伝説を、体験せよ。『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』の予告編
【最近の私】今年のゴールデン・グローブ賞で、デミ・ムーアが主演女優賞を獲得しました。受賞作『The Substance(原題)』は日本公開が決まっているので、観てみたいです。
映画では俳優やストーリーに加え、物語の舞台となる「空間」または「世界」も重要になる。限定された空間で繰り広げられる作品としては、老朽化したバスルームに監禁される『ソウ』(2004年)や地下室に閉じ込められる『ブラック・フォン』(2022年)などがある。今回は、香港のスラム街を舞台にした『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』(2024年)を紹介したい。
予告編は、チャン(レイモンド・ラム)が何かから追われるように走っている場面から始まる。舞台は1980年代の香港。香港に密入国したチャンは、黒社会(マフィア)の掟に逆らって組織に追われ九龍城砦(きゅうりゅうじょうさい)へと逃げ込む。
九龍城砦は、かつて香港に存在した、非常に密集した都市部の地区である。1994年に解体されるまでの数十年間、独自のコミュニティが発展していた。高さが12階建てのビルがびっしりと建てられ、日も差さないほど密集していたという。住人は自ら水道や電気を引き、外部の法律が届かないので、違法な工場や診療所も作られるという、この地域の秩序が形成されていった。また、黒社会が覇権を争ってきた地でもある。
城砦に逃げ込んだチャンは、ここで3人の仲間と出会い、友情を育んでいった。だが、九龍社会のボスたちの抗争にチャンたちは巻き込まれていく…。
本作では、サモ・ハン、アーロン・クォック、リッチー・レンなど豪華キャストも見ものだが、予告編を観ると、本作の主人公はこの砦ともいえる。九龍城砦のセットは10億円をかけて再現されたという。光が差さない、闇がどこまでも続く閉鎖されたそのカオスっぷりも細かく作り上げられているようだ。
予告編だけではなく、本作のメイキングもネットで公開されており、このメイキングを見ると、アクションにも力が注がれているのがわかる。
監督のソイ・チェンは、「香港の漫画っぽい作品にしたかった。リアルな動きに漫画的な動きを加えていった」と話している。映像を見ると、ワイヤーを使って人が空中を舞うなど、香港映画の得意とするアクションが多く使われている。殴られた人がどう吹っ飛ぶかという動きを決めるなど、試行錯誤の末にアクションが組み立てられていくのがわかる。拳法などの手足を使うだけではなく、ナイフや刀、オートバイに乗り、パルクールまで取り入れる、何でもありの大乱戦になっている。メイキングでは、トレーニングの様子も紹介されており、危険な場面は入念な練習の上に成り立っているのだ。CGも使ってワイヤーを消したり風景を合成したりしているのだろうが、最終的には肉体を使って映画を撮っている。監督の目指した「リアルなアクションと漫画の動き」の融合に成功していると思う。
監督のソイ・チェンはバイオレンスアクション『ドッグ・バイト・ドッグ』(2006年)で注目される。以降はVFX大作『西遊記 孫悟空VS白骨夫人』(2016年)や激しい格闘アクション『ドラゴン×マッハ』(2015年)など、さまざまな作品を手がけてきた。
かつては香港に存在した巨大な城砦を舞台に、バイオレンスにカンフー、アクロバットな技を駆使したアクション。さらに香港映画界のレジェンドといえるサモ・ハン(撮影時は70歳超!)をはじめとする俳優たちが結集した大作といえよう。公開時に香港映画史上歴代No1ヒットとなったのも納得である。私も、この戦いの結末を見届けに、映画館に行ってきます!
注目した予告編
『トワイライト・ウォリアーズ決戦!九龍城砦』
監督:ソイ・チェン
出演:レイモンド・ラム、ルイス・クー、サモ・ハン、アーロン・クォック、リッチー・レン
2025年1月17日より公開
公式サイト:https://klockworx.com/movies/twilightwarriors/
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Written by 鈴木 純一(すずき・じゅんいち)
映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
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戦え!シネマッハ!!!!
ある時は予告編を一刀両断。またある時は悪役を熱く語る。大胆な切り口に注目せよ!
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