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これがイチ押し、アメリカン・ドラマ 第22回「発表!Best of the Best Drama 2000-2015」 Part I

これがイチ押し、アメリカン・ドラマ 第22回「発表!Best of the Best Drama 2000-2015」 Part I

今、アメリカ発のテレビドラマが最高に熱い。民放系、ケーブル系各社に[…]

“Viewer Discretion Advised!”
これがイチ押し、アメリカン・ドラマ
Written by Shuichiro Dobashi 

第22回「発表!Best of the Best Drama 2000-2015」 Part I
“Viewer Discretion Advised”は海外の映画・テレビ番組等の冒頭で見かける注意書き。「バイオレンスやセックス等のコンテンツが含まれているため、視聴の可否はご自身で判断して下さい」という意味。

今、アメリカ発のテレビドラマが最高に熱い。民放系・ケーブル系に加えてストリーミング系が参戦、生き馬の目を抜く視聴率レースを日々繰り広げている。その結果、ジャンルが多岐に渡り、キャラクターが深く掘り下げられ、ストーリーが縦横無尽に展開する、とてつもなく面白いドラマが次々と誕生しているのだ。このコラムでは、そんな「勝ち組ドラマ」から厳選した、止められない作品群を紹介する。
 

過去15年間のジャンル別ベスト3&総合トップテンを選ぶ!
これまで21回にわたり、新作と日本未放送作品を中心に‘勝ち組ドラマ’を紹介してきました。自分なりの視点と切り口を意識すると同時に、映画・ドラマファンの方々にとって“informative”であるように配慮したつもりですが、いかがだったでしょうか? おつき合いいただいている読者の方々には心から感謝します。
 

新作紹介は弾がつきてしまったので、現在コンセプトを変えた新シリーズを構想中です、ご期待下さい。
尚、新作は今後も適宜紹介していきます。(Amazon製作、フィリップ・K・ディック原作の “The Man in the High Castle”なんか楽しみです)
 

アメリカン・ドラマの、より網羅的な紹介という観点に立ち、今回から3回に分けて「過去15年間の総括」を行います。とは言ったものの、観ていないドラマは山ほどあるので抜けも少なくありません、ただの遊びです。
具体的には、①筆者のお気に入りドラマから、2000年以降に米国で放映された92作品(英国作品を含む)を8つのジャンルへノミネート、②各ジャンルからベスト3をピックアップ(8ジャンル X 3 = 24作品)、③その中から”Best of the Best Drama 2000-2015”として総合トップテンを選出、という手順です。
何と野心的な試みでしょう!
 

ジャンルは以下の8つとします。
<Action>、<Police & Detective>、<Sci-Fi, Horror, & Fantasy>、<Comedy>、
<Legal>、<Crime>、<Young Adult>、<Human Drama>

 

それでは、ジャンル別のベスト3とノミネート作品をみて行きましょう。今回は<Action>と<Police & Detective>です。
 

第1部「ジャンル別ベスト3」(2000-2015)
 
<Action>
 
ひと言コメント:圧倒的な緊迫感が続く“MI-5”の1位選出に迷いなし!
 

第1位:“MI-5”(英)(2002-2011)
ロンドンにおけるテロの恐怖と非情な諜報戦が活写される、英国BBC製作のスーパーアクション。スパイ小説の名手ジョン・ル・カレやB・フリーマントルを生んだ国だけあって、ストーリーは緻密で微塵の妥協もない。MI-5とは英国機密情報部のことで、シーズン3~7あたりは圧倒的なリアリティで“24”を凌ぐ面白さ、絶え間ない緊迫感で心臓が止まりそうになる。英国における原題は“Spooks”(スパイたち)。
 

第2位:“24” (2001-2010, 2014)
CTU(Counter Terrorist Unit)の活躍を1エピソード1時間 X 24時間のリアルタイムで描く、近代アクションドラマの傑作。米国同時多発テロ事件(9.11)の2カ月後にスタートしたために、当初はリアルなテロ・拷問シーンに対して批判的な意見も多かった。だが身も心もボロボロになってテロリストに立ち向かうジャック・バウアー(キーファー・サザーランド)のキャラクターは、やがて世界中で市民権を得た。 *本ブログ第1回参照
 

第3位:“NCIS: Los Angeles” (2009-present)
全米で視聴率トップを誇る“NCIS”(Naval Criminal Investigative Service)からのスピンオフだが、純粋なアクションドラマとしてのでき栄えは間違いなく本作が上。主演はクリス・オドネルとL・L・クール・Jで、切れ味鋭いアクションとコメディタッチのバランスが絶妙。(特にオドネルのガンさばきはクールだ)
チームのボス、ヘティを演じる71歳のオスカー女優リンダ・ハントのとぼけた魅力も秀逸。
 

(ノミネート作品)
“24”、“Chicago P.D.”、“CSI: Miami”、“Hawaii Five-O”、“MI-5”(英)、“NCIS”、 “NCIS: Los Angeles”、“Person of Interest”、“The Shield”、“The Unit”
*太字は本コラムで紹介した作品
 

<Police & Detective>
ひと言コメント:タイプの違う良質な作品がみごとに揃った!(と自画自賛)
 

第1位:“N.Y.P.D. Blue” (1994-2005)
名プロデューサーのスティーブン・ボチコが、警察官を生身の人間として描き切った‘80年代警察ドラマの傑作“Hill Street Blues”の最終完成型が本作。マンハッタンを舞台に、刑事という生き方を通して人生の深淵を覗きこむ最良のヒューマンドラマ。放送終了後10年以上たつが、その哀愁と余韻は今も心に残る。デニス・フランツが演じた、小太りで気難しい中年刑事アンディ・シポウィッツの魅力は忘れ難い。
 

第2位:“The Killing” (米国版)(2011-2014)
デンマークで最高視聴率を記録した推理ドラマのアメリカ版リメーク。シアトルの刑事サラ(ミレイユ・イーノス)は、退職当日に起きた17歳の少女の失踪事件にとり憑かれる。サラと相棒のホールダー(スウェーデン系のイケメン俳優ジョエル・キナマン)は、幾層にも入り組んだ人間関係と欺瞞を緻密な捜査で解き明かし、真相に迫っていく。二転三転するストーリー、途切れることのない緊迫感とリアリティは圧巻のひと言。
 

第3位:“Sherlock”(英)(2010-present)
コナン・ドイルのホームズ譚を読んだことのないミステリーファンでも充分楽しめる、BBC製作による近代シャーロック・ホームズ物の決定版。1話約90分、原作(聖典)が巧みに現代風にアレンジされていて、(シャーロキアンは別にして)スマホやインターネットを駆使するホームズにも違和感はなく、文句なく面白い。ホームズ役のベネディクト・カンバーバッチとワトソン役のマーティン・フリーマンも適役。
 

(ノミネート作品)
“BOSCH”、“The Closer”、“Criminal Minds”、“CSI”、“Fargo”、“The Following”、“Justified”、“Jesse Stone”、“The Killing”(米国版)、“Law & Order: SVU”、“Law & Order: Criminal Intent”、“N.Y.P.D. Blue”、 “Sherlock”(英)、“True Detective”、“Without a Trace”
 

次回は<Sci-Fi, Horror, & Fantasy>、<Comedy>、<Legal>のベスト3をお届けします。お楽しみに!
 

<今月のおまけ> 「ベスト・オブ・クール・ムービー・ソングズ」 ②
Title: “The Heat Is On”
Artist: Glenn Frey
Movie: “Beverly Hills Cop” (1984)


 

エディ・マーフィーの初主演作。映画も主題歌も、ノリが良くてご機嫌な出来栄えだった。
 

 
写真Written by 土橋秀一郎(どばし・しゅういちろう)’58年東京生まれ。日本映像翻訳アカデミー第4期修了生。シナリオ・センター’87年卒業(新井一に学ぶ)。マルタの鷹協会会員。’99年から10年間米国に駐在、この間JVTAのウェブサイトに「テキサス映画通信:“Houston, we have a problem!”」のタイトルで、約800本の新作映画評を執筆した。映画・テレビドラマのDVD約1300本を所有。推理・ハードボイルド小説の蔵書8千冊。’14年7月には夫婦でメジャーリーグ全球場を制覇した。
 
 

 
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