【コラム】JUICE #41「初めての脱税⁉」●丸山雄一郎
かなり今さらなのだが最近、デパートの物産展にハマっている。先日は池袋の東武百貨店の『長崎展』に行き、その足で東武と反対側にある西武百貨店で開かれていた『食べ旅にっぽん グルマンマルシェ』を梯子し、五島列島の鯖寿司や古都香(京都)のお団子、町村農場(北海道)のソフトクリームなど普段東京では味わえないものを食べまくった。本当は会津屋(大阪)のたこ焼きも食べたかったのだが行列が長いので泣く泣く諦めた。
最近の食関係の催事は“その場で食べられる”を一つのテーマにしているので会場はまさに食べ歩き天国だ。鮨や高級素材を使ったごちそう的な料理からその地方で人気のB級グルメまで幅広いメニューがその場で楽しめる。最初は持ち帰ろうと買った鯖寿司も会場でおいしそうに食べている人たちの様子を見ているうちに結局我慢しきれず会場で食べてしまった。
食べながら会場の張り紙を見てはっとした。「お持ち帰りは消費税8%。会場内で飲食される方は消費税が10%となります」。持って帰ろうと思ったので消費税は8%しか払っていない。デパートの人に「食べてますよね⁉」とか言われたら恥ずかしいなと思いつつ素知らぬ顔で素早くかき込んでしまった。「普通に考えれば言われることってないよな」とその時は思ったが、実は少し前からネットで『イートイン脱税』というワードが話題になっていることをこの原稿を書きながら思い出した。イートイン脱税とはテイクアウトと偽って店内で飲食することを指すそうだが、まさに先日の僕の行為そのものだったのだ(もちろんその時は2%節約しようなどとは思ってもいなかったが)。
ただコンビニチェーンではこのイートイン脱税に頭を悩ませており、これを防ぐため今後申告を促す店内放送を始めるそうだ。また、大手コーヒーチェーンではイートイン脱税だけではなく『正義マン』の存在も問題になっているという。正義マンとはイートイン脱税をしている人を注意したり、お店の人にその人の存在を知らせたりする人のことを指す。実際にあるコーヒーチェーンの一部店舗では正義マンからの“お知らせ”を防ぐため、店内で持ち帰り用の紙カップを使用する人のカップに「EAT IN」と書かれたシールを貼っている。
正義マンへの賛否はともかく、面倒な消費増税に対応しているお店や企業の方々に余計な気を使わせるのは申し訳なかったとこの原稿を書きながら反省している。しばらくはデパートの催事場通いも続きそうなので今後は店内で食べようと思ったときには申告しなければと決意を新たにした。皆さんも消費税と正義マンにくれぐれもご注意を!
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Written by 丸山雄一郎
まるやま・ゆういちろう●日本語表現力強化コースの主任講師。学生時代からJVTA代表である新楽直樹に師事し、ライターとしてデビュー。小学館「DIME」「週刊ポスト」「週刊ビッグコミックスピリッツ」などでライター、編集として活動後、講談社「週刊現代」「FRIDAY」「セオリー」などで執筆。現在は、映像翻訳本科のほか企業の社内研修でも講師を務める。
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