シリーズ最後の敵! スコット・アドキンス in『イップ・マン 完結』
【最近の私】ドニー・イェン主演作『怒火 Raging Fire(原題)』が今年の7月よりアジア圏で公開される予定。早く日本でも公開してほしいです。
ドニー・イエンが実在の武術家イップ・マンに扮した『イップ・マン 序章』(2008年)。続編が作られる人気シリーズとなり、ドニーの当たり役となった。今回は『イップ・マン 完結』(2019年)で悪役を演じたスコット・アドキンスを紹介したい。
『完結』は、イップ・マンがアメリカのサンフランシスコにいる弟子、ブルース・リー(チャン・クオックワン)を訪ねるところから幕を開ける。アメリカの中国人社会で、武術の達人たちと会うイップ・マン。だが彼らは、ブルースがアメリカ人に中国武術を教えていることを良く思っていない。
一方、サンフランシスコの米軍基地では、ブルースが教える武術の弟子である中国系アメリカ兵が、米軍に中国武術を導入しようとする。だが空手の達人、バートン軍曹(スコット・アドキンス)は、中国武術を空手より下にみており、受け入れようとしない。さらにバートンは中華街で行われたイベントに、部下である空手の教官を送りこむ。またバートン自身も中華人組合に乗り込み、太極拳の達人ワンと対決して叩きのめす。アメリカ軍の中国人に対する無差別な暴力に対して、ついにイップ・マンが立ち上がり、バートンたちと対決することになる。
『完結』でアドキンスが扮するのは、アメリカ海軍の鬼軍曹だ。軍曹といえば、『フルメタル・ジャケット』(1987年)で登場して新兵たちをこれでもかと猛特訓したハートマン軍曹(R・リー・アーメイ)を思わせる。だがバートン軍曹は、口も出すが、拳やキックも出すという、暴力主義な男だ。しかも人種差別、パワハラ、暴力の限りを尽くし、中国武術への対抗意識から、中国人を徹底的に排除しようとする。シリーズ最恐にして最強の悪役といっても過言ではない。でも空手もアメリカの武術ではないと思うのですが。こうして空手VS詠春拳の戦いへ、そしてイップ・マン最後の戦いが始まろうとしていた…。
今作で悪役バートン軍曹を演じたスコット・アドキンスは、1976年イギリス生まれの俳優、スタントマン、武術家である。少年時代から柔道を習い、以降は様々な武術の心得がある。ジャッキー・チェン主演の『アクシデンタル・スパイ』(2001年)、ジェット・リーと共演する『ダニー・ザ・ドッグ』(2005年)、また『ウルヴァリン:X MEN ZERO』(2009年)ではライアン・レイノルズのスタントマンを務めていた。またジャン=クロード・ヴァン・ダムとの共演作も多く、『エクスペンダブルズ2』(2012年)では、悪の組織のボス(ヴァン・ダム)の部下役をアドキンスが演じていた。
『イップ・マン』第1作目では、空手の達人である日本軍人の三浦(池内博之)(https://www.jvta.net/co/cinemach-ipman/)、第2作目ではイギリス人ボクサー(ダレン・シャラーヴィ)(https://www.jvta.net/co/cinemach-ipman2/)、第3作目では悪の不動産王(マイク・タイソン)、詠春拳の達人チョン(マックス・チャン)(https://www.jvta.net/co/cinemach-ipman3/)と、次々と現れる強敵を相手に戦ってきた。作中で、イップ・マンが「不正と戦うために武術をはじめた」というセリフがある。その言葉のとおり、正義を貫く1人の男を描くシリーズとなった。今作で最後となるのが寂しいが、そんな時はDVDでシリーズを観返すことにします。
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Written by 鈴木 純一(すずき・じゅんいち)
映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
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戦え!シネマッハ!!!!
ある時は予告編を一刀両断。またある時は悪役を熱く語る。大胆な切り口に注目せよ!
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