霊、ヤバい、キモチいい 『Talk to Me/トーク・トゥ・ミー』の予告編
【最近の私】毎年年末に購入している『このミステリーがすごい!』。面白そうなミステリーを読むガイドブックになっています。
ホラー映画では、登場人物が幽霊やモンスター、怪奇現象の恐怖に苦しむことが多い。その恐怖は、呪いであったり、復讐であったりと、いろいろな形で現れる。今回は、若者たちが好奇心からある儀式を行ったことから、恐ろしい目に遭う『Talk to Me/トーク・トゥ・ミー』(2022年)の予告編を紹介したい。
予告編は、若者たちが集まり、ロウソクに火をつけて「始めよう」と盛り上がっている場面から始まる。そして、そこで登場するのは、肘から先だけの、人間の片腕だった。
「世界中をハイにさせた、危険なゲーム」とのナレーションが入る。
主人公は、2年前に母親を亡くした女子高校生ミア(ソフィー・ワイルド)。彼女は、今でも、母親の死を受け入れられない。そこで、気晴らしにミアは友人たちとSNSで流行しているゲーム、#90秒憑依チャレンジを行うことにする。そのゲームに必要なのは、呪われた手。この手は切断された人間の腕だった。ルールは、1:手を握る 2:唱える。唱える言葉は「トーク・トゥ・ミー(話したまえ)」。すると、唱えた者の体は電流にしびれたような快感に震える。その感想は「これ、超イケる」。次々に「手」を握って、その衝撃的な快感にひたる若者たち。その様子は、ドラッグにおぼれていくような感覚だろうか(経験したことはないが)。
この危険なゲームには、もうひとつのルールがあった。それは、「手」を90秒以上握ってないけないことだった。そして、ついにそのルールを破ってしまった。
「ルール」を破ると、大変なことになる映画といえば『グレムリン』(1984年)が思い浮かぶ。クリスマスに贈られた、かわいい生物ギズモに「明るい光をあてない。水をかけてはいけない。真夜中を過ぎたら、食べ物をあげてはいけない」というルールを飼い主たちが破ったことで、街中が大騒ぎになる作品だった。
予告編に戻る。90秒以上その「手」握っていると、霊がその者に憑依してしまうのだった。禁断のルールを破ってしまったミアの友人に、なんとミアの母親の霊が憑依してしまったことで、ミアたちに恐怖が襲いかかる。気軽に始めたゲームが、取返しのつかないことになる展開は、SNSにはまって、ネット情報や誹謗中傷、脅迫などさまざまな新しい恐怖につながる現代社会を映しているように思える。
監督は、今作が監督デビューとなる双子のダニー・フィリッポウとマイケル・フィリッポウ。You Tuberとして活動をはじめた後、傑作ホラー『ババドック~暗闇の魔物~』(2014年)に撮影クルーとして参加していたので、デビュー作にホラーを選ぶのは自然だったのだろう。『Talk to Me/トーク・トゥ・ミー』のヒットで、一躍注目を浴びた双子監督の次回作は続編『Talk 2 Me』(原題)になるという。
本作は日本で12月から公開されるが、他にも『香港怪奇物語 歪んだ三つの空間』(2023年)、『ファミリー・ディナー』(2023年)、『サンクスギビング』(2023年)、2024年も『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』(2023年)など、アジアやヨーロッパ、アメリカなど、様々な国のホラー映画が次々と公開される。個人的には、このような作品にひかれる。最近のアメコミを原作とした莫大な予算をつぎ込んだ作品も面白いが、決して予算は多くないが、今まで見たことがない奇抜な世界や恐ろしい物語を観たくなるのです。
大作が次々と制作される中、ホラーやアクションの中規模な作品が少なくなっている気がする。とりあえず、憑依された霊の呪いからミアたちは逃れられるのか、映画館で確かめてきます!
注目した予告編:『Talk to Me/トーク・トゥ・ミー』
出演:ソフィー・ワイルド、ミランダ・オットー
監督:ダニー・フィリッポウ、マイケル・フィリッポウ
2023年12月22日より公開
公式サイト:
https://gaga.ne.jp/talktome/index.html
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Written by 鈴木 純一(すずき・じゅんいち)
映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
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戦え!シネマッハ!!!!
ある時は予告編を一刀両断。またある時は悪役を熱く語る。大胆な切り口に注目せよ!
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