 映画祭事務局のmikiさん
「南インド映画祭」のみどころと初開催の経緯とは?
◆「インド映画祭」から派生し、今年初めて「南インド映画祭」を日本で開催することになった経緯を教えてください。
mikiさん 毎年10月に開催している「インド映画祭(IFFJ)」は、主にボリウッドと呼ばれるヒンディー語の映画を上映しています。ファンの皆様から「南インドの映画も上映してほしい」とリクエストを毎年いただいていたこと、また、主宰のスレッシュ・ターティーがテルグ語圏のハイダラーバード出身で、南インドの映画祭をやりたいと以前から思っていたこともあり、今年初めて「南インド映画祭」が実現しました。
◆この映画祭の見どころを教えてください。
mikiさん インドの連邦公用語はヒンディー語ですが、憲法で定められた指定言語や州の公用語の他、日常生活で使用される言語の数は850にのぼるとも言われています。今回は南インドを代表するタミル語、テルグ語、マラヤーラム語、カンナダ語の4つの言語の12本の映画を上映。南インド映画を12本まとめて見られる機会はこれを逃すと無いと思います。“とことんエンタメ”のタミル語映画、“超絶アクションと豪華絢爛ダンス”のテルグ語映画、“はんなり&しっとり”のマラヤ―ラム語映画、“叙情的”なカンナダ語映画等、各言語圏によるテイストの違いもぜひ楽しんでいただきたいです。
◆今回字幕作成を担当した翻訳者、受講生、修了生へのメッセージをお願いします!
mikiさん JVTAさんには、以前インド映画のイベントで学校にうかがったことがあって親しみを感じていました。また、過去にインド映画の翻訳でお力を借りたこともあったので、今回南インド映画祭を開催するにあたり、多くの映画祭支援の実績をお持ちのJVTAさんにご相談をしました。
字幕作成を担当してくださった翻訳者の方には、感謝の気持ちでいっぱいです。皆様のおかげで無事に映画祭を開催することができます。ありがとうございます。今回、縦字幕の作品があったり、インド特有の文化や習慣にまつわる描写があったりと、翻訳には苦労されたと思います。これにこりずまた次回もよろしくお願い致します。
★キーパーソン2 字幕制作に携わったJVTA藤田奈緒ディレクター
今回は南インドの映画をもっと日本のファンにも知ってほしいという事務局の皆さんの思いに共感し、字幕でサポートさせていただきました。JVTAでは4本の作品の字幕を、1作品5、6人のチームを組んで21名の翻訳者が担当。一度に多くの作品の字幕を手がける映画祭は、新人翻訳者が字幕制作の経験を積める貴重な機会でもあります。まだあまり経験のない方も映画祭での上映を励みに頑張りました。基本的には英語字幕をもとに翻訳しましたが、細かなニュアンスが抜け落ちている箇所も多く解釈に悩むこともありました。インド映画に詳しい日本人の方と、インドの原語のネイティブの監修の助けを得ながら、各チーム内での相互チェックを重ね、翻訳の精度を高めました。GWはぜひ、南インド映画祭へおでかけください!
◆JVTAが字幕を担当した作品
『24』(タミル語)
『人形の家』(テルグ語)
『ウソは結婚のはじまり?!』(テルグ語)
『ジャスミンの花咲く家』(テルグ語)
★キーパーソン3 『ジャスミンの花咲く家』の日本語字幕を担当 修了生・岸陽子さん
◆この作品のみどころは?
不器用で融通の利かない兄と、世渡りはうまいけどやりたいことが見つからない弟の話を中心に、一家の物語を描いています。就職や結婚など、誰もが通る道でそれぞれが悩みながら成長し、自分の答えを見つけていくというストーリーです。すべてのキャラクターがリアルに描かれており、誰もが感情移入できる、家族愛に溢れた作品になっています。ラストにかけて、父親のセリフは心に染みるものが多く、字幕のチェック中に思わず泣いてしまいました。本作を観た後は家族に会いたくなるのはもちろん、たとえ家族と疎遠になっている方でも、自分の家族が今どうしているのか気になってしまうことでしょう。
また、インド映画ならではの歌とダンスの楽しさも必見で、私もつい口ずさんだりしていました。特に何度か出てくる結婚式のシーンでは、色彩豊かな場面から幸せが溢れて、晴れやかな気持ちになります。上映時間159分と長尺ですが、それだけの時間を使って観る価値のある作品です。
◆翻訳で苦労したことは?
159分で約2,000枚の字幕があり、5人のチームで1人が約400枚を担当しました。今までに経験したことのない量だったので、とても鍛えられました。チームの皆さんとのやりとりで、自分には思いつかなかった解釈や指摘をたくさんいただき、チーム作業ならではの良さを実感できました。
例えば、一家の親戚を含めてたくさんの登場人物がいるのですが、誰が誰とどういう血縁関係なのかなど、それぞれの細かい設定が、はっきり出ていないところがありました。チームの皆さんとのやりとりで、作り手側の意図として、あいまいな部分があるほうが、誰もが共感できる普遍的な物語になりやすいからだろうという結論になり、それを尊重すべきだとの判断になりました。
また、テルグ語の映画ですので、英語の映画と違って音声は全く参考にならないため、役者さんの細かい表情や声色を参考にしつつ、英語のスクリプトを頼りに仕上げました。ストーリー全体の流れや、その場面ごとの文脈から、不自然な表現にならないように気を付けました。
★ちなみに、『ジャスミンの花咲く家』という日本語のタイトルは岸さんの案が採用されたそう。会場での反響が楽しみですね。ぜひ、会場でご覧ください!
南インド映画祭
東京 ユーロライブ/渋谷 4月30日(日)~5月11日(木)
大阪 シネ・ヌーヴォ/九条 4月29日(土)~5月12日(金)
公式サイト
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