そして、伝説へ――!
『ポリス・ストーリー/レジェンド』の予告編
今年のソチオリンピックのスキージャンプ競技で、葛西紀明選手が見事メダルに輝いた。41歳になっても現役のアスリートとして活躍する葛西選手は、“レジェンド(伝説)”と呼ばれている。映画界においても、年齢を重ねてもアクションを続ける活躍するレジェンド俳優ジャッキー・チェンがいる。今回は彼の新作『ポリス・ストーリー/レジェンド』の予告編を紹介したい。
『ポリス・ストーリー』というタイトルを聞くと、1985年に製作されたジャッキーの代表作『ポリス・ストーリー/香港国際警察』を思い出すファンも多いだろう。その後も『九龍の眼/クーロンズ・アイ』『ポリス・ストーリー3』『ファイナル・プロジェクト』と続編が作られた。これだけ続編が作られるのは、ジャッキーお気に入りのシリーズなのだろう。ちなみに、他にもシリーズとは関係ない『新ポリス・ストーリー』や、シリーズを踏まえつつ設定を新たに作られた『香港国際警察/NEW POLICE STORY』がある。
『ポリス・ストーリー/レジェンド』の予行編は、拳銃を構えたジャッキーの顔のアップから始まる。本作はジャッキー60歳の記念作品。60歳なら引退している年齢だが、この年齢になっても犯罪者と戦い、ビルの屋上から飛び降りているのは、さすがレジェンドだ。昨年公開された『ライジング・ドラゴン』は「ジャッキー最後のアクション超大作」と宣伝されていたのに、早速アクション映画に出ていますね。まあ『ライジング・ドラゴン』を観て「どうせジャッキーはまたアクション映画に出るんでしょ」と思った人は多いだろうから、この点は“無問題(モウマンタイ)”だろう。
予告編に戻ろう。今回、彼は中国の警察官という設定で、これまでとは違うジャッキーを見られる。香港の刑事を演じてきたジャッキーだが、中国の警察官というのは初めてではないか。ジャッキー演じる主人公には娘がいるが、娘との関係は上手くいっていないようだ。娘を持つ役というのも、ジャッキー映画の新基軸だろう。本作では娘が誘拐され、ジャッキーは「娘を返せ。目的は俺だろう。恨むなら俺を恨め」と救出に向かう。犯人役は『山の郵便配達』のリウ・イエ。彼は『コネクテッド』でも誘拐犯を演じていた。
そして予告編は、繁華街にあるビルが舞台になる。犯罪者たちがビルを籠城し、警察と正面対決。そのビルに潜入したジャッキーは、ひとりで犯罪者たちに戦いを挑む。ビルに籠城する犯罪グループと刑事の戦いといえば、『ダイ・ハード』を思い出す。刑事としてだけでなく娘を救う父親として奮闘する姿には、アクションだけでなく、人間ドラマとしても見応えがありそうだ。
しかもラストには、シリーズ最新作にして最高傑作とされる『ポリス・ストーリー/レジェンド』にはシリーズ史上、最も壮絶なクライマックスが用意されているらしい。予告編は、ジャッキーが自分のこめかみに当てた銃を撃つシーンで終わるのだ。ジャッキーが本当に死んでしまうのかは、映画館で確かめてきます!
今回注目した予告編
『ポリス・ストーリー/レジェンド』
監督・脚本:ディン・シェン
出演:ジャッキー・チェン、リウ・イエ
6月6日から公開
公式サイト:
http://www.policestory-legend.com/
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Written by 鈴木 純一(すずき・じゅんいち)
映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
【最近の私】イラストレーターの安西水丸さんが亡くなりました。安西さんが「キネマ旬報」で連載していた映画コラムがもう読めないのが残念です。
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戦え!シネマッハ!!!!
ある時は予告編を一刀両断。またある時は悪役を熱く語る。大胆な切り口に注目せよ!
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