発見!キラリ 10年の耐えられない軽さ
2月のテーマ:キラリ
「10年ひと昔」ってよく言うけど、“ひと未来”とは言わないよな。言っても普通に「10年後」、「10年後の予測」とか、「10年後の自分」とか…。「近未来」はどうだろう。ちょっとSF風だな。超ハイテクノロジーとか、ディストピアとか、管理社会とか、連想しちゃう。でも、そもそも近未来って何年後を指しているのだろう? 一般的な基準があるのだろうか? 20年? 50年? 100年? 未来のことを描いたり、想像したりするときに、10年ってどんな重さなんだろう?
つれづれなるままに考えていると思い出すのが、小説や映画で「近未来」に設定されている未来を、現実が追い越す面白さ。1万年後の未来の物語にその現象が起きるのを私たちが目のあたりにすることはありませんが、近未来なら、いろいろあります。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』の未来を私たちが2015年に追い越したことはメディアでも話題になりました。『2001年宇宙の旅』はとっくに過ぎていて当時の感覚を思い出すのが難しいかな…。『ブレードランナー』は2019年なので、いよいよ来年ですね。あの微妙に残念だったり、感心させられたり、うっとりしたりする感じ、私は好きです。
これから起こること(想像)とすでに起こったこと(現実)がクロスオーバーし、現実に進んでいくタイムラインとは別に、感情の中だけで呼び起こされる「近未来感覚」。AIの目覚ましい発達を受け、昨今話題なのが「近未来になくなる仕事」というトピックですが、「映像翻訳の近未来」を考えるときも、そんな近未来感覚を思い出すと、その先の想像がディストピア的でも、ユートピア的でも、ワクワクせずにはいられません。そこには今の私たちが考える「仕事」とクロスオーバーしながら、私たちの想像を少しだけ超えた、新しい仕事が生まれているに違いありませんから。
Written by 石井清猛
[JVTA発] 発見!キラリ☆ 2月のテーマ:10年
日本映像翻訳アカデミーのスタッフが、月替わりのテーマをヒントに「キラリ☆と光るヒト・コト・モノ」について綴るリレー・コラム。修了生・受講生にたくさんのヒントや共感を提供しています。
バックナンバーはこちら