【コラム】JUICE #16「豊作!2019年4月期アニメ」●村西亜矢子
私の推し声優の出演作が多いということを抜きにしても、作品自体のクオリティが高い気がする。アニメ評論家を気取るつもりは毛頭ないが、いちアニメ好きとして、今期オススメの3作品を(私の勝手な独断と偏見で)紹介していきたい。
①制作陣からのサプライズ!『文豪ストレイドッグス 第3シーズン』
この作品は中島敦、太宰治、中原中也といった文豪たちが活躍する“異能アクションバトル”である。昨年、劇場版が公開された際、入場者特典でスピンオフ小説『文豪ストレイドッグス 太宰、中也、十五歳』が配布された。「原作者の朝霧カフカ先生書き下ろし小説が読めるとは、なんて贅沢だ!」とウキウキしながら家路についたのはよく覚えている。なんと、第26話(今シーズンの第1話)はその書き下ろし小説をアニメ化したものだったのだ。事前情報が一切ないまま放映されたので、まさに寝耳に水だった。原作ファンだからこそ伝わる、アニメ制作陣の熱量。いい意味で視聴者を裏切るこの作品に今後も見逃せない。
②あれから30年。「明青学園」が帰ってきた!『MIX』
アニメやマンガに詳しくない方でも、あだち充の『タッチ』は聞いたことがあるだろう。明青学園が甲子園初出場、初優勝を果たしてから30年。再び明青学園野球部がよみがえる。ストーリーもさることながら、『タッチ』の浅倉南役の日高のり子さんが出演している点もファンにはたまらない。浅倉南つながりでいえば、浅倉南のネタでブレークした芸人のいとうあさこさんも声優で出演するそう。毎話なんらかのキャラクターで登場するので、“あさこを探せ!”をしてみても面白いかもしれない。
③オカルト×公務員の異色な組み合わせ『真夜中のオカルト公務員』
新宿区役所職員として主人公・宮古新が配属されたのは「夜間地域交流課」。そこは、人ならざるものが引き起こすオカルト的事象を解決する特殊な課だった。非常にインパクトのあるこのタイトル。いわゆる、ホラーやサスペンスの類いではないので、タイトルだけで敬遠するのはもったいない。東京都新宿が舞台のため、新宿御苑や都庁など、一度は見たことのある風景が丁寧に再現されている。オープニングにもこだわりを感じられる。原作の表紙の配色をそのまま生かしてアニメーションにしている点や、作品のキーワードになるものを散りばめている点は、原作を知っていればより楽しめるオープニングとなっている。
新たな世界の扉を開こう!
これまで挙げた3作品は、どれもマンガが原作である。私はマンガも好きなので、アニメ化する前にその原作マンガをすでに読んでいることが多いが、アニメを見てからマンガを読むというのも、また違った見方や感じ方ができる。もうすぐ大型連休が待ち構えている。私のようなサブカル好きは、日々の疲れをアニメやマンガで癒やすには絶好の機会だ。普段はあまりアニメやマンガに触れていない方も、ぜひこの機会に鑑賞してみてはいかがだろうか。あなたの知らなかった世界がきっと待っているはずだ。
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Written by 村西亜矢子
むらにし・あやこ●JVTAバリアフリー事業部ディレクター。MASC×JVTA バリアフリー視聴用音声ガイド&字幕ライター養成講座のアニメ字幕の講義を受け持つ。
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