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21世紀の『男たちの挽歌』となるか、『マンハント』の予告編

21世紀の『男たちの挽歌』となるか、『マンハント』の予告編

【最近の私】今回紹介した『マンハント』以外にも、これから『デトロイト』『シェイプ・オブ・ウォーター』『スリー・ビルボード』など、観たい映画が続々と公開されます。そのうち何本観られるでしょうか。

 

日本を代表する俳優、高倉健が亡くなって3年になるが、彼が出演した数多くの映画は、今でもファンを魅了している。その中で、彼が主演した『君よ憤怒の河を渉れ』(1976年)が中国でリメイクされ、まもなく公開される。今回はその『マンハント』の予告編を紹介したい。

 
予告編は、大阪で弁護士ドゥ(チャン・ハンユー)が警察から逃げるシーンから始まる。彼は殺人事件の容疑者となっているのだ。ドゥを追うのは、正義を貫く孤高の刑事、矢村(福山雅治)。追跡する中で、矢村に疑惑が浮かび上がる。「証拠が揃いすぎているところが、最大の矛盾だ」と。矢村とドゥは対峙する。「俺は嵌められた」というドゥに、矢村は「真実を教えろ」と答える。矢村は気づいている。これは陰謀で、ドゥは無実なのではないか。2人は手錠でつながれ、一緒に逃げることになる。彼らを追う2人組の女殺し屋、そして事件の鍵を握る、謎の女。ちなみに女殺し屋の1人を演じているのは、ウー監督の娘である。自作に娘を殺し屋の役で出演させるのは凄いですね。

 
本作の監督ジョン・ウーは、1986年に製作された『男たちの挽歌』で注目を浴び、1990年代になるとハリウッドで『フェイス/オフ』(1997年)、トム・クルーズ主演の『ミッション・インポッシブル』の続編『M:I-2』(2000年)などを撮った。また『レッドクリフ』シリーズ(2008年)で再び中国映画で監督を行っている。ウー監督は『君よ憤怒の河を渉れ』が好きであると話しており、本作のリメイクは彼の念願であったといえるだろう。

 
リメイクだが、予告編だけを観ても、ウー監督のアクション演出はいくつも出ている。例えば白い鳩。ウー監督の映画には何度となく登場しているトレードマークだ。それから2丁拳銃での銃撃戦。また矢村が日本刀を持って戦うのは、『男たちの挽歌Ⅱ』(1987年)で登場人物が日本刀を武器にしていたシーンを彷彿させる。そして、容疑者と刑事という正反対の立場にいた2人が、やがて一緒に仲間となって戦うという展開だ。ウー監督の『狼/男たちの挽歌・最終章』も、殺し屋と刑事の間に友情が生まれ、壮絶な戦いに立ち向かうという物語だった。矢村の持つ拳銃にドゥが弾丸をこめて、矢村が撃つなんて、熱くなりますね。ジェットスキーのチェイスも、『フェイス/オフ』でジョン・トラボルタとニコラス・ケイジがボートに乗ってチェイスする場面を思わせ、ウー監督の作品のファンには楽しめる内容になっていそうだ。

 
予告編に登場する日本人俳優にも注目です。まず國村準は、ウー監督の『ハード・ボイルド/新・男たちの挽歌』(1992年)に出演しており、竹中直人はジャッキー・チェン主演の『新宿インシデント』(2009年)、池内博之は『イップ・マン 序章』(2008年)に出演している。あと予告編には出ていないが、倉田保昭は1970年代から香港映画に出演し、現在も活躍しているベテラン。中国、香港の映画に出た経験のある俳優が結集している点も、見どころの1つといえる。ウー監督が敬愛する高倉健の主演映画がどのようにリメイクされたのか。ウー作品のファンとして非常に楽しみなので、映画館で確認してきます!

 
今回注目した予告編:『マンハント』
監督:ジョン・ウー
出演:チャン・ハンユー、福山雅治、竹中直人、國村準、倉田保昭
2018年2月9日より公開
公式サイト
http://gaga.ne.jp/manhunt/

 

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Written by 鈴木 純一(すずき・じゅんいち)
映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
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戦え!シネマッハ!!!!
ある時は予告編を一刀両断。またある時は悪役を熱く語る。大胆な切り口に注目せよ!

 
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