発見!キラリ 〜10年後の8月〜
8月のテーマ:花火
花火にちなんだ曲、と言われたらどんな歌を思い出すだろうか。
試みに検索してみたら、Mr. Childrenの「HANABI」、三代目 J Soul Brothersの「花火」といった曲が上位に出てきたが、あいにく自分はこれらの曲は聴いたことがない。
自分にとって花火を一番連想させる歌は、ZONEの「Secret Base〜君がくれたもの〜」という曲だ。
2001年8月にリリースされたこの歌は彼女らの最大のヒット曲となった。今30〜40歳くらいの人たちには記憶によく残っている曲ではないかと思う。4人のメンバー全員が札幌出身、在住の15歳前後の女の子というのもとても印象的だった。
バンドという形式をとってはいたが、デビューの時点ではまだ楽器の演奏もままならず、シングルの1曲目と2曲目は楽器を弾いているフリをしながら踊るというスタイルだった。しかし3曲目のこの曲では実際にメンバーが演奏し、TVドラマの主題歌にもなってオリコン最高位2位を記録、この年の紅白の出場も果たしている。
「ああ 花火が夜空 キレイに咲いて ちょっとセツナク
ああ 風が時間と ともに流れる」
この歌詞は秀逸で、本当に花火の情景やその場の空気、感情が浮かんでくるように思えた。
そして10年後の2011年8月、歌詞の中にあった、
「君と夏の終わり 将来の夢 大きな希望 忘れない
10年後の8月 また会えるのを信じて」
の言葉通り、彼女たちは1カ月限定の再結成を発表した。
この時、「Secret Base〜君がくれたもの〜」は 大ヒットTVアニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(略称「あの花」)のエンディングテーマ曲になり(※歌っているのはZONEではなく、同アニメの声優3人)、多くの20才前後の人にも思い出深い歌になった。このアニメのストーリーは、偶然にも歌詞の内容といろいろ合致したそうである。
あるドラマやアニメのために作った曲というのではなく、すでにある曲、それも10年前の曲がこのような形で新たに作られたストーリーとリンクし、それぞれが人々の心に長く残る作品になるというのはかなり珍しい事例だと思う(そして、このアニメの中でも、花火はとても重要な役割を果たしている)。
再結成と「あの花」放映から気がつけばまた5年の月日が流れた。
さらに10年後の2021年。東京オリンピックの次の夏に、我々はどんな花火を見ることになるのだろうか。
「Secret Base〜君がくれたもの〜」
作詞・作曲 町田紀彦
Written by 筆谷 信昭
[JVTA発] 発見!キラリ☆ 8月のテーマ:花火
日本映像翻訳アカデミーのスタッフが、月替わりのテーマをヒントに「キラリ☆と光るヒト・コト・モノ」について綴るリレー・コラム。修了生・受講生にたくさんのヒントや共感を提供しています。