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【JVTAが字幕制作で協力】Cinema at Sea – 沖縄環太平洋国際映画祭が2月22日に開幕

【JVTAが字幕制作で協力】Cinema at Sea – 沖縄環太平洋国際映画祭が2月22日に開幕

「Cinema at Sea – 沖縄環太平洋国際映画祭」は2023年11月に沖縄で誕生した映画祭だ。映画祭のテーマ「Cinema at Sea―太平洋、海のまなざし、海を知る」には、海に囲まれた沖縄から海を囲む島々と地域(=環太平洋)で活躍するアーティストとその作品を発信し、海によってつながる新たな文化交流の“環”を広げていきたいという思いが込められている。初回は7日間で37作品を上映し、約2000名が来場。街中の会場でのトークイベントや業界関係者向けの「沖縄環太平洋映画インダストリー」、VR上映などが行われた。

昨年の映画祭の様子

2025年2月、「Boarder/less」をテーマに待望の第2回が開催、JVTAは今回初めて字幕制作で協力し、8作品の日本語字幕を担当、17人の翻訳者が手がけている。

上映作品は、沖縄をはじめ環太平洋地域に浮かぶ島台湾、ニュージーランド、ニューカレドニア、カナダ、アメリカ、マレーシア、韓国、タイ、ペルー、フィリピンなどで制作された49本。今年は、新たに「オキナワパノラマ」部門を設置され、沖縄で製作された作品、沖縄出身監督、そして世界で活躍する沖縄ルーツ映画製作者の新作など、沖縄にゆかりのある沖縄未公開作品も上映される。

★JVTAが字幕を手がけた作品

『ティナー 私たちの歌声』

『年下の男』

『モロカイ・バウンド』

『私たちはデンジャラス』

『呼吸の合間』

『楽園島に囚われて』

『マリの物語』

『四世』

JVTAが字幕を手がけた8作品のうち長編3作品を翻訳担当者のコメントと共に紹介する。

◆『私たちはデンジャラス』ジョセフィン・スチュワート・テ・フィウ監督 

ニュージーランド

© 2024 Piki Island Limited

非行少女更生施設からの脱走を試みたマオリの少女たちは、自由意志を巡る戦いを繰り広げる。

日本語字幕:川瀨綾乃さん 小池千紗さん

「舞台は1950年代のニュージーランド。私の大好きな国です。マオリの女性に対する差別の時代に、『非行少女の更生学校』に入れられた少女たちが、自由を求めて力強く生きる姿が描かれています。一見重たいテーマのようですが、実際は主人公である3人の少女たちの青春冒険ストーリーでもあり、登場するキャラクターはそれぞれ個性豊かで生き生きしています。まさにその“キャラクター個性の描き方”については、口調の統一など翻訳する上で特に気を使いました。リーダー気質のネリー、無邪気なデイジー、温室育ちのルー、そして悪役キャラとして強烈な存在感を放つ施設長。個人的にはその施設長のいじわるっぷりと、“ヴィランVS勇者”の構図にもぜひ、ご注目いただきたいです!」(川瀨綾乃さん)

「この物語で最も強烈なキャラクターは、施設長です。施設長は、『少女たちのため、社会のために正しいことを』という使命感を持つ敬虔な人物ですが、少女たちから見ると悪役です。施設長の口調は、時代と設定が似ている日本の映画を参考にしました。『おやめなさい』『早くなさい』など、『(お)○○なさい』を基本とすることで、厳格な昔の女教師らしい口調にすることができました。

字幕作りで工夫が必要だったのは、地図を1カ所ずつ指し示しながら説明をするシーンです。直訳だと、『食堂はここ』『古い校舎はここで、こことこことここに宿泊小屋がある』ですが、大変読みにくいですよね(笑)。しかし、話者は『ここ』と言いながら地図を指し示しているため、『ここ』を省くと動きと合わなくなってしまいます。そこで、地図に書かれた方位に着目しました。出来上がった字幕は、『食堂はここ』『南に古い校舎がある』『宿泊小屋は北側だ』となりました。これで読みにくさが解消されましたし、地図を指し示す動きともピッタリ合う自然な字幕になりました。セリフの中に『北』や『南』という表現はありませんでしたが、JVTAで、『映像翻訳は映像も訳す』と教わった経験が大変役に立ちました。」(小池千紗さん)

詳細・上映スケジュールはこちら

◆『呼吸の合間」ユーチー・カン監督 カナダ

記録破りのフリーダイバー、ジェシー・ルーの姿を追ったドキュメンタリー。

日本語字幕:近藤希実さん、志波明子さん鈴木綾子さん

「映像にとても力がある作品です。明るく穏やかな浅い海の美しさに魅せられたかと思うと、フリーダイバーが挑む水深90mや100mは光もあまり届かないような冷たい世界。私はスキューバダイビングをするのですが、タンクを背負ってもそんな深さに潜ったことはなく、身一つで孤独な暗闇に下りていくフリーダイバーはなんて強靭な精神を持っているのだろうと驚かされました。主人公のジェシーが危機に瀕するシーンでは呼吸を止めて見入ってしまいました。(他の翻訳担当のお二人も同じだったそうです。)一方で、この作品は監督自身ももう一人の主人公と言えます。同じ年頃で似たルーツを持つ女性2人の間に起こる化学反応にもハラハラ…。フリーダイビングを描いているので専門用語も出てきますが、「ブラックアウト(失神)」や選手が浮上した際に審判に示す「アイム オーケー」というサインなど独特の言い回しを残しつつも難しくなりすぎないよう、また、人間関係のドラマの邪魔にならないよう、バランスには皆で気を配りました。奥深いフリーダイビングの世界を、この作品を入り口にぜひのぞいてみてほしいと思います。」(近藤希実さん)

「フリーダイビングに関する作品の翻訳にあたり、いろいろな資料や映像を見たのですが、調べれば調べるほど、いかにこの競技に携わる人々が命を危険にさらしながらも限界に挑戦しているかを知ることになりました。深海に挑むシーンでは、観ている私も呼吸を止めて浮上するのを見守っていました。字幕はほとんどないシーンではありますが、ぜひ観ていただきたいです。

主人公のジェシーの口調はチームで話し合ったポイントの一つです。私が担当したパートはあまり明るい話題ではなくカジュアルな感じはなじまないかなと思い、少し重い口調に訳しましたが、他の方のパートもそれに合わせると逆に重たすぎる印象にもなるとのこと。最終的にはあえて統一せず、それぞれの場面に合うトーンにする方向を選びました。また、話者の話し方が比較的ゆっくりなため、ハコの切り方は試行錯誤し、流れを乱さないよう心がけました。(志波明子さん)

とにかく引き込まれます。美しい海の映像はもちろんですが、実際のフリーダイビング大会の映像は、そのリアルな現場から緊迫した様子が手に取るように伝わってきて思わず息を止めて見入ってしまいます。フリーダイビングは選手だけでなく、彼らを支えるセーフティーなど、みんなが命がけで取り組んでいる究極のメンタルスポーツだということがわかるすばらしい作品でした。実は、私は小さい頃に溺れた経験があり水が苦手なので、ディープダイブの魅力を完全に理解するのは難しいですが、その反面、あこがれもあり海の中を楽しそうに泳ぐジェシーの映像を見てうらやましくもなりました。魚のように海を自由自在に泳ぐ美しい彼女の映像は必見です。私自身は水が苦手で泳げないので、ジェシーがディープダイブをしている時の感覚について語る場面は、わかりやすく訳せるか不安でしたが、他のフリーダイバーの方のインタビューを読んだり、フリーダイビングについての記事を読んだりして想像を膨らませました。自分の訳を通してジェシーの想いが伝わっているとうれしいです。(鈴木綾子さん)

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◆『ティナー 私たちの歌声』ミキ・マガシヴァ監督 ニュージーランド

Tu Fa’atasi Films

クライストチャーチ地震で娘を失い悲しみにくれるマレタは、非常勤の音楽教師として働くことになる。

日本語字幕:片岡暁子さん、毛利恵里さん

「私が担当した前半では、主人公のマレタは新しく勤める学校で合唱を教えることになるのですが、サモアの言葉やダンスを取り入れた独特の指導をします。軽快なリズム感を字幕にも出せるように言葉遣いやハコ切りを意識しました。また、少し生意気な生徒たちにマレタが手を焼く様子はとても面白いです。愛情を持って接しながらも、皮肉には皮肉で応戦したり、時には一喝したり、時にはぼやいたりと、つい笑ってしまう場面も多いので、マレタの親しみやすいキャラクターが伝わると嬉しいです。」(片岡暁子さん)

「本作は個人的にとても感情移入しやすく、どんどん訳したくなりましたが、原文の意味や物語の背景をきちんと理解した上で、適切な日本語で表現するように努めました。こだわったのは、登場人物の性格や人間関係を訳文に反映させることです。特に主人公は、母であり教育者であり、大きな愛情と厳しさを合わせ持つ人物なので、言葉遣いでキャラがブレないように注意しました。思わず笑ってしまうようなセリフや言葉遊びは、いかにテンポよく分かりやすい日本語に変換するか、あれこれ考えるのがとても楽しかったです。」(毛利恵里さん)

詳細・上映スケジュールはこちら

第2回を迎え、ますます注目を集める同映画祭。沖縄で環太平洋を題材にした各国の名作に出会えるこの機会をどうぞお見逃しなく。

◆Cinema at Sea – 沖縄環太平洋国際映画祭

2025年2月22日(土)〜3月2日(日)

那覇市ぶんかテンブス館テンブスホール、桜坂劇場、

沖縄県立博物館・美術館

公式サイト:https://www.cinema-at-sea.com/

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