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[JVTA発] 今週の1本☆inBLG

嵐のライブBlu-rayにバリアフリー字幕が付いた!

嵐のライブBlu-rayにバリアフリー字幕が付いた!

耳が聴こえない、あるいは聴こえづらい方は、音楽を聴かないと思っている人がいるかもしれない。しかし、実際には難聴者で音楽を楽しみたいと思っている人は多い。低音だけは聞こえてそれを楽しんでいる人もいるし、振動だけで音楽を感じている人もいる。かすかに聴こえる音や感じる振動と、画面に映っている観客の楽しそうな様子を見て音楽に共感し、“楽しい!”と思う人もいると聞く。
 

CSやBS、地上波放送で流れるミュージックビデオ(MV)には字幕が付与されているものが多い。中には、最初から字幕入りでMVを作るアーティストもいて、歌詞を知りたいと思っているファンには嬉しい心配りだろう。
 

しかし、ライブの模様を記録したDVDやBlu-rayなどでは、残念ながら、まだまだ整備が行き届いていないのが現状だ。ライブの魅力の一つは、曲と曲の合間のトーク(MC)。テレビなどでは、あまり触れることのできない生の姿、生のトークを聞きたいと思うファンは多いはずだ。
 

曲が流れている間は歌詞が出ているとしても、MCに入った瞬間、難聴者は会場との一体感から切り離される。画面には口パクのアーティストと盛り上がるファンが映っているだけ。つまり置き去りにされてしまうのだ。この現状はあまりにも寂しい。
 

そんな中、嵐のBlu-ray『ARASHI アラフェス’13 NATIONAL STADIUM 2013』が発売された。こちらにバリアフリー字幕が付いたというニュースを聞きつけ、早速、購入して鑑賞してみた。
 

歌詞はもちろん、MC時のメンバーそれぞれのトークにも字幕が付いていて、日々映像のバリアフリー化に取り組む私は、涙が出るほど嬉しかった。私は特に嵐が好きというわけではないが、ファンクラブ会員数が150万人を超えると言われるスーパー・アイドルグループの映像がバリアフリー化されたということは、大きな事件だ。
 

歌を歌っていることがよく分かるように歌詞の冒頭には♪マーク。話し手を明確にするために字幕に話者名を付ける等々、非常に丁寧に作り込まれた字幕だった。面白かったのが、観客が歓声を上げる場面などの話者名表記の仕方だ。このような場合、(ファンの歓声)などとするのが一般的だが、アラフェスBlu-rayでは、\(^o^)/ イエーイ! といった感じになっており、ライブ会場でファンが楽しんでいる様子がよく分かる演出がされていた。どんな時にでも使える演出ではないかもしれないが、視聴者とアーティストへの字幕制作者の愛を感じた一枚だった。
 

ネットで評判を調べてみると、難聴者に限らず健聴者の評価も高いのはうなずける。できれば、次の機会には音声ガイド版も作っていただきたい。
 

JVTAでは、バリアフリー字幕や音声ガイドの制作者を養成する講座を毎年4月と10月に開講しており、8割近い修了生に仕事をお願いしている。
 

すべての人が同じタイミングで同じ感動を味わえる、そんな時代がもうすぐにやってくる。
やり甲斐があるし、表現者として身につけた技能を活かせる仕事でもあるので、話を聞いてみたいという方は、是非、説明会にいらしていただきたい。
 

★×JVTA バリアフリー視聴用 音声ガイド&字幕ライター養成講座
講座の詳細はこちら
http://www.jvtacademy.com/chair/lesson3.php
 
 

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Written by 浅野 一郎 (アサノ・イチロウ)バリアフリー事業部 チーフ・ディレクター
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[JVTA発] 今週の1本☆ 10月のテーマ:事件

日本映像翻訳アカデミーのスタッフが、月替わりのテーマに合わせて選んだ映画やテレビ番組について思いのままに綴るリレー・コラム。最新作から歴史的名作、そしてマニアックなあの作品まで、映像作品ファンの心をやさしく刺激する評論や感想です。次に観る「1本」を探すヒントにどうぞ。