<セミナーレポート>英語学習者から映像翻訳の学習者まで、幅広い参加者が「英語でのアウトプット」のコツを学ぶ
2021年も、JVTAは「言葉を学ぶこと」が大好きな方に“特別なレッスン”を提案する「JVTA ONLINE サマースクール」を実施。映像翻訳をはじめとした言葉のプロが思う“こんな授業があったらいいのに”を1レッスン完結型の授業にし、7月26日から8月30日までの期間に15講座を開催している。
今回は「ロサンゼルス在住通訳者が教える英語力アップ法〜通訳メソッドを使って英語脳を鍛える~」と、「英語字幕 ワードチョイスのコツ~プロに学ぶ表現力アップの近道~」のレポートをお届けします。
アメリカで長年活躍する通訳者がいまも実践する3つのトレーニングを紹介◆
「使える英語を習得するには耳と口を鍛える!」。7月31日(土)に開催したセミナー「ロサンゼルス在住の通訳者が教える英語力アップ法〜通訳メソッドを使って英語脳を鍛える~」はディッキンソン佐恵子講師のその一言からスタートした。
■通訳トレーニングで、アウトプットがスムーズに!
シャドーイング、リプロダクション、パラフレージングは通訳トレーニングには欠かせない学習方法だ。ディッキンソン講師は日系企業の社内通訳・翻訳者として20年以上のキャリアを持っているが、今でもこのトレーニングは続けている。このトレーニングを継続することで、英語が口をついて出てくるようになると言う。効果はそれだけではない。シャドーイングによって英語のイントネーションや正しい発音が身につき、相手に伝わりやすくなる。加えてリスニング力が上がり、伝える力を磨けるのもこのトレーニングのメリットだ。
■プロの通訳者の指導でコツを掴む
講座の後半では、実際にシャドーイングとリプロダクションを参加者が体験。あるドラマのワンシーンが流れ、参加者はゆっくりとした速度のセリフを聞き、すぐに同じようにアウトプットしていく。指名されて不安そうな参加者にディッキンソン講師は「これは難しいからできなくて当たり前。気にしなくていいですよ」と励ます。英語以外の学習の場でも、「間違えたら恥ずかしい」「完璧にやらないと」と思い、しり込みする人が多いが、大切なのは、失敗を恐れず、学びを得ようという意欲だ。
■英語学習に欠かせない「3ゾク」とは?
セミナーの最後は、ディッキンソン講師が英語学習に必要な3つの「ゾク」を紹介。「継続」「連続」「ゾクゾク」だ。日常のルーティンに組み込み「継続」を目指す。シャドーイングとリプロダクションで「連続」した音の流れを覚える。そして、「ゾクゾク、ワクワク」する素材を使って楽しみながらトレーニングをする。その3つを意識して行うことがスキルアップの近道なのだ。
参加者たちにはぜひこのトレーニングを続けて、「筋肉」をつけていってもらいたい。
英語表現の増やし方と選び方を集中的に学べた90分
8月2日(月)に「JVTAオンラインサマースクール2021」の一環として、「英語字幕 ワードチョイスのコツ~プロに学ぶ表現力アップの近道~」を開催。37名が参加した。
■一回の完結型授業スタイルで開催
講師は、本校の講師で日英講座開発プロデューサーでもあるジェシー・ナス。通常の日英翻訳講座のいわばスピンオフともいえる1レッスン完結型授業として、英語の言葉選びのコツについて集中的に指導した。
■「月がきれいですね」を例文にテクニックを伝える
日英映像翻訳の字幕作りにおいて陥りがちなのが、最初に思いついた訳から離れることができず、さまざまな表現の中からベストなものを選ぶ判断が自分でつきにくいという問題。そこで前半では、英語教師をしていた頃の夏目漱石が「I love you」を「月がきれいですね」と訳した逸話を紹介しつつ、同文を例にして表現にバリエーションを出すテクニックを複数示していった。また、そのバリエーションの中から一番ふさわしい表現を選ぶ際に考慮すべきポイントについても資料を使いながら説明した。
■実践を通して一番適した表現の選び方を学ぶ
後半は、事前に参加者に配布した前課題を使い、実践を通して学びを深めていくスタイル。前半に説明したストラテジーをもとに、ドラマの中のセリフをどう訳していけばいいのか、参加者が制作した字幕をみながら確認していった。例えば「恋愛をすることは」のセリフを「Being in love is~」と訳すのと、「Love is~」や「Dating is~」と訳すのではどれが最も適しているのかを考える際、話者のキャラクターを反映できるものを選ぶのもストラテジーの一つだと示した。
■プロのクオリティの字幕に近づけるコツとは?
参加者の字幕をみていく中で気になるワードチョイスがあった際には、字幕を作った当人にその理由を聞く場面も。セリフと字幕のニュアンスが同じであるか、前後の字幕とのつながりがスムーズかどうか、英語を母国語とする視聴者にとってなじみのある表現であるか、といったポイントを挙げつつ、プロのクオリティの字幕に近づけるコツを伝えた。英語表現にこだわり、直訳調の訳文と決別する方法を学べた今回の講座。いつもの授業のような和やかな雰囲気が印象的だった。今後の字幕作りに生かせるポイントが凝縮された、サマスクならではレッスンとなった。
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