映像翻訳者として活躍する講師が語る!
語学力だけではない字幕の極意とは?
「翻訳に必要なスキル」と聞いて多くの方が思い浮かべるのは、「語学力」でしょう。しかし、「語学力は必要な要素の1つでしかない」と語るのは、日本映像翻訳アカデミー(JVTA)のロサンゼルス校で学んで映像翻訳者になり、現在は講師も務めるマクラウドゆかさん。JVTAで学び始めて間もなくして、それを実感したと言います。
●翻訳者の第一歩は実務翻訳から
アメリカの大学を卒業後、役員秘書兼通訳者として日系の製造メーカーに就職。その後、日系のソフト開発会社へ転職し、社内の通訳・翻訳を担当します。「これらの業務を通して、工場の製造工程やソフトの開発工程などを学べたのはとても貴重な経験でした。私の翻訳技術は実践で培ったものだと言えます」と当時を振り返ります。
新しい職場にも慣れた頃、フリーランスとしても主に日本語から英語への翻訳に携わります。
●体験レッスンでの衝撃的な出来事が私に火をつけた
10年近く務めた会社を退職し、結婚、出産を経験。フリーランスとしての翻訳も休業していたマクラウドさんが映像翻訳に出合ったのは、お子さんが3歳になった頃でした。「ロサンゼルスの日本語無料情報誌を読んでいたときに、映像翻訳の体験レッスンの案内を見つけました。実務翻訳をやってきましたが、字幕を付けるのは遠い世界の話。でも、その告知を見て、自分にもできるチャンスがあるのかもしれないと感じたんです。もともと映画も好きだったので、楽しみながら翻訳ができるのではないかという期待もありました」と語ります。早速、日本語字幕の体験レッスンに参加。
「英語の解釈はできるのですが、日本語がなかなか出てこないことに驚きました。実務翻訳は英語へのアウトプットだったので、日本語のボキャブラリーが乏しくなっていました。でも、そこで諦めるどころか逆に火がついてしまって。越えられない山はない。逆にこの山を登ってみようと思い、入学を決めました」。そして、受講後のトライアルで見事合格し、プロの映像翻訳者としてデビューを果たします。
●語学力以外に必要な要素とは?
順調に仕事をする中、当時のロサンゼルス校マネージャーから講師の誘いを受けます。「最初は戸惑いましたが、1回目から楽しさを感じました。受講生は私にとって同志のような存在。たまたま私が先にプロになっただけで、将来は仲間になる人たちだと思いながら教えています」
マクラウドさんが授業でよく伝えていることがあります。「映画やドラマを製作者の目線で見ること。映像翻訳者に必要な職能のうち、語学力はほんの一部です。番組の構成を理解するのもその1つ。それを意識できるようになるだけで言葉の選び方も変わってきます。語学力だけでは映像翻訳はできないことに、早く気づけることがプロへの近道になると思います」
●どこにいてもできるのが魅力!まずは始めてみることが大切
最後にマクラウドさんは、映像翻訳の魅力を教えてくれました。「どんな作品でも自分の作った字幕が付いていると何とも言えない喜びと達成感を感じます。また、パソコンとネット環境が整っていれば、どこでもできる仕事。私は子どもの習い事の待ち時間にカフェでやることもしばしば。興味がある方は、まず始めてみてください」
映像翻訳は長年アメリカに暮らし、語学力を身につけた人がスキルや経験を生かせる仕事の1つ。JVTAでは、語学力を含む「6つの資質」を踏まえて、映像翻訳者に必要な能力を身につけることを目標にカリキュラムを組んでいます。
マクラウドゆか
映像翻訳者/実務翻訳者/通訳者/JVTAロサンゼルス校講師
アメリカの大学を卒業後、日系企業で通訳者・翻訳者として活躍。JVTAロサンゼルス校で映像翻訳を学び、プロへ。同校で講師も務める。
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