修了生が本を発売 「化学災害」の実態を知る
日英映像翻訳科の修了生の門奈弘己さんが執筆した書籍『化学災害』が、昨年12月25日に緑風出版から刊行されました。「化学災害」とは、化学物質が大きく関わっている爆発や火災、漏えいなどの事故のこと。同書では過去の実例に加え、そうした災害から身を守るための対処法が紹介されています。
門奈さんは、大学院時代に環境学を専攻し、大学の研究科を経て現在はフリーで化学物質管理について研究されています。これまで『食の安全事典』(共著 旬報社)や、論文「ベックの社会理論と予防原則:化学物質によるリスクを事例として」などを発表してきました。そんな門奈さんにこの本に託した想いを聞いてみました。
門奈さん:この本は、タイトルからすると専門書のように見えるかもしれませんが、化学災害が発生するのは化学工場や倉庫などの特別な場所だけではありません。学校や住宅地、タンクローリーや貨物列車、温泉施設など私たちの身近なところにも化学物質は数多く存在しています。ですから専門家だけでなく、より多くの一般の人たちに手に取ってもらいたいという想いで書きました。
『化学災害』門奈弘己著 緑風出版
2300円+税
http://www.ryokufu.com/isbn978-4-8461-1518-0n.html
門奈さんは、推理小説やミステリーのファンでもあり、映像で観るよりも活字で読むことが好きで、いつか「日本の文学を世界に紹介したい」という目標から英語クリエイティブ・ライティング講座を受講。「この執筆に英語クリエイティブ・ライティングコースで学んだスキルが活かせました」と話します。執筆時には具体的にどんなことを心がけたのでしょうか?
門奈さん:英語クリエイティブ・ライティングコースで学んだのは、「誰に伝える文章か、について意識して書くこと」です。伝えたい相手に、キチンと伝わるように言葉や表現、文体を工夫しました。化学物質名などの難しい言葉は最小限にし、何がどのように危険なのか、どうしたらこうした被害を防げるのかというポイントを解説しています。「専門的な内容も含まれているが、それほど読みにくくないな」と感じていただけたら嬉しいです。
今回の本はフィクションではなかったので使わなかったのですが、「ジャンルやキャラクターに合わせて、単語や表現を使い分けること」というのも、クリエイティブ・ライティングコースで学んだ点の1つです。
これらの点は、文章を書く時に以前からやっていたことですが、英語クリエイティブ・ライティングコースを受講してからは、さらに強く意識するようになりました。コースでは、基本的に自由に書くことのできるテーマが多かったのですが、書く内容に対する事実や背景などの調査は重要です。この本の執筆には、多くの資料や数値データを用いましたが、受講中に学んだリサーチスキルも活かせたと思います。コースでは、英語で書く方法を学びましたが、日本語で書く時にもとても役に立っています。