Vol.24 チェンマイで家探し
【最近の私】 世界を驚かせたバンコクでの爆破事件。タイ人はLINEやFBですぐに情報交換をしていました。ニュースより生々しい現場写真も交換されている様子。事件に関わる様々な噂が飛び交っていますが真相は・・・安全なタイ王国であるよう願うばかりです。
「あ〜、半年くらい長期滞在できる場所を探してるんだけど、なかなか見つからないの。今借りてる家の契約が切れるから、今日中に見つけたいのに・・・」
チェンマイで暮らす西洋人の友人からそんな電話がありました。彼女は一人娘と犬とで暮らせる家を、我が家の近辺で探しているのです。もちろん、リーズナブルであることが大前提の家探しです。
実にタイに来てから7回引っ越している私。いつの間にか経験豊富になったなぁと振り返りつつ、少しは役に立てるかとお手伝いすることにしました。
■西洋人価格にご注意!
この辺りで家を探す手っ取り早い方法は、不動産業者などを通さずに直談判する方法。今回彼女は最低一年以上借りることが条件となる借家契約ができないため、広い敷地内にヴィラ・タイプの家がいくつか立ち並ぶリゾートから探すことにしました。こちらのリゾートとは、郊外にある日本のペンションのような感覚の宿泊施設です。
タイ人が住む一般的な借家の家賃は、約7,000~8,000฿(24,000~27.000円)くらい。彼女は、タイ式でキッチンが外にあったり、トイレが使いづらかったりするのはNGとのこと。外国人用に作られたものが希望です。思いついた数箇所のリゾートをすぐさま一緒に回ってみることにしました。
まず一件目。このリゾートが完成したばかりの頃のヴィラ1件の家賃は約18,000฿。完全に予算オーバーです。1階に小さなリビング、2階にはダイニング・テーブルとベッド、そしてトイレとバスタブ付き。キッチンはないのですが、目の前にプールがあり、眺めもバッチリです。さっそくマネージャーと値段交渉です。ところが・・・。
「1泊3000฿(約1万円)、長期滞在だから割引いて1カ月60,000฿(約20万円)ですね」。
私たちは目を合わせびっくり!
すると、「50,000฿(約17 万円)だったら特別価格でいいですよ」といきなり値下げを提示。それにも驚いて、二人はそそくさと退散しました。「あれは絶対に西洋人価格だよ!」とブツブツ文句を言いながら、次の場所へ向かいました。
■言い値で決まる?!
2軒目、3軒目、4軒目、5軒目…どのリゾートを回っても、価格は若干安いものの基本的に予算オーバー。彼女は徐々に落ち込んできて、「もっと小さな部屋を借りようかなぁ」と弱気になっています。一方、私のネタも尽きかけ寸前、最後は村のほぼ真ん中に位置するリゾートだけです。実際にヴィラの中を見たことがなく、場所的にもお勧めでなかったのですが、とりあえず行ってみることに。
しかしそのリゾート、目の前に田んぼの風景が広がり意外に眺めがいい。プール付きで彼女の第一印象は合格点です。
「初めまして。ここのPRをしている××です」と、とても感じのいいお姉さんが案内してくれました。気力が尽きかけていた私たちは、部屋も見る前に我慢できずに「1カ月いくらですか!」と聞いてしまいました。
お姉さんは戸惑いながら「30,000฿ですが、ご希望はありますか?」。
私の友人は藁をもすがる思いで「私は他の西洋人のようにお金があるわけではありません。予算は10,000฿(約14.000円)くらいしかありません。子どもと犬もいるんだけれど・・・」と正直に話しました。
お姉さんは暫く考え込んでから、「分かりました。オーナーに相談します」と言って電話をかけに行ったのです。
プールサイドに残された私たちは1日を振り返りながら、チェンマイの物件も高くなったねぇと話していました。すると彼女が戻ってきました。
「価格の件は承知しました。ただ6カ月契約であることと、今日前金をいただくという条件で、いかがですか?」
私たちは思わずニッコリ。
あっ、そう言えばまだ肝心の部屋を見ていません!急いで部屋に入ってみると外から見るより広く、バスタブ、小さなバルコニー、それにハンモックまで付いていて、犬も快適に過ごせそうな小庭まで。友人はすぐさま「ここにする!」
こうしてようやく彼女達の安住の場所が見つかったのでした。
PR のお姉さんはこのリゾートに勤めてまだ1週間だそう。今回は本当にラッキーなことに、仕事に一生懸命な彼女がオーナーにうまく話をつけてくれたのです。
あらゆることが少しずつビジネスライクになっていくチェンマイにも、まだこうした人間味のある、ゆるい抜け道が残っていることが嬉しく、同時に希望を感じました。ここは家族経営のようなリゾートで、閑散としているところを見るとどうやら経営的にはイマイチのようです。でも、あの機転のきくPRのお姉さんが来たことで、このアットホームなリゾートも徐々に回復するかもしれないと思いました。もちろん、価格は優しいままでいてほしいですが…(笑)
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Written by 馬場容子(ばば・ようこ)
東京生まれ。米国大学でコミュニケーション学専攻。タイ、チェンマイに移住し、現在は郊外にある鉄工房でものづくりをするタイ人パートナーと犬と暮らす。日本映像翻訳アカデミー代々木八幡・渋谷校時代の修了生。
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花と果実のある暮らし in Chiang Mai
チェンマイ・スローライフで見つけた小さな日常美