衝撃作『ギ・あいうえおス 他山の石を以って己の玉を磨くべし』、ついに英語字幕付きで一般公開!
柴田剛監督待望の最新作『ギ・あいうえおス 他山の石を以って己の玉を磨くべし』がついに一般公開決定! JVTAの修了生、杉崎やよいさんが手がけた英語字幕付きで上映されます。5月19日に渋谷ユーロライブで行われた先行上映&トークショーにJVTAスタッフが潜入してきました。
★衝撃の“エクスペリメンタル・ロードムービー”
『ギ・あいうえおス 他山の石を以って己の玉を磨くべし』とは?
『ギ・あいうえおス 他山の石を以って己の玉を磨くべし』は、映画制作クルー「ギ・あいうえおス」が謎の発光体を追って、映画を制作していく過程を描くモノクロのロードムービー。山口情報芸術センターの映画制作プロジェクトの一環として、主に山口県で撮影されました。旅の途中で出会うさまざまな人たちとの交流やインタビューがドキュメンタリータッチで映し出されています。マイクで拾った風のノイズや自然が奏でる音などもリアルに収録され、唯一無二な世界観を持つ実験的な作品です。シリーズ第1弾の『ギ・あいうえおス -ずばぬけたかえうた-』(2010年)から7年ぶりの第2弾として、注目されています!
予告編はこちら
★JVTAは英語字幕でサポート
監督はエッジの効いた作品を発信する柴田剛氏
監督は、『おそいひと』(2004年)『堀川中立売』(2010年)などエッジの効いた作品で映像通から注目を集める柴田剛監督。「恵比寿映像祭」や「ぴあフィルムフェスティバル」などアートなイベントでも作品が上映されています。また、「フラワーカンパニーズ」や「あらかじめ決められた恋人たちへ」のミュージックビデオや、テレビ東京『まほろ駅前番外地』のオープニング映像を手がけるなど、多彩に活躍中です。世界最大級の日本映画の祭典「ニッポン・コネクション」では、『堀川中立売』がニッポン・ヴィジョンズ部門でグランプリを受賞。同部門のアワードスポンサーであるJVTAが副賞としてその後英語字幕を担当し、柴田監督をサポートしています。『ギ・あいうえおス 他山の石を以って己の玉を磨くべし』は、今年のニッポン・コネクションで上映。JVTAの修了生は、英語字幕を通して映像業界が注目するクリエイターの最新作を世界に発信しているのです!
【ニッポン・ヴィジョンズ部門 過去の受賞作品】
松江哲明監督(受賞作品『ライブテープ』)
山崎樹一郎監督(受賞作品『ひかりのおと』)
イアン・トーマス・アッシュ監督(受賞作品『A2-B-C』)ほか
★『山田孝之のカンヌ映画祭』で大人気
松江哲明監督と山下敦弘監督も絶賛!
特別上映後のトークショーに登壇したのは、ドラマ『山田孝之の東京都北区赤羽』や『山田孝之のカンヌ映画祭』の共同監督として話題の松江哲明監督(写真左)と山下敦弘監督(写真右)。『ギ・あいうえおスの面白がりかた講座』と銘打ったトークショーでは柴田監督と親交が深いからこそ語れるさまざまなエピソードが飛び出しました。時には観客も会話に加わるなど和やかな雰囲気の中、1時間にも及ぶ熱いトークを展開。
では気になるトークショーの様子を少しご紹介します!
(その前にまずは上記の予告編をチェック!)
◆ギ・あいうえおスは「モノクロ」で「おっさん」だからいい
※この作品は映画制作クルーが謎の発光体を追って旅をするドキュメンタリー。旅先で出会うさなざまな人のインタビューも収録されています。
山下敦弘監督 はじめはもっと黙示録的な男たちの旅かなと思った。撮影中に出会った人たちがエコの話とかをしているし。でも、謎の発光体を見つけた時点でよく分からなくなってストーリーの理解は放棄した(笑)。もう見るだけに徹したら気持ち良かった。旅気分になってきて…。
柴田剛監督 旅気分になってくれたらいいよね。
松江哲明監督 それはあるよ。旅気分になる。
山下敦弘監督 この映画が不思議なのは、謎の発光体を追っているSF的なテーマだけど、見終った後の印象がそこじゃない。「絶妙なバランス」としかいいようがない世界観がある。「ギ・あいうえおス」がギラギラした若者だったらまた見え方が違うけど、おっさんだからいいのかな。彼らがこう、車の中で疲れながらマイクとか持っている顔を見るだけでなんか妙な豊かさを感じちゃって(笑)。だけど、マイクから拾っている空気ノイズのような攻撃的な音がずっと続いている。でも映っている画はのんきで…。絶妙にきれいな山の景色も良くて、久々にモノクロが気持ちいいなと思った。編集もすごく良かった。
柴田剛監督 白黒で撮るとSF映画になりやすい。リュック・ベンソンの『最後の戦い』が昔から好きでね。でも今回は“終末感”を出さずに、ちゃんと“新世紀感”を出しかった。最初の企画からこの作品のテーマは「謎の発光体を追いかける」ことだったから。
松江哲明監督 この作品の魅力はやっぱり音だよね。ファーストカットは、車のルーフから突き出したマイクの映像。そのマイクがくいっと回ってさまざまな方向を向くタイミングで車の轟音が変わっている。僕はああいうのが大好きで。現場で聴いた音とは違う、スクリーン上になった時に聞こえる音、しかも自分目線でね。僕は剛君のように、音と映像に対する演出を深く考えている人は、なかなかいないだろうと思う。なんかこう音は音、画は画と考えて演出している人だなと。
柴田剛監督 それはある。俺は相当目が悪いから、耳で映画のことを覚えている。昔の映画だとチャック・ノリスの『デルタ・フォース』とか。音楽を思い出して、「この映画のワンシーンだ」とか。どんな映画でも順番はまず音楽から。デヴィッド・リンチとかね。
松江哲明監督 デヴィッド・リンチはそうだね。
柴田剛監督 そう、彼は予告編がもうミュージックビデオになっているじゃない。もうあれのまんま、俺はずっと映画を作っている。
★劇場上映では上映後あえて拍手をしたい!
松江哲明監督 今はいい人ばかりを描いた道徳の教科書みたいな映画が多い。どれだけ日本って窮屈なのっていう気がする。
山下敦弘監督 そういう映画ばかり見ている若い子たちは絶対この映画を見ないよね。これ、山口情報芸術センターの作品だから、学校上映とかできないの?
松江哲明監督 山口の市民会館とかで、高校生を集めて。この映画見て、安心する子もいると思うよ。なんかいきあたりばったりでもいいのかと。
山下敦弘監督 俺、高校生くらいでこれを見ていたら結構“(パンチを)喰らう”と思う。一体何だったんだろうって。17歳とかだと考えながら全力で観るじゃない。そういう人に観てほしい。世界に糾弾するっていうっていうほどじゃないけどそれに近いアンチテーゼはある。
松江哲明監督 俺はね、年間500本とか映画見るから、500見たら300は失敗だよ。傑作は50くらい。10本に1本なんだよ、映画が面白い確率は。それは俺、結構リアルな数字だと思う。だけど今の若い子は半分の確立で、まあまあ面白かったでいいみたいな感じで。別につまんなくてもいいと思うんだよ。
山下敦弘監督 俺はこれをもし、シネコンでやったら観に行って、上映後にあえて拍手してやろうかと思う。今日はそんな気分になった。あえて拍手の桜を2,3人用意しておいて拍手したい! そうしたら若い子もさすがに家に帰ってから考えるんじゃないかな、「なんで拍手したんだ?」と。
松江哲明監督 不特定多数の人と映画みるってそういうことだから。「この人、ここで笑うんだ」とかね。あえてそういうのやってみたいよね。
山下敦弘監督 シネコンで上映してくれれば人の記憶には絶対残る映画になる!
柴田剛監督 面白がり方講座、いいコメントが出ましたね。まあ「いろはのい」までは行けた。ひき続き、またよろしくお願いします。「いろはのろ」は、6月24日に今度は「UFO祭り」という、大阪先行上映があります。そして「いろはのは」が7月の期間限定上映会。ぜひ楽しみにしていてください。ありがとうございました。
◆『ギ・あいうえおス 他山の石を以って己の玉を磨くべし』
今後の上映予定(いずれも英語字幕付きです)
・UFO祭り
6月24日(土)ロフト プラスワン ウエスト(大阪)
・1週間限定上映
7月15日(土)~21日(金)ユーロスペース(渋谷)
詳細は公式サイトをご覧ください。
http://gui.shibatago.com/index.html
◆JVTAでは今後、柴田剛監督に字幕へのこだわりについてお話を伺う予定です。どうぞお楽しみに!