花と果実のある暮らし in Chiang Mai プチ・カルチャー集 Vol.31 チェンマイのお葬式
★「花と果実のある暮らし in Chiang Mai」
インパクト大の写真をメインにタイのリアルなプチ・カルチャーをご紹介しています。
先日、知り合いのお葬式に行きました。チェンマイのお葬式は、いろいろな形式がありますが、3日から7日間にわたって行われます。今回はご家族が総出でフラワーのアレンジをしたり、ビデオを流したりと忙しく会場の準備している姿が、とても温かく印象的でした。故人には2人のお子さんがいらして、タイの古典舞踊を習っているため、毎日のように、残された息子たちの友人や関係者によるタイの古典舞踊や音楽が披露されました。以前にも一度記載したかもしれませんが、日本のお葬式と違うのは、参加者が涙を流すことは少ないということです。もちろん彼らが悲しんでいないわけではありません。泣くと故人の魂があの世へ行かれなくなるという思想から、湿った感じが少ないのです。そして、最終日。2人の息子たちが母親のために捧げた舞が、それはそれは切なく感動的でした。この時ばかりは皆涙を抑えられずにいましたが、涙の質がなんだか違って見えました。
こんな心のこもった式に、故人も安らかな気持ちで旅立てたことでしょう。そして残された家族による故人への想いが作り上げたお葬式は、私を含めた周りの人に生きる勇気を与えたのです。改めて“式”というのは、大きさやシステム化されたものではなく、こうした想いが形になったひと時なんだなあと感じ、ゆったりと故人を想う時間の意味を考えさせられました。
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Written by 馬場容子(ばば・ようこ)
東京生まれ。米国大学でコミュニケーション学専攻。タイ、チェンマイに移住し、現在は郊外にある鉄工房でものづくりをするタイ人パートナーと犬と暮らす。日本映像翻訳アカデミー代々木八幡・渋谷校時代の修了生。
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花と果実のある暮らし in Chiang Mai
チェンマイ・スローライフで見つけた小さな日常美
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