【スタッフコラム】Fizzy!!!!! JUICE #1
意外と知らない名作の原題『Rambo: Last Blood』●小笠原ヒトシ(バリアフリー事業部プロデューサー)
直訳すると「ランボー:最後の血(攻撃)」ですが、
邦題は:『ランボー ラスト・ブラッド』
シルヴェスター・スタローン主演の人気アクション映画「ランボーシリーズ」が、第1作から約40年で遂に完結します。
アメリカ陸軍特殊部隊の一員として、過酷なベトナム戦争を生き抜いてきたジョン・ランボーは、帰還後も心の病(心的外傷後ストレス障害、PTSD)を抱えながら様々な戦いの場に身を投じてきた。そんなランボーも今ではアリゾナの牧場で、旧友マリアとその孫娘ガブリエラら“家族”と共に穏やかな生活を送っていた。だが、大切なガブリエラが人身売買カルテルに拉致されたことが分かり、ランボーは最後の戦いに挑む決意をする。
まずはシリーズ全体の原題と邦題についておさらいしましょう。
サブタイトル好きの邦題は…?
第1作の原題が『First Blood』で、その邦題が『ランボー』というのは、邦題マニアでなくとも知っている有名な話ですよね? 日本の配給会社が『ランボー』と付けたという説が広まっていましたが、実際には主に英語圏では『First Blood』、日本を含む非英語圏の国では『Rambo』というタイトルで上映されていました。
第2作は『Rambo: First Blood Part II』で、英語圏の原題にも“Rambo”が付けられました。とはいえ“Rambo Ⅱ”ではなく、あくまで“First Blood Ⅱ”です。非英語圏では第1作の続編ということでシンプルに『Rambo Ⅱ』でしたが、サブタイトル好きの邦題は『ランボー/怒りの脱出』となりました。ここから痛快アクション映画としての色を濃くしていきます。そしてタイトルのカオス度も増していきます。
第3作でやっと全世界的にほぼ統一され『Rambo III』となりました。ところが邦題は『ランボー3/怒りのアフガン』と世界で唯一サブタイトル付き。ちょっと特殊な例ではマレーシアが『Rambo: First Blood Part Ⅲ』という、ある意味一貫したタイトルの付け方をしていました。
第5作でついに世界的に統一される
20年ぶりの続編として制作された第4作、英語圏でのタイトルは『Rambo』でした。久しぶりの制作で、原点に戻る意味があったのでしょうか。ところがほかの国ではすでに第1作のタイトルで『Rambo』を使ってしまっていたことから、フルネームの『John Rambo』(フランス、ドイツなど) や『Rambo Ⅳ』(ロシア、インド、ブラジルなど)となりました。邦題は『ランボー/最後の戦場』です。
そして第5作でやっと全世界的に『Rambo: Last Blood』で統一されたのです。邦題も余計なサブタイトルを付けることなく。このタイトルは、すでにお分かりの通り、第1作のアンサータイトルですね。
『First Blood』は、ベトナム帰還兵のランボーが戦争のトラウマと戦いながら、同時に彼を差別し排除しようとする市民や保安官たちとも戦うという話で、単なるアクション映画とは一線を画す深いテーマを持った作品でした。 ”They drew first blood, not me.”(先に手を出したのは奴らだ、俺じゃない)というセリフがありましたが、はたして本作ではそのアンサー的なセリフもあるのでしょうか? 日本以外の国ではすでに昨年公開済みですので、答えがお分かりの方もいますね。
『ランボー ラスト・ブラッド』は6月26日(金)より日本全国の劇場で公開されます。
▶公式サイト
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Written by 小笠原ヒトシ
おがさわら・ひとし●JVTAバリアフリー事業部プロデューサー。北海道生まれ。ハリウッドでの映像制作などを経て、現在はバリアフリー字幕と音声ガイド制作の指揮をとるかたわら、MASC×JVTA バリアフリー視聴用音声ガイド&字幕ライター養成講座で字幕制作者の育成を行う。「M-1ビザLA留学コース」のアドバイザーも担当。
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