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【コラム】JUICE #62「おうち時間の楽しみ方」●藤田奈緒

【コラム】JUICE #62「おうち時間の楽しみ方」●藤田奈緒

ふと思い立って久々にFacebookにログインしたころ、「過去のこの日」機能によって、5年前のその日、ロサンゼルスのトーランスにあるホテルの部屋にいたことを知った(思い出した)。トーランスにはJVTAのロサンゼルス校があり、ちょうどその頃、2カ月の出張で学校から道を挟んで向かい側に立つホテルに滞在していたのだ。
 

車なしの生活だったので、私の足といえば、たまたま知り合った日系人の親切な女性に借りた自転車のみ。当然動ける範囲はかなり制限されたが、Google Mapを片手にトーランスの町を探索したり、友人の現地の知り合いを紹介してもらって、ビーチやダウンタウン、ハリウッドに連れていってもらったりと、仕事以外の時間もそれなりに満喫した。短い滞在だったので特に日本に帰りたくなることはなかったが(日系スーパーや日本食の居酒屋も多く、食に困ることもなかった)、唯一恋しく感じたのは日本の“桜”だった。
 

桜の季節には、友人たちとお花見をするのが常だったので、その年はそれができないというのは何だか寂しくもあり、ちょっぴり残念だった。東京の友人とLINEのやり取りをすると、桜の写真なんかが送られてきたりして、その度にどうしようもない無念さが募った。するとあまりに羨ましがる私を見かねた友人たちが、お花見をする時にSkypeでつなぐよと誘ってくれたのだ。なんて冴えたアイデア! 私はいそいそとその日に向けてお酒やおつまみを買い揃え、みんなは桜の木の下で、私はトーランスのホテルの部屋のパソコンの前で、無事に“お花見”を楽しんだのだった。
 

そして5年後の今年の春。
 

新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい続ける中、せっかくのお花見シーズン到来も自粛ムードが広がり、またしてもお花見ができそうになかった。うーん、残念。あきらめかけたその時、トーランスでのSkype越しの花見を思い出した。すぐさま友人に連絡を入れ、翌日お花見をしないかと誘うと二つ返事(自粛疲れで1人で家に籠っているのも飽きた様子)。それぞれ近所のお花屋さんで桜の枝を買って花瓶に生け、5年前のあの時のように、お酒とおつまみを用意してパソコンの前でスタンバイ。今度は今流行りのZoomを使ってオンライン花見を堪能した。時差のない分、時間を気にせずゆったりと。
 

1カ月の緊急事態宣言が発令された今、誰もが長期戦を覚悟していることと思う。各企業のテレワーク化も一気に進み、必然的に家にいる時間が増える。“おうち時間”をどう楽しむか。もちろん人それぞれだし、私のようなふざけた過ごし方なんてせず、普段できないことに時間を使うのもありだろう。例えば、いつもは余裕がなくて期限ぎりぎりに提出している翻訳の課題を、いつもの何倍も時間をかけて見直してみるとか。講義で学んだことを、ノートを見返しながらみっちり復習してみるとか。普段見られない映画やドラマを翻訳者目線で片っ端から見まくるとか。
 

JVTAはそんな学ぶ意欲いっぱいの皆さんを応援するため、この時期も活動を止めずに講義を続けます。完全オンライン化! ぜひ一緒にレベルアップし続けましょう(オンライン受講、ヘッドホン越しに音声がクリアに聞こえるし、意外と集中できていいですよ?)。
 

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Written by 藤田奈緒
 

ふじた・なお●日本映像翻訳アカデミー講師。受講生・修了生サポート部門リーダー。同校を修了し、映像翻訳者としてキャリアをスタート。その後、修了生のための就業支援部門「メディア・トランスレーション・センター(MTC)」でディレクターを務め、現職に至る。UNHCR難民映画祭の字幕制作総合ディレクター、明星大学非常勤講師としても映像翻訳の指導を行う。
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