誘拐犯は多重人格だった!『スプリット』の予告編
【最近の私】デヴィッド・リンチが映画監督引退を表明しました。まだまだ彼の映画を観たいので、復活してほしいです。
映画には、多重人格を扱った作品が多数ある。小説では作家ダニエル・キイスが多重人格をテーマにした『五番目のサリー』や『24人のビリー・ミリガン』などを執筆している。ビリー・ミリガンは日本でも話題となった書籍なので、書名を知っている人もいるだろう(かつて『アバター』のジェームズ・キャメロン監督が本作の映画化を計画しているニュースもあった)。今回は“多重人格もの映画”の中から、今月公開される『スプリット』の予告編を紹介したい。
予告編は、女子高校生3人の乗る車に、見知らぬ男ケビン(ジェームズ・マカヴォイ)が乗り込んでくる場面から始まる。ケビンは催涙スプレーのような物を女の子たちに吹きかけ、彼女たちを誘拐してしまう。ケビンを演じるマカヴォイは、最近では『X-MEN』シリーズのプロフェッサー役で知られている。個人的には『フィルス』で彼が演じた悪徳刑事が好みなので、今回の悪いマカヴォイが見られるのも嬉しいポイントである。
誘拐された3人は、どこかの部屋に監禁されてしまう。ドアの鍵穴から外をのぞくと、スカートとハイヒールを履いた女性の後ろ姿が見えた。彼女たちは「あの人に助けてもらおう」と声をかけると、その人はスカートをはいたケビンだった。そう、ケビンは多重人格者だったのだ。「安心して、あなた達を守ってあげるわ。彼は私の言いなりなの」。ケビンの中には23の人格があった。
多重人格を扱った映画をいくつか紹介したいが、ネタばれになるので具体的な作品名は控える。ある作品では、主人公のそばにいた人物が、実は主人公のもうひとつの人格だった。他の作品では、主人公に母親がいる設定だが、実は主人公と母親が同一人物だった。また、ある事件を捜査していた探偵が、実は犯人だったなど、数々の映画に多重人格が登場する。これらの映画は観る人によって「そうだったのか!」と驚くだけでなく、中には「それアリかよ!」と怒る場合もあるので、観客を選ぶジャンルともいえる。
予告編に戻る。少女たちは、ケビンの中の人格の誰かを味方にして、逃げ出そうと計画。そして、3人の女子校生VS 23人格の犯人の戦いが始まる。人格の中で、誰が味方で、誰が敵なのか。しかも、ケビンは人格によって肉体も変化するらしい。ケビンは言う。「“あいつ”が現れるよ」。あいつとは誰か? 24番目の人格なのか?
本作の監督M.ナイト・シャマランは、脚本と演出を手がけた『シックス・センス』(1999年)のアッというラストで注目を浴びた。『アンブレイカブル』(2000年)と『サイン』(2002年)でもヒットを記録。だがその後は『ヴィレッジ』(2004年)『レディ・イン・ザ・ウォーター』(2006年)『ハプニング』(2008年)など賛否が分かれる作品が続く。さらにアニメを実写化した『エアベンダー』(2010年)や、ウィル・スミス原案・主演の『アフター・アース』(2013年)などを手がけるが、シャマラン本来の個性である“捻った展開”は薄れているように感じる。最近では2015年に『ヴィジット』を監督し、アメリカでスマッシュヒットを記録。そして『スプリット』は彼の本格的な復活をかける作品として注目を浴びている。シャマランの復活も気になるが、とりあえず女子高生が誘拐犯から逃げられるのか、劇場で確認してきます!
今回注目した予告編:『スプリット』
監督/脚本:M.ナイト・シャマラン
出演:ジェームズ・マカヴォイ、アニヤ・テイラー=ジョイ、ベティ・バックリーほか
5月12日から公開
公式サイト http://split-movie.jp/
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Written by 鈴木 純一(すずき・じゅんいち)
映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
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戦え!シネマッハ!!!!
ある時は予告編を一刀両断。またある時は悪役を熱く語る。大胆な切り口に注目せよ!