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いよいよ開幕! 10年目の「難民映画祭」が描く“彼ら”の真実

いよいよ開幕! 10年目の「難民映画祭」が描く“彼ら”の真実

JVTAが字幕制作で協力している「第10回UNHCR難民映画祭」が来週10月2日(金)にスタートします! 苦境の中を生き抜く人々に焦点をあて、国内外から選りすぐりの作品を上映する同映画祭は、東京・スパイラルホールでの上映を皮切りとして札幌・仙台の計3都市で順次開催されます。今やニュース番組や新聞記事でもたびたび目にするようになった“難民”という言葉。しかし、“彼ら”がどんな人々なのかはあまり語られていません。今年で10周年を迎える難民映画祭は私たちに何を伝えたいのか? 同映画祭のプロジェクトマネジャー・今城大輔さんに話を聞きました。
 

難民って、我々と何ら変わらない
“普通の人々”なんです
――「難民映画祭」とは、どんな映画祭ですか?
 

“恐怖や喪失、希望や成功、絶望や勇気、そして困難を生き抜く力について描かれた作品を届ける”のが、「難民映画祭」です。

難民や国内避難民という“属性”の人って世の中にいないんです。もちろん、「生まれてきた時に難民だった」という人たちはいます。長引く紛争下では難民キャンプで生まれる人がいますが、誰もそう望んで生まれてくるわけではありません。シリアの難民の方々についても同じことがいえます。中東のなかで経済的にも、社会的にも熟成していた平和な国が、泥沼のような紛争状態になり、難民という形で大勢の市民が祖国を追われました。

難民だから何かが特別ということではなく、皆“普通の人々”なんです。ところが、“難民”と聞くと「来てほしくない」「怖い」「負担になる」などと思われてしまう。我々と何ら変わらない人々が困難に打ち勝って、恐怖と絶望に耐えながら、希望をもって生きていく姿を映画祭で観ていただきたいです。
 

10年の積み重ねの中で
作品選びの切り口が増えました
――今年は同映画祭10周年という節目です。今までやってきて、分かったことはありますか?
 

「難民映画祭」で扱ってもいい作品が、とても多くあることが分かりました。“実はこの映画も上映するべきなんじゃないか”という発見が毎年あります。例えば、数年前はLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー) にまつわる作品の上映って考えもしなかったんです。ところが、調べていくとジャマイカではセクシャル・マイノリティーであることが違法とされていて、警察が守ってくれない。むしろ罰せられるという社会があるという。すると当然、LGBTの人々はそこから逃げますよね。これは「難民映画祭」で扱うべきだ、と気づきます。
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『忌まわしき罪』
© common good productions
作品解説:http://unhcr.refugeefilm.org/2015/the_abominable_crime/
 
10年の積み重ねの中で自分たちが上映作品を選ぶときの切り口が増えてきました。また、映画を探していくと「こんなテーマでちゃんと撮っている人がいたんだ!」みたいな映像作家との出会いもありますね。
 

――難民映画祭とJVTAの関わりは第3回から。毎年多くの修了生がボランティアで各作品に字幕を付けています。特に印象的だったことはありますか?
 
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うれしいのは「難民映画祭」の字幕制作にリピーターとして参加してくれる人がいることですね。ひょっとしたら第3回から毎年参加されている方もいるんじゃないかな…。修了生の皆さんがボランティアで字幕をつけてくださるという企画は、元々はプロになるまでの“字幕制作の実践プログラム”という要素が大きかったと思います。でも、「難民映画祭」の字幕作りには映像翻訳者として独立された方も大勢参加していただいています。映画祭自体にご賛同いただけていることを実感し、再確認できることは励みになります。
 

いま、映像作家が避けて通れない
“難民”というテーマ
――映像翻訳者を志す人にメッセージをお願いします。
 

ドキュメンタリーにしても、劇映画にしても、いま映像作家たちが世界を描くときに“難民”という問題は避けて通れないでしょう。難民を扱う映画は年々増えていて、例えば、今年のカンヌ国際映画祭でコンペティション部門の最高賞・パルムドールが贈られた映画『ディーパン』(ジャック・オディアール監督) はスリランカからフランスに難民として逃れた兵士が主人公です。およそ10年前は4000万人だった難民が、現在6000万人まで増加しました。映像が世界を反映するものならば、映像に関わる人は皆、この映画祭で扱うような作品に触れる機会が今後あると思います。
 

字幕というのは、作品の背景や文脈を理解し、その集大成として出来上がるものですよね。難民映画祭で上映される作品を翻訳する時は、映像の中のことがSFではなく、実際に起きていることなのだと意識して字幕をつけていただけると、とてもいいものになるんじゃないかと思います。難民となった人たちのセリフは、生きるか死ぬかを懸けている人間の声です。その重さを、感じながら作っていただきたいです。
 
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今城大輔(いまじょう・だいすけ) ●’73年東京生まれ。国際NGO事務局職員、映画配給会社勤務を経て、’09年よりUNHCR難民映画祭を担当。
 
第10回UNHCR難民映画祭
http://unhcr.refugeefilm.org/2015/
 

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https://www.jvta.net/?p=2504