ベルギーの大学生が“ニチコネ”で字幕翻訳の成果を発表! JVTA Meets PIA Film Festival: Shorts 開催レポート
長編、短編、インディーズ作品など幅広いジャンルの作品が上映される世界最大級の日本映画祭、第19回「ニッポン・コネクション」が6月2日に閉幕しました。JVTAは開催地・独フランクフルトに赴き映画祭に密着。見えたのは、日本の映像コンテンツを愛するドイツの観客と、映像作品で日本を伝えるクリエーターたちの思いが日英映像翻訳を介して響き合う姿でした。
5月31日に開催されたのは、“JVTA Meets PIA Film Festival: Shorts” 。JVTAが海外大学字幕プロジェクト(GUSP)でベルギー・ゲント大学の学生らと共に英語字幕を作った『限界突破応援団』と『ある日本の絵描き少年』(ともにぴあフィルムフェスティバル(PFF)上映作品)の成果発表会です。会場には字幕を手がけた学生たちの代表3人と、PFFディレクターの荒木啓子氏も駆けつけました。イベントの様子を写真で振り返ります。
<上映作品>
限界突破応援団
あらすじ:
三年生と二年生が1人ずつしかいない「舞蹴高校応援団」。今後の活動は、3人の新入生に懸かっているが、バイトやバンドの練習で応援団の活動に参加しないくせ者ぞろい。その中でひとり、シドウには「応援王」と呼ばれる男ジンクを超えるという野望があった――。
翻訳STORY:
世界でも類を見ない日本の「応援団」という文化。翻訳を始めた当初は、日本のコンテンツが大好きな学生たちの間でも知る人はほとんどいませんでした。学生たちは作品解釈力や登場人物の生の感情を表現するような言葉のトーンやニュアンスの表現力を磨き、作品の世界観を伝える英語字幕を作りあげました。
●英語字幕ができるまで――海外大学字幕プロジェクト『限界突破応援団』
http://www.jvtacademy.com/GUSP/2018_Ghent.php?id=no6
ある日本の絵描き少年
あらすじ:
幼い頃から絵を描くことが好きな少年・シンジは、自然と漫画家を目指すようになる。小学生になると、同じく絵が好きだが覆面レスラーばかり描く不思議な少年・マサルと出会い、家族ぐるみで付き合うほどの親友になる。しかし学年があがると共に、環境も変わり二人は徐々に疎遠になっていく。その後もシンジは変わらず漫画家を目指し、美大に進学、賞に入選、アシスタントを経てやがて大きなチャンスをつかむが…。
翻訳STORY:
『ある日本の絵描き少年』に英語字幕を付けたのは、かつて「海外大学字幕プロジェクト」に参加したゲント大学の学生たち。映像翻訳のスキルを身につけたプロジェクトの修了生たちが、短期間で仕上げました。
本作で求められるのは作品解釈力やターゲット言語表現力に加えて、作品の背景にある「漫画家の世界」。“絵描き”として日本で働くことのリアルを知る必要がありました。
<イベントの様子>
会場は日本映画が大好きな観客でいっぱいに
ベルギーからドイツまでやってきたゲント大学の学生たち。これから彼らが英語字幕を付けた両作品が上映されます。ちょっと緊張!?
担当のプログラミングスタッフが作品の背景や、学生たちが字幕を手がけたことを解説します
上映後は荒木氏が作品の解説を。また、学生たちが字幕を付けるにあたって気をつけたことなどをQ&Aセッションを通して伝えました
Q&Aセッション
<今回のプロジェクトで字幕を作って、一番難しかったことは何ですか?>
●まず思いつくのが、文字数制限です。時には長いセリフも、短い文字数の中に収めなくてはなりませんでした。でも、楽しかったです。
<このプロジェクトで一番楽しかったことは何ですか?>
●実践的な日本語学習がとても面白かったです。通常、日本語は教科書で学びますが、今回は映画から。作品の文化やコンテクストを理解し、登場人物の感情をヨーロッパのオーディエンスに正しく伝えなくてはなりません。私にとっては素晴らしい学びでした。
<実際に観客に観てもらってどうでしたか?>
●最初は勉強のために字幕なしでこの作品を観ていたので、こうやって劇場で、字幕付きで上映されるのが不思議な感じでした。でも、会場の皆さんに楽しんでもらえて、今は嬉しい気持ちです。
荒木氏の作品解説も交えたQ&Aセッションの後、学生たちは観客の拍手に包まれ、イベントは幕を閉じました。映画と、日英映像翻訳で伝わったさまざまな“NIPPON”。それはドイツや、日本の未来を変える力に、すでになっているのかもしれません。
●「ニッポン・コネクション」公式サイト
https://www.nipponconnection.com/nc-2019-japanese.html
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