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花と果実のある暮らし in Chiang Mai プチ・カルチャー集 Vol.68 大工のブンさん

花と果実のある暮らし in Chiang Mai プチ・カルチャー集 Vol.68 大工のブンさん

★「花と果実のある暮らし in Chiang Mai」
インパクト大の写真をメインにタイのリアルなプチ・カルチャーをご紹介しています。
 

わたしの住んでいる村に、ブンさんという大工さんがいました。ブンさんは明るくて、どの小学校にもいそうな、日に焼けた元気少年のような人でした。我が家も度々、家の修理や植木、庭づくりなどでお世話になりました。タイの修理屋さんや大工さんの中には、雑だったり、いい加減だったりする人も多いのですが、ブンさんの仕事は丁寧で最後まできっちり仕上げてくれます。朝、青いシャツに白いタオルを巻き、荷台付きバイクに乗ってやって来て、午前中の仕事を終え、お昼ご飯を食べに家に帰る。また午後に来て仕事をして、5時になるとちゃんと家に帰っていく。本当に規則正しい人でした。会えばきちんと笑顔で会釈してくれるし、仕事終わりに村の人と飲んでいる姿も見かけました。炎天下でも汗をかきながら一生懸命黙々と仕事をしている姿を見ているから、みんなブンさんに自分の家のことを頼みたくなるのです。そんなブンさんは、先日庭掃除をしている最中に突然倒れ、天国へと旅立ちました。村のどの家のためにも働いていたブンさんは、多くの人に囲まれ愛されていました。今でも独特の発音で「ヨッコー」と呼ばれる気がしてしまいます。ブンさんの死がとても気にかかるのは、ブンさんのそのシンプルで普通の生き方が、複雑になりすぎている社会と対照的に浮かび上がって、私に何かを訴えかけてくるからかもしれません。今朝、うちの近所で若い大工さんを見ました。寂しい気持ちが広がったけれど、なんだか背筋を伸ばしたくなるような清々しい朝でした。ブンさん、お疲れ様でした。 

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Written by 馬場容子(ばば・ようこ)
東京生まれ。米国大学でコミュニケーション学専攻。タイ、チェンマイに移住し、現在は郊外にある鉄工房でものづくりをするタイ人パートナーと犬と暮らす。日本映像翻訳アカデミー代々木八幡・渋谷校時代の修了生。
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花と果実のある暮らし in Chiang Mai
チェンマイ・スローライフで見つけた小さな日常美

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