絶対零度の暗殺者 ジョー・タスリム in 『モータルコンバット』
【最近の私】ドニー・イェン&ニコラス・ツェーW主演の『レイジング・ファイア』が24日から公開で、期待しています。来年も面白い映画とたくさん出会いたいです。
ハリウッド映画にアジア系俳優が出演する機会が年々多くなっている。日本人も真田広之や国村準などが海外で活躍している。今回はインドネシア出身のジョー・タスリムが『モータルコンバット』(2021年)で扮した悪役を紹介したい。
『モータルコンバット』の始まりは、17世紀の日本。忍者組織の戦士、ハンゾウ(真田広之)が妻子と暮らしていた。そこに中国の忍者組織の暗殺者、ビ・ハン(ジョー・タスリム)が現れ、ハンゾウと妻子を殺害する。だがビンは知らなかった。ハンゾウの娘が生き残っていることを。この冒頭の真田が演じるハンゾウとビンのアクションは激しくて、アジアのアクション俳優同士のバトルが繰り広げられます。
そして現代。人間界VS魔界との間で「モータルコンバット」なる格闘技大会が開催されており、これまで9回人間界は敗北していた。あと1回負けると世界は魔界に征服される。だがハンゾウの血統が引き継がれ、その人間にはドラゴンのあざが付いている。ビンは魔界に仕えサブ・ゼロと名乗り、ドラゴンのあざの付いた人間たちを始末していく。
『モータルコンバット』は人気ゲームの映画化で、これまで『モータルコンバット』(1995年)、『モータルコンバット2』(1997年)が制作されている。
今回の『モータルコンバット』では、登場するキャラクターが必殺技(フェイタリティ)を持っている。サブ・ゼロのフェイタリティは「絶対零度」の名前の通り、氷を自在に操り、相手を生きたまま凍らせる。また対戦相手の腕を凍らせて、ボキッとへし折るなど、かなり残虐なキャラクターだ。他にも相手の首を脊髄ごと引き抜く「スパインリップ」も得意技であり、その容赦のなさはホラー映画顔負けの悪党である。
サブ・ゼロを演じるジョー・タスリムは1981年インドネシア生まれ。1997年~2009年まで、インドネシアの柔道代表チームの選手であり、インドネシアの格闘技シラットやテコンドーも習得している。俳優として彼の名が注目されたのは、『ザ・レイド』(2011年)だ。麻薬王が支配する高層ビルに突入したSWAT隊員たちと、ギャングたちの戦いを描いたインドネシアのアクション映画だ。この映画で描かれる格闘アクションや命がけのスタントで世界の注目を大きく浴びることになる。SWAT部隊の隊長を演じたジョーは、この作品を機に海外の映画に出演することになる。
人気シリーズの第6作目『ワイルド・スピード EURO MISSION』(2013年)では、犯罪組織の一員を演じた。この映画でも主人公たちを武術で圧倒する強さを見せていた。またNetflix映画『シャドー・オブ・ナイト』(2018年)でも、これでもかと流血しながら戦うアクションを見せていた。『モータルコンバット』では2回、真田広之とジョー・タスリムの戦いが展開する。格闘技に長けた俳優の戦いは見応えがあり、DVDで鑑賞した時は、2人のアクションを何回も繰り返して観た。アジア出身の俳優が活躍する姿は、同じアジア人としてとても誇らしい。これからも、ジョーがハリウッドでアクション映画に出演してくれることを願っています。
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Written by 鈴木 純一(すずき・じゅんいち)
映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
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戦え!シネマッハ!!!!
ある時は予告編を一刀両断。またある時は悪役を熱く語る。大胆な切り口に注目せよ!
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