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発見!キラリ 「誓い ~過去と今を結ぶとき、そこに見える希望~」

発見!キラリ 「誓い ~過去と今を結ぶとき、そこに見える希望~」

11月のテーマ:誓い
 
 

新しく何かを始めるとき、そこには誓いというものが存在しているのではないだろうか。留学や就職、結婚といったような人生の大きなステップから、日課や趣味といった小さなステップまで、私たちは新たなステップを踏むとき、何気なく誓いを掲げているように思う。そして時が過ぎたとき初めて、その誓いに気付く。
 

思えばJVTAの門を叩いたのも、ひとつの誓いだった。21世紀を目前に、新たなステップを探していた私は、迷いなく映像翻訳という世界に飛び込んだ。きっかけは、大好きな『Seinfeld(※①)』がWOWOWで放映されていたのを見かけたことだった。
(※①邦題:『となりのサインフェルド』。1989年~1998年アメリカNBCで放映されたNYを舞台にしたシットコム。1990年代で一番の人気を誇り、国民4人に1人が見たという)
留学先のトロントで、暗記するほど毎日欠かさず観ていた『Seinfeld』。英語・文化・ユーモア…北米の多くのことは、この番組から学んだ。『Seinfeld』のような番組を日本人に届けられたらどんなに素晴らしいことだろう…そう思った。
 
 

当時JVTAは代々木公園の近く、代々木八幡駅から徒歩10分ほど歩いたところにあった。騒がしい山手通りを脇に入った静かな住宅街、少し風変りな外観の、戸建の一室が教室だった。ミシミシと音を立て急な階段を上ると、板張りの教室には30名ほどの受講生がはみ出しそうに座っている。見ること聞くことすべてが初めてで刺激的だった。日本橋の現在の東京校とは比べものにならないほどの、殺風景でこぢんまりとした空間だったが、そこに集うすべての人が鋭いアンテナを持ち、そして“いつかここから映像翻訳の未来を創っていく”というエネルギーに満ち溢れていた。世代やバックグラウンドを越えて、≪映像翻訳≫というキーワードでつながる人々との語らいは胸が躍った。映画やドラマ、音楽、文化、英語、世界、発想力…分野を突き抜けて共有する夢や未来。語れば語るほど、自分もその一員になれたような気がして心から嬉しかった。
 
 

あれから16年、今年で20周年を迎えたJVTA。その節目をきっかけに、なつかしい講師や修了生の方々と久しぶりにお会いする機会があった。20年経った今も変わらず、その鋭いアンテナと溢れるエネルギーは明らかに存在していた。かつて信じた“いつかここから映像翻訳の未来を担っていく”という誓いが、その時鮮明に蘇った。ふと“JVTAがいつか「カフェ・ド・フロール(※②)」のような場所になれればステキだな…”という思いに包まれた(笑)。
(※②フランス・パリにある1887年創業の老舗カフェ。ピカソやダリ、サルトル、ボーヴォワール、コクトーなど芸術家の溜まり場として有名)
 
 

新たなステップを目指すとき、私は昔住んでいた街や、好きだった場所を訪れるようにしている。空間を原点に戻すことで、あの頃描いていた希望を思い出すことができるからだ。希望を果たせたか果たせなかったかはともあれ、過去の自分と今の自分を結ぶことで、目の前の希望が見えてくる。機会があれば、ぜひ代々木八幡に行ってみたい。16年前の自分と今の自分を結んでみれば、かつての誓いの先につながる希望が見えてくるはずだ。
 
 

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Written by 中塚 真子 
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[JVTA発] 発見!キラリ☆  11月のテーマ:誓い
日本映像翻訳アカデミーのスタッフが、月替わりのテーマをヒントに「キラリ☆と光るヒト・コト・モノ」について綴るリレー・コラム。修了生・受講生にたくさんのヒントや共感を提供しています。