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JVTA修了生 今井祥子さんがベルリン国際映画祭に国際審査員として参加!(前編)

JVTA修了生 今井祥子さんがベルリン国際映画祭に国際審査員として参加!(前編)

ベルリン国際映画祭は「世界三大映画祭」の一つとして、世界中が注目する一大イベントです。そんな華々しい舞台に今年、JVTA修了生の今井祥子さんがテディ賞の国際審査員として参加してきました! テディ賞は、セクシュアル・マイノリティを題材にした作品に与えられる賞。今井さんはJVTAを修了後、レインボー・リール東京~東京国際レズビアン&ゲイ映画祭の運営に10年以上携わっており、作品の翻訳だけでなく、プログラマーとして上映作品の選定や映画会社との交渉、素材の輸入、字幕制作や完パケ制作などにも関わってきました。映像翻訳者としても、映画『湖の見知らぬ男』(2013年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門で監督賞を受賞)や『ウィークエンド』、テレビドラマ『Lの世界』などの話題作の日本語字幕を手がけています。今回は、帰国後の今井さんにインタビューを敢行! 審査員に選ばれた経緯や熱気あふれる現地の様子を伺います。今井さんが現地で撮影してきてくれた写真と共にお楽しみください!
 

◆まずはテディ賞とは何かを教えてください。
 

今井祥子さん(以下今井さん) テディ賞とは、ベルリン国際映画祭(以下「ベルリナーレ」)のラインナップの中のLGBTをテーマとする優れた作品に与えられる独立賞です。映画祭の審査員とは独立した審査員によって選ばれます。1987年に創設され、昨年30周年を迎えました。過去の受賞作品には『セルロイド・クローゼット』『ショー・ミー・ラヴ』『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』『焼け石に水』『キッズ・オールライト』などがあります。受賞作品、候補作品の多くがレインボー・リール東京で上映されています。

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ベルリナーレのメイン会場、Berlinale Palast。おなじみのクマのロゴがお出迎え

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レッドカーペットの脇には見物人が(しかし私たちは残念ながらスターを目撃できず…)

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授賞式の最後には受賞者も司会者もパフォーマーも審査員もステージの上に大集合
 

◆レインボー・リール東京は今年26回目を迎える歴史ある映画祭で、JVTAも字幕制作でサポートしています。今井さんも運営に長く関わっていますね。今回、審査員に選ばれたのは、やはりそのご経験からでしょうね。

チラシ - コピー
2016年の第25回から東京国際レズビアン&ゲイ映画祭からレインボー・リール東京に改名
 

今井さん テディ賞の審査員には毎年、世界各地のLGBT映画祭のディレクターやプログラマーが選ばれます。今年はアメリカ、フィンランド、デンマーク、トルコ、ウガンダ、ドイツ、そして日本の私の7名。私はこれまでベルリナーレとは何の接点もなかったので、まさか自分が選ばれるとは思っておらず、ある日「あなたをテディ賞の審査員としてベルリナーレに招待します」というメールが届いた時には驚きすぎてスパムではないかと思ったくらいです(笑)。自分に審査員という大役が務まるのかという不安も大きかったですが、一生に一度のチャンスだと思って「行きますっ!」と即答しました。
 

※テディ賞審査員として公式サイトに今井さんが紹介されています。
http://blog.teddyaward.tv/en/2017/01/04/2017-teddy-jury/
 

◆現地の雰囲気はいかがでしたか?
 

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上映会場のCinemaxX(シネコン)

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上映会場のCineStar(シネコン)のあるソニー・センター

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上映会場のKino International。旧東ドイツ時代のレトロな建物

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上映会場のZoo Palast
 

今井さん ベルリナーレはカンヌ、ヴェネツィアと並ぶ世界三大映画祭の一つなので手の届かない世界のようなイメージがありました。でも実際に行ってみると、とても市民に開かれた映画祭でした。駅や街頭はベルリナーレのポスターだらけで市全体で盛り上がっていましたね。会場も最新鋭のシネコンからクラシックな劇場までさまざまで、建築を見るのも毎日の楽しみでした。一般のお客さんも普通にチケットを買って見に来るので、日本のみなさんも旅行でベルリンに来たついでに映画祭に参加することもできますよ。

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Arkadenの中にある一般客用のチケット売り場。長蛇の列ができることも
 

◆審査員として現地で大変だったことはありますか?
 

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ポツダム広場にあるショッピングモールのArkadenの前にもクマ
 

今井さん 1日3~4本の作品を鑑賞したのですが、最初の数日は時差ボケで上映中に起きているだけでも精いっぱいでした。ベルリナーレの会場はポツダム広場を中心として市内に点在しているので、電車やタクシーでの移動が多く、意外と体力を消耗しましたね。

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Berlinle Palastで行われたオープニングレセプションの様子
 

さらに上映の合間にレセプションやパーティーにも出席するので、なかなかのハードスケジュール。特にテディ賞の審査員は他のどの審査員よりも多くの作品を観るので、人に「テディ賞の審査員です」と言うと、決まって「ああ、大変だね…」という反応でした(笑)。
 

◆ただ作品を楽しむだけでなく審査員として見るのですから、責任も重大ですよね。でも憧れのベルリナーレ、楽しかったことや嬉しかったことも沢山あったのでは?
 

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オープニングレセプションにて審査員仲間と
 

今井さん 楽しかったのは、人との交流ですね。世界中の映画人が集まる場なので、久しぶりに海外のプログラマーや映画監督の友人と再会したり、映画祭のスタッフやインターンのみなさんと仲良くなったり。審査員仲間とも10日間一緒に過ごす間に、映画の話からお互いの国の話まであらゆることを語り合い、すっかり家族のようになりました。

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上映後のQ&Aの様子。こちらは私のお気に入り作品『God’s Own Country』のスタッフとキャスト
 

うれしかったのは、以前『トガリネズミの巣穴』(劇場公開時タイトル『ネスト』)というスペイン映画の字幕翻訳をしたのですが、その主演女優のマカレナ・ゴメスさんとカロリーナ・バングさんがある上映で目の前に座っていたこと! あまりの美しさに圧倒されて話しかけることなど到底できませんでしたが、「ああ、いつも家に引きこもって翻訳をしているけど、私の世界とスクリーンの向こうの世界はつながっているのだ…」と感動しました。
 

◆それはベルリナーレならではですね! 映像翻訳者が確かに映画の世界と繋がっていると実感できた瞬間、羨ましいです!
 

後編は、いよいよ受賞式の様子に迫ります!
お楽しみに!
 

後編はこちら
https://www.jvta.net/tyo/berlin2017-report2/