大解剖!ニッポン・コネクション2021
1999年、ドイツ。大学で映画学を専攻し、日本文化にも惹かれていた二人の学生が「フランクフルト大学で日本の映画を上映しよう!」と考えた。劇場やテレビで日本映画が流れない90年代後半のドイツでのフィルム調達は難しかったが、計画は徐々に形に。翌年4月、後に“世界最大級”といわれるまでに発展する日本映画祭の第一回が開催された――。
「ニッポン・コネクション」は、長編、短編、インディーズ作品など幅広いジャンルの作品が上映される世界最大の日本映画祭です。21回目を迎える2021年は、6月1日から6月6日までオンライン開催されます。
JVTAは、本映画祭の、日本映画の“掘り出し物”や“原石”と呼べるような作品を特集するNippon Visions Jury Award(ニッポン・ヴィジョンズ審査員賞)のアワード・スポンサーとして参加するほか、日英字幕翻訳のワークショップ、日本映画にまつわるレクチャーなどを通じて映画祭をサポートしています。
日本からおよそ9000km離れたドイツで、今年はどんなプログラムが行われるのか? 上映作品やワークショップ、JVTAが世界のオーディエンスにお届けするコンテンツをご紹介します。2021年のニッポン・コネクションを大解剖!
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今年のニッポン・コネクションの上映プログラムは5部門。それに、講演やワークショップを行う部門「NIPPON CULTURE」が加わります。
日本映画の有名監督や俳優も名を連ねる「ニッポン・シネマ(NIPPON CINEMA)」部門では役所広司演じる元殺人犯が人生の再出発を目指す『すばらしき世界』(西川美和監督)、結婚こそ幸福と考えて相手探しに奔走する女性(門脇麦)と大学を中退して怠惰に生きる女性(水原希子)の人生が交錯する『あのこは貴族』(岨手由貴子監督)が登場。また、日立鉱山の煙害と戦った地元村民たちの実話を映画化した『ある町の高い煙突』は日本からでも、無料で視聴することが可能です。
「NIPPON CULTURE」で、JVTAからは「JLMI Online – Interactive Course For Japanese Learners」を実施。JVTAが運営するJLMI(Japanese Languages and Media Institute)のワークショップで講師のビル・ライリーとアレクサンドラ・プリマックが日本語学習者に向けたレクチャーを行います。
●オンライン・ワークショップ JLMI Online – Interactive Course For Japanese Learners
https://db.nipponconnection.com/ja/event/1089/jlmi-online-interactive-course-for-japanese-learners ※日本では6月5日(土) 21時スタート
また、英語字幕体験ワークショップ「Subtitling-Workshop with Markus Nornes」、オンラインレクチャー「Translating Calligraphy」ではJVTAの映像翻訳セミナーでも教壇に立った阿部・マーク・ノーネスさんを迎えます。
●オンライン・ワークショップ Subtitling-Workshop
https://db.nipponconnection.com/ja/event/1104/subtitling-workshop- ※開催終了
●ONLINE LECTURE Translating Calligraphy
https://db.nipponconnection.com/en/event/1106/translating-calligraphy ※日本では6月6日(日) 深夜0時スタート
※いずれも日本からの参加も可能
「ニッポン・アニメーション(NIPPON ANIMATION)」部門では『音楽』(岩井澤健治監督)を上映。同作はカナダで開催された第43回オタワ国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門でグランプリを受賞した作品で、字幕翻訳はJVTA修了生が手掛けました。「ニッポン・ビジョンズ(NIPPON VISIONS)」部門では日本に出稼ぎに来たベトナム人女性たちの覚悟と生き様を描く『海辺の彼女たち』(藤元明緒監督)、『佐々木、イン、マイマイン』(内山拓也監督)も海外のオーディエンスに届けられます。
同「ニッポン・ビジョンズ(NIPPON VISIONS)」部門・『JVTA Meets PIA Film Festival: Shorts』内の『タヌキ計画』(チェ・ユシン監督)、『アスタースクールデイズ』(稲田百音監督)2作品は海外大学字幕プロジェクト(GUSP)を通じてベルギー・ゲント大学とドイツ・ハインリッヒ・ハイネ大学の学生らがJVTAと共に英語字幕を作りました。ほか、ドキュメンタリー作品に特化した「ニッポン・ドックス(NIPPON DOCS)」部門では、JVTAのイベントや課外講座でも登壇したイアン・トーマス・アッシュ監督が新作『牛久』を出品します。※『牛久』は日本からの視聴が可能
●JVTA Meets PIA Film Festival: Shorts
https://db.nipponconnection.com/ja/event/1063/jvta-meets-pia-film-festival-shorts
【GUSPでの学生たちの字幕翻訳の様子は、JVTAの特設サイトで見ることができるhttp://www.jvtacademy.com/GUSP/】
●THOMAS ASH 牛久
https://db.nipponconnection.com/ja/event/1079/ushiku
●映画祭プログラム部門長 フロリアン・ヘアさんコメント
「2000年から始まったニッポン・コネクションは、日本映画を扱う世界最大級のプラットフォームになりました。毎年、100作品近い短編や長編映画を、フランクフルトにある私たちの会場で上映し、1万7,000人近い来場者がいます。講演やワークショップ、パフォーマンスなど、幅広い文化的なプログラムも用意しています。ドイツ人の観客たちに日本映画、日本文化に総合的に触れる機会と、日本人アーティストや映画製作者と対話できる機会を設けることについて、継続的に取り組んでいます」。
フロリアンさんのインタビュー全文は→こちら
●「ニッポン・コネクション」公式サイト
https://nipponconnection.com/ja/start/