俺が荒野の支配者だ! ヒュー・キース=バーン in 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
【最近の私】『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』を観ました。ゴジラをはじめ、モスラやラドン、キングギドラがハリウッド大作で蘇り、繰り広げる大迫力バトルに満足しました。来年公開予定の『ゴジラVSコング(仮)』も楽しみです。
シリーズ映画では、同じ俳優が主人公を演じ、違う悪役と戦うパターンが主流だ。だが『マッドマックス』(1979年)で悪役を演じたヒュー・キース=バーンは、『マッドマックス 怒りのデスロード』(2015年)でも別の悪役として登場している。今回はその『怒りのデス・ロード』でヒューが演じたキャラクターを紹介したい。
『マッドマックス』(1979年)は近未来、暴走族と戦う警察官マックス(メル・ギブソン)の姿を描いている。暴走族のリーダー、トーカッター(ヒュー・キース=バーン)はマックスの妻子をバイクでひき、死に至らしめる。怒りに燃えたマックスの追跡により、トーカッターは最期を迎える。オーストラリアの荒廃した原野でのカーチェイス、バイオレンス描写の激しさで、オーストラリア映画の凄さを世界に知らしめた作品であり、第2作目の『マッドマックス2』(1981年)の近未来の描写は、世界中の映画をはじめ、日本の漫画『北斗の拳』にも影響を与えている。
シリーズ第4作目『怒りのデス・ロード』の舞台は、さらに荒廃した未来の世界。ヒューが演じるのは、砂漠の帝王イモータン・ジョーだ。ジョーは豊潤な地下水と植物栽培を保持しており、武装集団ウォーボーイズを率いて自身の社会を作り上げている。さらに自身の子孫を残すべく、妻が5人もいる。だがジョーの部下である女性フュリオサ(シャーリーズ・セロン)が反旗を翻し、ジョーの妻たちを連れて逃げようとする。フュリオサたちを追うジョーとボーイズ。そしてフュリオサの逃亡を助けようとするマックス。砂漠で怒涛のチェイスが繰り広げられることになる…。
『怒りのデス・ロード』はシンプルな映画である。上映時間120分のほとんどがカーチェイスで構成されている。走って、走って、走りまくる。車が激突し、ひっくり返り、爆発する、アクションで物語を見せ切った稀有な作品です。そのアクションに負けていないのが、イモータン・ジョーである。彼は汚染された空気から守るために顔にマスクを付け、白塗りの身体に特殊ガラスでできた防弾チョッキを着ている。異様な風貌であるが、自分を神と考え、逆らう者は迷わず殺すという恐ろしいキャラクターでもある。この映画には様々な改造車が登場するが、ジョーが乗る車も、キャデラック2台を重ねた、見たこともない車である。資源が不足しているのに、何でそんな車を作れるのかは置いておいたとしても、車検には絶対に通らない車のオンパレードである。
過去3作でマックスを演じていたメル・ギブソンに代わり、今作ではトム・ハーディがマックスに扮している。だが、俳優が交代したことは気になりません。マックスは後ろに回り、フュリオサとジョーの対決が強く打ち出されている。子孫を残すために妻となり、虐げられた立場にいた女性たちを逃がそうとするフュリオサ。一方は狂信的な集団のリーダーとして権力を振るうイモータン・ジョー。そしてフュリオサと共にマックスが無事に逃げられるかは、ぜひ映画を観てほしいです。
—————————————————————————————–
Written by 鈴木 純一(すずき・じゅんいち)
映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
—————————————————————————————–
戦え!シネマッハ!!!!
ある時は予告編を一刀両断。またある時は悪役を熱く語る。大胆な切り口に注目せよ!
バックナンバーはこちら