ハリウッドで初開催!英語字幕コンテストの受賞式
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国内外問わず、様々な映画祭が行われており、日本映画も多く出品されている。イタリアで行われた第80回ベネチア国際映画祭では、コンペティション部門に出品されていた督濱口竜介監督の最新作『悪は存在しない』が審査員大賞(銀獅子賞)を受賞。JVTAは同作品で英語とイタリア語の字幕で協力した。
そして、アメリカ、ロサンゼルスでも日本映画に特化した映画祭「Japan Film Festival Los Angeles 2023」が開催された。JVTAは2009年から同映画祭を様々な面からサポートしている。
今年同映画祭は9月1日~9月13日に長編・短編合わせて28作品を上映。そして現地時間9月17日、ハリウッドにあるJapan Houseでクロージング・イベントが開かれた。会場には、日本領事館の曽根健孝総領事やジャパン・ハウス ロサンゼルスの海部優子館長をはじめ、監督やキャストなど70名ほどが集結した。
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映画祭の各賞発表に加え、JVTAロサンゼルス法人15周年を記念して開催した「英語字幕翻訳コンテスト」の最優秀賞の受賞式も実施。ロサンゼルス校で映像翻訳ディレクターを務める鈴木絵莉香がプレゼンターとして登壇した。
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コンテストの課題作品は、今関あきよし監督の『釜石ラーメン物語』。東日本大震災後に岩手県釜石市でラーメン店「小川食堂」を経営する姉妹とその父親がぶつかり合いながらも、どうにか店を軌道に乗せようと奮闘する物語だ。JVTAはこの作品の英語字幕も手がけている。
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課題となったのは、あるYouTuberがラーメン評論家を店に連れてきたワンシーン。応募者は、1分30秒程度の場面に英語字幕を付けた。
最優秀賞に輝いたのは小西太郎さんだ。小西さんは日本在住のため、会場に足を運ぶことは叶わなかったが、ご本人からの喜びのメッセージを紹介。また、審査員からの講評では、小西さんが最優秀賞に選ばれた理由が明かされた。
審査のポイントとなったのはラーメン評論家の行動に対する主人公の驚きとそれを見守るYouTuberの感情の対比だ。受賞した小西さんの訳には、主人公が単に驚いただけではなく、より深い感情が訳に反映されていたという。日本は「暗黙の了解」や「空気を読む」がといった独特な文化を持っているため、言葉以外の部分にメッセージがあることが多い。そのハイコンテクストな部分をどう英語字幕に反映させるかが重要になってくる。その繊細な部分を受賞者の小西さんが字幕で表現できていたことが、高く評価された。
会場にかけつけた今関監督からは「日本語ならではの表現も多く、苦労したかと思いますが、日本人が見ても自然でパーフェクトな字幕だったと思います」という嬉しいコメントをいただいた。
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本映画祭では、『釜石ラーメン物語』が“NU-KU-MO-RI” Awardを受賞。またJVTAがアワードスポンサーとなったBest Short+ Awardは『TATARA』が受賞した。そして、以前JVTAが英語字幕を担当したドキュメンタリー映画『Dr. Bala』がBest Documentary Awardに輝いた。今年も日本からはバラエティに富んだ多くの作品が出品された。
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海外の映画祭に出品される日本映画に英語字幕は欠かせない。そして、単に作品を見せるだけではなく、コンペティションとして評価してもらうという目的もあるだけに、映像翻訳者がどこまで作品や登場人物の心情を理解し、字幕に反映させることができるか、技術の見せどころだ。
来年はどのような作品が上映されるのか楽しみだ。
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ロサンゼルス法人15周年特設サイトは▶こちら
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