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お前には黙秘権がある…永遠に ロバート・ツダールin 『マニアック・コップ』

お前には黙秘権がある…永遠に ロバート・ツダールin 『マニアック・コップ』

【最近の私】デイヴィッド・リンチ監督が亡くなりました。彼の映画のすべてを自分は理解できてはいないと思いますが、彼の作品群は今まで観た映画の記憶の中で強烈に残っています。

普通、映画の中では、警察官は市民の安全を守るべき存在である。だが、時には悪徳警察官や悪徳医師など、悪の存在として登場する場合がある。今回紹介するのは、『マニアック・コップ』(1988年)でロバート・ツバールが演じた警察官を紹介したい。

映画は、警察官の制服を身に着けている男(ロバート・ツバール)の姿から始まる。男の名前はマット・コーデル。彼は制服を着て夜のニューヨークに出没する。ある時、女性が強盗に襲われる。命からがら逃げている女性の前に、コーデルが現れる。警察官がいて助かったと安心する女性だが、なぜかコーデルに殺害されてしまう。

コーデルは銃を持つだけではなく、剣を仕込んだ警棒を持って獲物を狙う。しかも銃で撃たれてもビクリともしない。警察が捜査を始めるが、さらに犠牲者が増えていく。マスコミからも「犯人は殺人警察官(マニアック・コップ)」と報道され、警察は避難の的となる。さらに市民が拳銃で警察官を撃つという事件まで発生し、街は恐慌状態に陥る。

この連続殺人事件の容疑者として、ジャック巡査(ブルース・キャンベル)が警察から追われる身となる。ジャックは無罪を照明するために犯人を探す。その中で、コーデルという警察官の存在に行きつく。コーデルは優秀な警察官だったが、ニューヨーク市長とその上層部の不正の証拠をつかんでいた。だが、市長の策略で、無実の罪で刑務所に収監される。その刑務所には、かつてコーデルが逮捕した犯罪者たちが待ち構えていた。

恨みを持つ囚人たちにめった刺しにされ、傷だらけの顔と体でコーデルは命を落とす…。これ以上はネタばれになるので言いません。果たして犯人は誰なのか。コーデルの幽霊なのか。

コーデルを演じたロバート・ツダールは、イリノイ州シカゴに生まれる。大学を卒業すると、シカゴで警察官をしていたという経歴を持つ。そして歌手、キーボード奏者として活動したあと、俳優の道を志す。身体的な特徴(大柄な体格と特徴的なアゴ)から、ホラーやアクション映画に出演してきた。本作『マニアック・コップ』(1988年)で人気を得て、その後はシルヴェスター・スタローン主演の刑事アクション『デッドフォール』(1989年)、クリスチャン・スレイター主演のギャング映画『モブスターズ/青春の群像』(1991年)などに出演する。ちなみに『マニアック・コップ』は続編となる『マニアック・コップ2』が1990年に制作され、さらに『マニアック・コップ3/復讐の炎』(1993年)が作られるなど、シリーズ化されている。

ロバートは2015年に64歳で亡くなっているが、インターネットで調べると、ロバートが出演してきた数多くの映画(日本未公開作も多い)が出てくる。タイトルを見る限り、主にホラーやアクションのジャンルのようだが、個性的な風貌で記憶に残っている人も多いのではないでしょうか(自分を含む)。

『マニアック・コップ』は低予算で作られた作品だが、撃たれても死なない設定は『ターミネーター』(1984年)を思わせる。適宜に差し込まれるバイオレンス描写や、終盤のカーチェイスも見どころだ。『死霊のはらわた』(1981年)に出演していたブルース・キャンベルが登場するなど、ホラー映画ファンには根強い人気を得ている。

公開時の宣伝コピー「お前には黙秘権がある…永遠に」は、アメリカで警察官が容疑者を逮捕する際に言う「ミランダ警告」が元になっている。自分も80年代にビデオで初めて見たが、その後も地上波テレビで何度も放送されていたのを覚えている。そして今回、紹介するために久しぶりに『マニアック・コップ』を観ました。何度も観たけど、クセになる、また観たくなる作品なんだろうと思います。

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Written by 鈴木 純一(すずき・じゅんいち)
映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
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戦え!シネマッハ!!!!
ある時は予告編を一刀両断。またある時は悪役を熱く語る。大胆な切り口に注目せよ!

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