【スタッフコラム】Fizzy!!!!! JUICE #8
『それでも僕らは走り続ける』●パク・ソンジュン(GCS映像翻訳ディレクター)
明けましておめでとうございます。
昨年から前例のないパンデミックで大変な生活を強いられていますが、同時に2020年は韓国コンテンツが世界で大ヒットをした1年であるとも言えます。韓国初の時代劇ゾンビドラマである『キングダム』シーズン2をはじめ、社会的なブームにもなった『愛の不時着』、『梨泰院クラス』、個人的にとても楽しめた『人間レッスン』や『Sweet Home –僕と世界の絶望–』など数多くの作品がStay Homeの時間を楽しませてくれました(上記作品は全てNetflix作品ですが、回し者ではございません!)。素早い展開、役者さんの演技、集中が切れることのないストーリーなど、全てにおいて視聴者を楽しませてくれました。そんな中、他の作品よりそれほど注目はされていませんが、皆さんに是非見て欲しい作品を紹介しようと思います。
毎週Netflixで配信されている『それでも僕らは走り続ける』です。国会議員の父と大女優の母を持つ陸上選手のソンギョムと孤児のミジュ(ヒロイン)の恋愛ストーリーです。是非注目してほしいポイントを紹介します。
韓国ドラマ“あるある”のお金持ちの王子様とシンデレラのお話と思ったら大間違い! ミジュの職業はなんとフリーランスの“映像翻訳者”なのです。ドラマ・映画には様々な職業が出ます。会社員をはじめ、警察官、パイロット、シェフ、探偵などなど、我々の身近にある職業が多いです。恐らく視聴者の身近な職業にする事で共感を得やすくするのが目的だと思います。そんな中、ヒロインの職業が映像翻訳者という事は我々の生活にもだいぶ身近になってきたと思っても良いのではないでしょうか。今や地上波TVやBS/CSより多くの配信プラットフォームで好きな時に好きな場所で好きな作品を楽しめる時代になってきたからこそだと思います。
この作品には韓国で有名な翻訳者の方が監修として関わっています。なので、ミジュの仕事場(部屋)のレイアウトなどは監修をされた翻訳者さんとほぼ同じだそうです。現在映像翻訳をやっている方は“私のデスクと同じだ!”や、これから目指す方は“私の未来のワークスペースはこんな感じになるのかな”なんて考えながら見るのも良いと思います。また、 “意訳(をした字幕)”や“ミュージカル作品を翻訳する大変さ”などは映像翻訳に関わっている人からしたら作品を楽しめるポイントになるのではないでしょうか。
“映像翻訳者”という“言葉”を大事にする職業が出てくるので、いろんな場面で言葉の大切さ・ありがたさが演出されます。同じ言葉でも使うシーンによっては意味が変わります。使う相手によっては違う意味で伝わる事もあります。同じ言葉(言語)で話しているのに全く通じないこともあります。今一度、言葉の重みを考えさせてくれる作品です。
本作品を機に今後はさらに注目される職業になるかもしれません。“1つの世界を完全に理解して世に伝える仕事をする人”、“映像作品を最後まで観ないと(エンドロールで)出会えない人”、そんな人たちが少しでもたくさん誕生できるように、JVTAは今年も皆様の夢のサポートをしていきます。
参考:
『それでも僕らは走り続ける』(Netflix)
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Written by 朴ソンジュン
パク・ソンジュン●新卒として日本映像翻訳アカデミーに入社。多言語翻訳や海外プロモーションをサポートする、グローバル・コミュニケーション・サポート部門(GCS)で日→英、日→多言語の翻訳案件を担当。最近の仕事に「マンモス展 -その『生命』は蘇るのか-」の掲示物の英語版、中国語版の制作ディレクションなど。
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「Fizzy!!!!! JUICE」は月に1回、SNSで発信される、“言葉のプロ”を目指す人のための読み物。JVTAスタッフによる、示唆に富んだ内容が魅力です。一つひとつの泡は小さいけど、たくさん集まったらパンチの効いた飲み物に。Fizzy! なJUICEを召し上がれ!
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