News
NEWS
JUICEinBLG

【コラム】JUICE #21「なかなか主流になれないTRPG」●カイェタン・ロジェヴィチ

【コラム】JUICE #21「なかなか主流になれないTRPG」●カイェタン・ロジェヴィチ

「趣味はなんですか?」と聞かれたら、答えに戸惑うことがあります。別に、はっきりした趣味がないからでもなく、人に知られたらまずい趣味を持っているわけでもないです。ただ、説明がちょっとやっかい…。
 

皆さんは“TRPG”という略称を聞いたことありますでしょうか。“RPG(ロールプレイングゲーム)”ならきっと一度はあるはず。選ばれし勇者がモンスターを倒したり、レベルアップしたり、世界を救ったり――。そんなイメージがあるでしょう。だけど、“T”は?
 

TRPGとは「Tabletop Role-Playing Game」のこと。日本では「テーブルトークロールプレイングゲーム」という和製英語で呼ばれています。ゲーム機などの機材を一切使わず、数人のプレーヤーでテーブルを囲い、トーク、つまり語り合いだけで世界観を描き、主人公たちの冒険を進めて楽しむゲームです。
 

Role_playing_gamers_(II)-min
Credit: Wiki Commons/Creative Commons
 

参加者の役割はプレーヤーとゲームマスターに分けられています。プレーヤーは、皆それぞれのキャラを考え出して、ゲーム中その人物を演じたり、そのキャラがどんな行動を取るか決めたりします。一人だけいるゲームマスターは、あらかじめシナリオの概要を書いて、ゲーム中にプレーヤーらが出会う場所・物・人を描写したり、プレーヤー以外の人物(NPC:ノンプレイヤーキャラクター)を演じたりします。また、プレーヤーとNPCの間に、バトルが起きたら勝ち負けを審判します。言い換えるなら、ゲームマスターは舞台監督で、プレーヤーは俳優です。脚本はゲームマスターのアイデアとプレーヤーのアドリブの間に生まれるいうところでしょう。
 

indy-rpg-featured
 

遊ぶために必要なものは、決して多くありません。世界観と基本ルールを説明するルールブック、キャラの概要を記載するシート、ランダムにシチュエーションの結果を決めるときに投げるサイコロぐらいです。ルールブックはお店で売っているものもあり、ファンタジー、SFをはじめ、探偵者やホラーまで多様な世界観を紹介しています。
 

実は、欧米ではTRPGはよく知られており、ポップカルチャーのイメージがかなり強いです。Netflixのテレビドラマシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」では、“TRPGの代名詞”といわれている作品『ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ』がセリフの中で紹介されていました。また、声優たちによるTRPGの生中継から始まった、人気Youtubeチャンネル「Critical Role」もあります。
 


 

しかしながら、TRPGをやっている人はそれなりに多くても、ビデオゲームとして主流にはなれない印象です。それは少し残念。デジタルの時代とはいえ、焚き火の周りに集まっていた昔の人たちみたいに、言葉だけで築かれた物語を楽しむのがイイのです。機会があれば、ぜひやってみてください。とりあえず、ルールブックはどんな感じか気になる方は、秋葉原のイエローサブマリンというお店まで足を運んでみてください。
 

ご参考:
TRPGを扱っている店イエローサブマリンのウェブサイト
http://www.yellowsubmarine.co.jp/
 

クリティカルロールのYouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCpXBGqwsBkpvcYjsJBQ7LEQ
 

ドライブスルーRPG
https://www.drivethrurpg.com/
 

—————————————————————————————–
Written by カイェタン・ロジェヴィチ
 

ポーランド出身。ヤギェウォ大学言語学部日本学修士。同大学大学院在学中にインターン生としてMTCに勤務。現在はJVTAで、日英映像翻訳ディレクターとして企業PR映像などの翻訳プロジェクトを手がける。
 

—————————————————————————————–
 

「JUICE」は日々、世界中のコンテンツと対面する日本映像翻訳アカデミーの講師・スタッフがとっておきのトピックをお届けするフリースタイル・コラム。映画・音楽・本・ビデオゲーム・旬の人、etc…。JVTAならではのフレーバーをお楽しみください!
 
バックナンバーはこちら