字幕もアートの一部 第13回恵比寿映像祭「映像の気持ち」が開催中!
恵比寿映像祭は、展示や上映だけでなく、インスタレーション、トーク・セッションなどさまざまなジャンルの作品を集めた“映像とアートの国際フェスティバル”です。13回目を迎える今年のテーマは、「映像の気持ち」。「動画」であるということ、に焦点をあて、映像の楽しみ方を広げるテーマを掲げています。JVTAは字幕翻訳で毎年参加しており、今年はアーティストKEIKENの展示作品の映像2作品の字幕を修了生の阪東真実さんとアンドリューアーサ奈津実さんが手がけました。アートの翻訳についてお二人にお話を聞きました。
《拡張されたメークアップ講座》「拡張された共感IGTV第2話」2020年
Augmented Makeup tutorial, Augmented Empathy IGTV, episode 2., 2020
Commissioned by FACT Liverpool. Supported using public funding by Arts
Council England and funded by Liverpool City Council.
《拡張されたメークアップ講座》
日本語字幕担当 修了生・阪東真実さん
AR(拡張現実)の技術を扱った作品です。私は、人の顔にかけるエフェクトといえばただ面白おかしいだけのものと思っていたのですが、この作品を制作したアーティストユニットKEIKENは、この技術に社会的な意義を見いだしています。そこが、この映像が普通の講座ビデオではなく芸術作品であるゆえんでしょう。映像尺の大半はエフェクトを自分で制作する方法の解説に割かれていますが、作品を理解する鍵は別のところにあります。KEIKENのエフェクトはインスタグラムにありますので、ぜひ皆さんもその世界観を体験してみてください。
《メタヴァース:何かの終わりわれらはいる》
日本語字幕担当 修了生・アンドリューアーサ 奈津実さん
本作品は、約30分の尺の中でセリフは1分少々、それ以外は文字情報ばかりという独特なアート作品です。そのため字幕制作においても、普段とは違う工夫が求められました。例えば同時に現れる複数の単語の中から訳出するものを絞り込む際は、前後の流れを考慮するのはもちろん、より目に入りやすいものを優先してピックアップしました。この作業がなかなか難しく、映像の見方によって目に入る単語も変わるため、頭を何度もリセットしながら同じシーンを確認し、どれを訳出するかを判断しました。
また訳語自体も、アート作品であることを意識しながら練りました。本作品では終盤のセリフが非常に強いメッセージ性を持ちますが、映像そのものも多くを訴えかけています。鑑賞者が可能な限り映像に集中できるよう、冗長でなく簡潔な訳語とすることをいつも以上に心掛けました。
工夫を凝らして作業したものの、映像内の単語はさまざまな位置に現れ、かつ移動するので、常に横下に表示される字幕では分かりづらい場合もあるのでは…とも思っていたのですが、実際に会場で展示を見て驚きました! 字幕位置は通常通りの横下ですが、映像内の単語の動きに合わせ、字幕が左右にスライドしたり、フェードアウトしたりしていたのです。字幕が映像と一体化し、どれがどの単語を訳したものなのかが大変分かりやすくなっていました。
不思議な映像で紡がれる独特の世界観が見どころの本作品ですが、モーションキャプチャのパフォーマンスを担当したダンスアーティストのサキーマ・クルークの動きや、KHIDJAの音楽も大きな魅力です。特に音楽は自分の好みにドンピシャで、さっそく音楽ストリーミングサービスでKHIDJAをヘビロテしています。新たなアーティストとの出会いも、アート作品ならではの醍醐味です。
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展示KEIKEN 詳細はこちら
https://www.yebizo.com/jp/program/detail/2021-01-19
アートと字幕の融合を見られる貴重な機会、ぜひ、会場でご覧ください。
入場は事前予約制です。詳細はHPをご確認ください。
第13回恵比寿映像祭「映像の気持ち」
2021年2月5日(金)~2月21日(日)[15日間]〈8日(月)、15日(月)休館〉
東京都写真美術館、日仏会館、地域連携各所ほか
入場無料 事前予約制(東京都写真美術館 展示エリア)
※ 上映プログラムは有料
公式サイト:https://www.yebizo.com/jp/
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