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【コラム】JUICE #39「ファイナルファンタジーⅦ」●タイラー・ジェイムズ

【コラム】JUICE #39「ファイナルファンタジーⅦ」●タイラー・ジェイムズ

皆さん、お疲れさまです。
 

JVTAのタイラーです。
 

前回は任天堂の「スーパースマッシュブラザーズ」という世界的なヒットシリーズとゲームの翻訳について長く語りました。
 

関連記事:【コラム】JUICE #2「“スマブラ”とゲーム翻訳について考えてみた!」
 

私はゲーム好きなので、今回もゲームをベースにして話していきたいと思います。
 

まずは皆さんにお聞きしたいと思います。
 

ファイナルファンタジー(通称: FF)というゲームシリーズをやったことがあるか、もしくは聞いたことがありますか?
 

聞いたこともやったこともない人たちのために軽く紹介しますね↓↓
 

FFシリーズは日本のゲームクリエイター、坂口博信によって生み出され、スクウェア・エニックスという企業によって開発・販売されているRPGのシリーズです。CG、アニメ作品でも展開されています。
 

とても長いシリーズで、第1弾は1987年に発売され、2019年の現在に至るまで、世界的な人気のあるシリーズとして発展してきました。そのシリーズ中に、「ファイナルファンタジーⅦ」という作品があります。
 

1997年にプレイステーション1(PS1)というソニーの家庭用ゲーム機向けのソフトとして発売されて、シリーズの中で一番人気のタイトルと言ってもいいと思います。発売されて以来、合計1億9000万本が売れていて、2020年にプレイステーション4(PS4)という、とてもハイスペックなゲーム機向けにリメイクすると去年スクエアエニックスさんが発表しました。
 


 

「ファイナルファンタジーⅦのリメイクの発表への反応」というYouTube動画もたくさんあるので、これを見るとどのくらい世界中の海外の人たちがこのゲームを愛しているのかをイメージしやすいと思います。
 


 


 

実は、私が生まれて初めて100%日本語でやってみたゲームはこのゲームですよ!
 

前回のJUICEのコラムでもお話ししましたが、私は完全な日本ゲーマーで、4歳から今までずっと日本のゲームの大ファンとして楽しんできました。ゲームを通して初めて日本の存在を知り、そしてゲームで日本語を勉強するモチベーションと、日本に行って暮らすモチベーションを得ました。とにかく、こんなに最高に楽しいゲームがあってよかったぁ、と毎日思っています。
 

で、言えるのは、ゲームがなかったらこんなに日本語を書いたり話したり、読んだりできるようにはなっていないのかなということです。
 

よく思うことがあります。それは「大好きなコンテンツがあれば語学がとても楽しくなり、典型的な勉強方法よりも、早く勉強中の言語を覚えることができる」。アメリカ人である私は幼稚園から大学の1年目までスペイン語を勉強してきました。いわゆるガリ勉で、スペイン語でもロシア語でも、他国語の何でもいいから勉強してみたいという好奇心がありました。当時とても楽しくスペイン語を勉強していて、年数で言えば日本語よりも断トツでスペイン語の方が長く勉強してきましたが、なぜか日本語の方が流暢になっています。それはなぜでしょうかね?
 

日本に来て10年目になり、とても長く暮らしてきました。スペイン語圏の国には1年しか住んでいないので、もちろんそれも理由の1つかもしれませんが、もっと肝心なポイントがあると思います。それは、私がそもそもスペイン語圏の国に死ぬまで住んでみたい! という強い気持ちが一度も湧いたことがないことですよ。
 

よーく考えてみれば、(もちろん好きなラテン系の食べ物や音楽はありますが) 私には日本のポップカルチャー・コンテンツと同じくらい大好きなラテン系のコンテンツがもともとなくて、多分「英語じゃない言語を勉強するのがとても楽しい!」と思っていただけなのかもしれません。
 

大学生の時に中国語も勉強してみようと思って、4年も勉強しましたが、中国と台湾系のコンテンツにもハマらなくて、やはりただ「英語じゃないから楽しい」と無意識に考えていたのだと思います。どおりで、今は日本語よりもスペイン語と中国語の方が下手になっています。
 

最近はゆっくりとイタリア語を勉強し始めました。前回のコラムでも書きましたが、イタリアは日本の次に好きな文化や社会で、大好きなコンテンツが山程あるので、大変楽しくイタリア語が勉強できています。15年も長く勉強してきたスペイン語よりも、1年しか勉強していないイタリア語の方が得意になっていると思います(←思いたいです!)
 

やはり語学学習はコンテンツですよ! コンテンツが鍵だと思います! 魅力的なコンテンツがあったからこそ、早く日本語を身につけられました。また、日本という国に引っ越してきて、残りの人生を送ろうとも思いました。日本の友達や恋人にも出会うことができて、幅広くいろいろな業界で働くこともでき、そして今、JVTAのオフィスで今回のコラムを書く、というステージまで辿り着きました。
 

日本のゲームとの出会いがあったからこそ、仕事面でも私が大いに成長してこられたと思います。ゲームにはさまざまな場面で使われている言葉づかい、話し方、時代によっての表現や、奇抜で、現実的な世界ではあまり使わない言葉と文法などがたっくさん入っています。ゲームを通して語彙力が大変高くなって、身につけた言葉を生かして前回と今回のJUICEのコラムのような長文も書けるようになっていると言っても過言ではないと思います。
 

また、私生活面でもゲームで覚えられた言葉がとても役に立っています。小説や雑誌、本なども以前に比べて読みやすくなり、辞書を使う頻度もとても低くなりました。テレビ、映画、ドラマなどを見るときや音楽を聴くときも、こんなに言葉が覚えられたおかげで日本語をより理解できるようになっていて、日本に最初に来た頃よりも日本の素晴らしいコンテンツを今の方が楽しめています。そしてある意味で日本の人(の一部)とのコミュニケーションがより円滑にできるようになっているとも思います。例えば、初めて会った人と話すとき、もし共通点がゲームであればゲームを会話のネタにして、その人と話すことがとても楽になると思います(誰とでも永遠にゲームの話をしていられるからね!)。
 

だらだらと話してしまい大変申し訳ございませんが、今回のJUICEのコラムを通じて、みんなさんに最も伝えたいことはこれかな↓
 

語学が大変だと思ったら、勉強している言語の国のコンテンツを探すといい。オーソドックスな勉強の仕方だけだと、いつか語学の勉強に飽きてしまうのではないかと思うのでテキストにコンテンツを通しての勉強も加えてみてはどう?
 

ということですね。
 

「ただのゲームですが…」と思う方もいるかもしれませんが、子どもの頃からずっと愛している、日本のゲームに対しての情熱があったからこそ今の私になれたと本当に思います。
 

私と同じように、皆さんも字幕や他国の文化、言語などを勉強しているので、日本に長く住んできた私にとっての大事なメディア・コンテンツが、どのように自分の人生に影響を与えてくれたのかについて話してみようと思いました。
 

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Written by タイラー・ジェイムズ

アメリカ出身。Willamette University(言語学)、University of Puget Sound(音楽)を卒業後、2010年に来日しゲーム開発会社などに勤務する。日本語の他に、中国語、スペイン語も堪能。ワークショップ講師のほか、講座プランニング、デジタルコンテンツ制作に従事している。

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「JUICE」は日々、世界中のコンテンツと対面する日本映像翻訳アカデミーの講師・スタッフがとっておきのトピックをお届けするフリースタイル・コラム。映画・音楽・本・ビデオゲーム・旬の人、etc…。JVTAならではのフレーバーをお楽しみください!
 

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