名脇役よ永遠に ブライアン・デネヒー in 『ランボー』
【最近の私】休みの日は家でDVDを観たり、本を読んだりすることが多くなりました。今は『町山智浩のシネマトーク 怖い映画』を読んでいます。
今年4月にアメリカの俳優ブライアン・デネヒーが亡くなった。彼は70年代から数々の映画に出演してきたが、個人的には『ランボー』(1982年)が一番印象に残っている。ブライアンは主人公ランボーを執拗に追う保安官を演じていた。今回は彼が演じた敵役を紹介したい。
物語は、ベトナム戦争帰りのジョン・ランボー(シルヴェスター・スタローン)が、ワシントン州の小さな街に住む戦友を訪ねるシーンから始まる。その友人が戦争で使用された枯葉剤が原因で亡くなっていることにショックを受けるランボー。その後、ランボーが食事できる店を探しに街を歩いていると、ティーズル保安官(ブライアン・デネヒー)が車で通りかかる。ランボーが着ていたアーミージャケット、ぼさぼさの長髪から、不信感をあらわにするティーズル。保安官は「食堂なら50キロ先にある」と言い、「俺は何もしていない」と反発するランボーに「ここでは俺が法律だ。お前みたいな男がいると迷惑だ」と町はずれでランボーを車から降ろす。この態度に腹を立てたランボーは、再び街に戻ろうとして、ティーズルに逮捕される。
警察署に連行されたランボーは、保安官たちから執拗ないやがらせを受ける。この場面は何度観ても、ランボーに同情します。虐待を受けるランボーに、ベトナム戦争で経験した恐怖の地獄がトラウマとなって甦る。そして怒りにかられたランボーは警察署から脱走します。
ランボーは元特殊部隊グリーンベレーに所属する優秀な兵士。森に逃げたランボーは、戦闘技術を駆使し、追ってくる保安官たちを1人ずつ倒す。残ったティーズルに、ランボーはナイフを喉に突きつける。「ここでは俺が法律だ。とっとと帰れ」。最初に出会った時とは、立場が逆転する。ここからさらに州兵も巻き込み、ランボーの孤独な戦いが始まるのだった。
なぜ、ティーズルはランボーと出会った時、悪意をむき出しにしたのか。映画の終盤、ランボーは言う。「俺の戦争はまだ終わっていない!」。アメリカ兵たちはベトナム戦争が終わって故郷に帰れば、人殺しだと責められる。ベトナム戦争はアメリカの歴史で初めて敗北した戦争で、当時国内で反戦運動が起こり、帰還兵はアメリカ社会では拒絶されていた時代があった。ティーズルは自分の街に来た、見るからに帰還兵だと分かるランボーを排除しようとした。偏見を持つ人間が正義のバッジを付けて拳銃を持っているのは恐ろしい。ただ、今回は相手がランボーだったのが運の尽きだ。
ブライアン・デネヒーは、もともと舞台で活躍してきたが、70年代から映画にも出演する。SFファンタジー『コクーン』(1985年)、特殊効果マンが主人公の『F/X 引き裂かれたトリック引き裂かれたトリック』(1986年)、法廷ミステリー『推定無罪』(1990年)などに出演。名脇役としてのポジションを確立していった。最近ではドラマ『ブラックリスト』(シーズン3、2016年~)にも登場している。もう彼の姿がスクリーンで観られないのが寂しい限りだ。そんな時は、『ランボー』をはじめ、彼が出演した映画をDVDで観ることにします。
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Written by 鈴木 純一(すずき・じゅんいち)
映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
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戦え!シネマッハ!!!!
ある時は予告編を一刀両断。またある時は悪役を熱く語る。大胆な切り口に注目せよ!
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