フィンランド映画祭2018が11月3日(祝・土)に開幕! 字幕担当者が語る作品の魅力
11月3日(祝・土)、渋谷のユーロスペースで「フィンランド映画祭」が開幕しました。今年10回目を迎える同映画祭では、ドキュメンタリー、ヒューマンドラマ、音楽ロードムービー、サスペンスなど現在のフィンランドの多彩な作品がラインナップ。今年の上映作品全5本の日本語字幕をJVTAの修了生が手がけました。オリジナルの言語は主に、フィンランド語、英語、ノルウェー語、スウェーデン語などですが、国際映画祭の場合は英語字幕が付いていることがほとんどで、JVTAでは英語字幕を基に日本語字幕を作成しています。そこで今回は2人の翻訳者にインタビュー。担当作品の見どころと翻訳するうえで心がけたことを聞いてみました。
◆『ヴァイオリン・プレイヤー』の日本語字幕を担当
修了生・山崎 真子さん
【作品の見どころ】
『ヴァイオリン・プレイヤー』はヴァイオリニストの主人公が交通事故に遭い演奏者としての道を断たれ指導者になり、生徒と恋に落ちるというストーリーです。
登場人物たちの行動や思考にモヤモヤする場面もあるのですが、美化されていないからこそリアルに感じるのだと思います。出演者の方たちの演技も素晴らしく、まるで他人の人生を覗いているかのような、ドキュメンタリーを観ているような感覚になる作品かもしれません。
【翻訳で心がけたこと】
この作品を最初に見た時、観る人によって受け取り方や感じ取り方が大きく違うのではないかと感じました。また、余韻が残る映画でもあると思います。そのため字幕で色をつけてしまわないよう、いつも以上にシンプルな字幕を心がけました。とはいえ登場人物の気持ちをしっかりと読み取った上で訳文を作らなくてはいけないので、的確な表現を探すために一つひとつのセリフとじっくりと向き合いました。「作品が自分に染み込むほど向き合うことの大切さ」を再認識できた作品でした。
◆『ターニングポイント』の日本語字幕を担当
修了生・中嶋慈さん
【作品の見どころ】
『ターニングポイント』は、それぞれ事情を抱えた3人の男が、寝台列車の同じ個室に乗り合わせたことから運命が絡み合っていく物語です。登場人物同士はお互いの事情を知らず、視聴者も徐々に彼らの状況を理解しながら話が進んでいくので、一度見終わったあと、違う登場人物の視点でもう一度見たくなってしまいます。そのたびに新しい発見があり、新鮮な気持ちで見られるのではないでしょうか。「もし自分が同じ立場だったら」と考えると、また違った感想を抱けると思います。
【翻訳で心掛けたこと】
登場人物たちは、何らかの悪事に手を染めていたり、自らの責任を感じ重荷を背負っていたりするのですが、それぞれがやむにやまれぬ事情を抱えており、根っからの悪人ではありません。必死に生きている中に抱えている苦しい胸の内を想像し、「守りたいものがある。しかし正直に生きたい」という気持ちが垣間見えるようなセリフになるよう、工夫しました。そんな彼らの心の葛藤が伝わることを願っています。
下記の3作品の翻訳者のメッセージはこちらをチェック!
◆『アントレプレナー』日本語字幕担当 市川美奈さん
◆『ヘヴィー・トリップ』日本語字幕担当 瀬尾奈緒美さん
◆『ワンダーランド』日本語字幕担当 土岐美佳さん
◆フィンランド映画祭2018
2018年11月3日(祝・土)~11月9日(金)
ユーロスペース
公式サイト http://eiga.ne.jp/finland-film-festival/