SSFF & ASIA 字幕を手がけた翻訳者がアワードセレモニーに参加!
アジア最大級の国際短編映画祭 「ショートショートフィルムフェスティバル & アジア 2018」(SSFF & ASIA)のアワードセレモニーが6月17日に(日)に東京・原宿で開催され、各部門の受賞式が行われました。会場には世界中から集まったクリエイターに加え、審査員、俳優など華やかな顔ぶれが集結。JVTAは毎年この映画祭を字幕制作でサポートしており、JVTAスタッフと翻訳者の皆さんも参加してきました。
会場の様子をレポートします!
◆グランプリ「ジョージ・ルーカス アワード」は『カトンプールでの最後の日』
20周年を迎えた今年、グランプリに「ジョージ・ルーカス アワード」の名称がつきました。グランプリを獲得したのは、シンガポールのイーウェイ・チャイ監督『カトンプールでの最後の日』です。世界130を超える国と地域から10,000本以上寄せられた応募作品の中から選ばれました。少年時代に通っていたプールが解体されることを聞き、再び訪れた男の姿が描かれています。子役の演技やLGBTの要素が含まれた繊細な内容が高く評価されました。
イーウェイ・チャイ監督 「予想外のことで圧倒されています。この喜びを国のみんなと分かち合いたいと思います。夢が叶いました!」
審査員のリンダ・カンポス・オルシェウスキさん
「この作品を観た時、本当に心温まる気持ちと同時にちょっとした悲しみにあふれていると感じました。もし、世界一の映像作家が作るとしたら、まさにこういう作品を作るだろうと審査員の意見が一致しました」
チャイ監督が終始、信じられないという様子で言葉に詰まりながらお礼を述べている姿が印象的でした。
◆小池百合子都知事がプレゼンターとして登場
東京の魅力を海外のクリエイターの視点でとらえた「トーキョー シネマ アンサンブル2018」の3作品が上映。同企画のテーマ音楽を担当した和楽器バンドのメンバーも駆けつけました。
小池百合子都知事 東京都も主催の一部としてSSFF & ASIAを応援してきました。この映画祭には東京を新しい切り口でフィーチャーしていただく企画もありますし、「Cinematic Tokyo部門」というコンペティション部門もあります。東京オリンピック、パラリンピックまであと768日(6月17日時点)と迫り、準備を加速させています。スポーツの記録を残し、さらにみんなの記憶に残る大会にし、日本の素晴らしい伝統と革新の発信をしていきたいと思います。渋谷のスクランブル交差点は東京の一つのアイコンです。NYのタイムズスクエア、ロンドンのピカデリー・サーカスのように東京の象徴だと思っています。東京からいろいろな発信をする役目をSSFF & ASIAが担ってくれることを願っています。
「Cinematic Tokyo部門」優秀賞(東京都知事賞)
『東京彗星』(洞内広樹監督)
◆オフィシャルコンペティション
【インターナショナル部門】優秀賞
『不思議なヤギ』
アンドレーア・ブルーザ監督&マルコ・スコトゥッツィ監督
【アジアインターナショナル部門】 優秀賞/東京都知事賞
『カトンプールでの最後の日』
【ジャパン部門】優秀賞/東京都知事賞
『THE ANCESTOR』小原正至監督
◆Tokyo Cine-magic 2018
『シェイクスピア・イン・トーキョー』の上映
国内外の多くの人々が訪れたくなる「東京」をテーマにSSFF&ASIAプロデュースで制作された作品。兄の来日に同行したダウン症のベンが一人で東京探索に出かける様子がえがかれており、多様性がテーマとなっています。公式審査員も務めている千葉真一さんも出演。ジェネヴィエーヴ・クレイ‐スミス監督のほか、主演のジェラルド・オドワイエーさんと共に登壇しました。千葉さんはこれが初のショートフィルム出演。監督は撮影で訪れた浜離宮が特に印象に残っていると話していました。
◆学生プログラム supported by フェローズ 優秀賞
『COCKROACH』(金賢奎監督)
審査員として、特撮映像作家の樋口真嗣監督が登場。受賞作品について「掛け値なしに面白くなければいけないと思って選びました。この作品が群を抜いて面白かった」と語りました。今年新設されたこの部門は、約200作品の応募の中から選ばれました。
◆ひかりTVアワード
『ノヴェラ ピカレスカ』倉田健次監督
昨年度の同賞の受賞作品『スワブ』の松井大悟監督と出演の武田梨奈さん、細井鼓太さんがプレゼンターとして登場。
◆VR SHORTS
VR SHORTS 優秀賞
『Kinoscope』(クレモン・レオタール監督、フィリップ・コラン監督)
こちらも今年新設の部門。プレゼンターはスティーヴン・スピルバーグ監督のSF映画『レディ・プレイヤー1』に出演している森崎ウィンさんです。
LEXUS VR FILM AWARD
『Sanctuaries of Silence』
サウンド・デザイナー D・クリス・スミスさんが登壇。
別所哲也さん「映画は100年間で大きな進化と遂げてきました。その中で21世紀の今、さまざまなテクノロジーやVRの出現はエンターテイメントや物語の関わり方を根本的に変えてしまうかもしれません。俳優が360度の中で演じる意味、映像作家はそれをどう表現すべきなのか。これからこのVR部門はさらなる飛躍を遂げるのではないかと思っています。メイキングの作り方も変わるかもしれません」
◆和楽器バンドショートフィルム上映 『遠い時間、月の明かり』
和楽器バンドの楽曲「細雪」をショートフィルム化。和楽器バンドのメンバーと出演の本仮屋ユイカさん、尚玄さん、嘉人さん、岸本司監督が登壇しました。
本仮屋ユイカさん「沖縄のスタッフが集結し、沖縄で撮影できたことが嬉しかったです。雪が降るシーンはCGではなく実際に降らせているんですが、その降らせ方にもみんなが協力してくださって無事に美しい雪になりました」
◆CGアニメーション部門 優秀賞
『コトリのさえずり』(ジャンナ・ベクマンベトヴァ監督)
審査員の中川翔子さん
「アニメーションは言葉も国も国境も世代も時も超える誇らしい文化です。審査員として参加できて光栄でした」
◆ノンフィクション部門 優秀賞
『メリエム』
プロダクション・アシスタントのメリエム・ディプテレさんが登壇
「イスラム過激組織との中心のなかで戦うクルド人の女性たちの姿を捉えた勇気ある人々のストーリーです。これは現実だということを見ていただきたいと思います。
審査員の菊川怜さん「ノンフィクション部門は新しい部門。ノンフィクションとは何かという原点まで掘り下げて審査には迷いました。その中で圧倒的に力強い現実を私たちの目の前にガツンと見せてくれたこの作品を選びました」
◆新企画 女性応援プロジェクト(Ladies For Cinema Project)
2019年から始動する新プロジェクト。別所哲也さんとLiLiCoさん、かわいいとかプロジェクトに参加する木村佳乃さんが登壇し、「映画界の中で女性の立場や発信力に向きあっていきたい」と抱負を語りました。
JVTAは字幕制作でこうした世界のクリエイターのサポートを続けています。
翻訳を手掛けた修了生の皆さん、ご自身が携わった作品はありましたか?
次回は受賞作品を手がけた翻訳者さんやアワードに参加した修了生の声を紹介します。
映画祭は24日まで開催中。ぜひ、足を運んでみてください!
★アワードセレモニー前に行われたレッドカーペットの様子はこちら
https://www.facebook.com/JvtaTokyoLa/posts/1928497557189854
◆ショートショートフィルムフェスティバル & アジア 2018
2018年6月4日(月)~24日(日)
公式サイト http://www.shortshorts.org/2018/