発見!キラリ 夢への第一歩
4月のテーマ:始まり
今年も4月期のコースが開講した。さまざまな思いを持って学習に励もうとしている受講生の皆さんを目にすると、入学当時の自分の姿を思い出す。私が映像翻訳、特に字幕に興味を持ったのはずいぶん前のこと。ある女の子との出会いがきっかけだ。
小学5年生の時、私のクラスにフランスから転校生がやってきた。彼女の名前はサラ。私は外国人を目の前にしたことがなかったので、ブロンドの髪に青い目をした女の子が同じ教室にいることが不思議でたまらなかった。日本語が上手く話せないサラとの間にはじめはクラスの誰もが大きな壁を感じていたが、彼女の柔らかい雰囲気のおかげか次第に距離が縮まり、いつしか私は彼女と休み時間を一緒に過ごすようになった。気づいた頃には彼女の日本語はかなり上達し、お互いの家を行き来するほどの仲良しにもなった。サラの家でフランスの家庭料理をご馳走になったこともある。強烈な匂いのするチーズとマカロニのグラタンだけは今でも鮮明に覚えている。
私が字幕に興味を持ったのは、フランスの子ども向け番組やアニメをサラに見せてもらったことが大きく影響していると思う。セリフはもちろんフランス語だったが、日本語の字幕がないので内容は全く分からない。字幕なしで海外の作品を見ること自体が初めてで新鮮だったが、番組の面白さを理解できないのがくやしかった。この時の体験から、字幕を意識するようになったのだ。
始まりは些細な出来事でも、それが夢を目指すという大きなきっかけになることもある。今、映像翻訳を学ぶ受講生のみなさんにも、多かれ少なかれ私と同じように何かきっかけがあったはずだ。映像翻訳者を目指すうえで、壁にぶち当たることもあるだろう。そんな時は、“きっかけ”という原点に立ち返り、心の支えを見つけ、しっかり学習に励んでもらえたらと思う。
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Written by 諸江 美樹
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[JVTA発] 発見!キラリ☆ 4月のテーマ:始まり
日本映像翻訳アカデミーのスタッフが、月替わりのテーマをヒントに「キラリ☆と光るヒト・コト・モノ」について綴るリレー・コラム。修了生・受講生にたくさんのヒントや共感を提供しています。