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デンマーク発のダークな感動作『アダムズ・アップル』 字幕は修了生の原田りえさん

デンマーク発のダークな感動作『アダムズ・アップル』 字幕は修了生の原田りえさん

デンマーク発の予測不能なヒューマンドラマ『アダムズ・アップル』が10月19日(土)から劇場公開されます! この作品は、2005年に製作。2006年には本国デンマークのアカデミー賞にあたるロバート賞で作品賞、脚本賞、特殊効果/ 照明賞を受賞しました。日本では2017年の「トーキョーノーザンライツフェスティバル」で初上映、そこでの絶賛を受け、満を持しての劇場公開となります。この作品の日本語字幕を修了生の原田りえさん、デンマーク語の資料翻訳やコラム執筆を修了生の上村遼子さんが担当しています。
Adams Æbler
© 2005 M&M Adams Apples ApS.

 
物語の舞台は田舎町の教会。庭にはりんごの木が立っています。ある日、仮釈放されたスキンヘッドの男、アダムが更生プログラムの一環として送り込まれます。迎え入れた牧師のイヴァンに、「ここで取り組むべき目標は?」と問われ、とっさに「デカいアップルケーキを焼く」と答えるアダム。この教会には、中東系移民のカリドやメタボ男のグナーも暮らしているのですが、アルコールや暴力が横行し、何か不穏な空気が漂っています。さらに極端なポジティブ・シンキングで包容力がありそうなイヴァンも実は個人的には悲惨な問題を抱えているよう…。一つ屋根の下にクセのある登場人物たちが集まったその先に待ち受ける、驚愕の事態とは….。
Adams Æbler
© 2005 M&M Adams Apples ApS.

 
主役のイヴァンを演じるのは、“北欧の至宝”と評されるマッツ・ミケルセン。主演のデンマーク映画『偽りなき者』では第65回カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞した実力派です。さらに、ハリウッド映画『007 カジノ・ロワイヤル』で悪役ル・シッフル、ドラマ『ハンニバル』では人食い殺人鬼レクターを演じ、世界でも人気を集めています。『アダムズ・アップル』でも物語の核となる存在として、ミステリアスで強烈な印象を放っています。
Adams Æbler
© 2005 M&M Adams Apples ApS.

今回の劇場公開にあたり、この作品に惚れこんだ修了生の原田りえさんが新たに字幕を翻訳したとのこと。原田さんにお話を聞きました。

 
修了生・原田りえさん(日本語字幕を担当)
JVTAを修了後、英語・フランス語・スペイン語・ポルトガル語の翻訳者として多くの劇場公開作品を手がける。主な翻訳作品は、『第三夫人と髪飾り』(公開中)『永遠に僕のもの』(公開中)『誰もがそれを知っている』『たかが世界の終わり』『Mommy/マミー』『ショート・ターム』『シンプル・シモン』『光のノスタルジア』『真珠のボタン』など。

 
JVTA 原田さんが惹きつけられたという、この作品の魅力を教えてください。
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© 2005 M&M Adams Apples ApS.

 
原田りえさん(以下、原田さん) “まともな人”が1人も出てこないところです。できれば目を背けたいほど残酷な現実を、ブラックユーモアにあふれた独自の切り口で描き出し、本当の希望や幸せとは何かを深く考えさせられる作品です。

 
JVTA 教会が舞台ということもあり、宗教的な暗示も多く、調べものなども大変だったと思います。調べものや字幕づくりのポイントを教えてください。
Adams Æbler
© 2005 M&M Adams Apples ApS.

 
原田さん マッツ・ミケルセン演じる牧師イヴァンは、旧約聖書の「ヨブ記」の主人公のように、次々と不条理な試練に見舞われます。今回は「ヨブ記」や「創世記」について、NHK Eテレ「100分de名著/旧約聖書」の指南役も務められた千葉大学の加藤隆教授のご意見を伺うことができたことで、資料やネットの情報だけでは得られない多くの発見がありました。専門家の意見を聞くことによって作品への理解がより深まり、それが字幕にも生きてくると思います。

 
JVTA 観客の皆さんに“ここは注目してほしい”という字幕やポイントがあれば教えてください。
Adams Æbler
© 2005 M&M Adams Apples ApS.

 
原田さん ビージーズの大ヒット曲をイギリスのバンド、テイク・ザットがカバーした「How Deep Is Your Love」の歌詞の字幕です。カーステレオから流れ出すラブソングが、イヴァンのさまざまな想いと重なり合う大好きなシーンです。

 
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時には過激なシーンやセリフもありますが、本当の幸せとは何か? 奇跡は起こるのか? などをさまざまなテーマについて考えさせられる異色の感動作です。ぜひ、劇場でご覧ください。

 
映画 『アダムズ・アップル』
10月19日より、新宿シネマカリテほかにて全国順次公開
© 2005 M&M Adams Apples ApS.
配給・宣伝:アダムズ・アップルLLP
https://www.adamsapples-movie.com/

 
※原田さんが字幕を手がけた劇場公開作品(2019年~2020年)
『誰もがそれを知っている』(原語はスペイン語)
https://longride.jp/everybodyknows/
『永遠に僕のもの』(原語はスペイン語)※公開中
https://gaga.ne.jp/eiennibokunomono/
『第三夫人と髪飾り』※公開中
http://crest-inter.co.jp/daisanfujin/
『私の知らないわたしの素顔』(原語はフランス語)*2020年1月公開
http://watashinosugao.com/

 
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