IP(知的財産)を海外へ展開するなら まずは「グローバル・スタンダート」を知ることからはじめよう
ライセンスビジネスは、アニメ、絵本、小説、映画などのコンテンツや、ブランド、キャラクター、ファッション、スポーツ、アートなど、幅広いIP(知的財産)が対象となる。IPの所有者が他の企業にその使用を許諾し、商品化やプロモーションに活用される。許諾先の業界も多岐にわたり、うまく動かしていくには、専門的な知識やスキルが必要となるビジネスだ。
日本におけるライセンスビジネスは、以前は海外のブランドや有名キャラクターを国内で展開するのが主流だった。しかし、近年では世界中に日本のコンテンツのファンが増え、補助金の制度が確立されてきたことも後押しとなり、海外展開に挑戦する企業が増えている。
「最近では、日本から海外に営業をかける機会が増えており、まずどのように始めたらよいかご相談を受ける機会も多くなりました。展示会などを活用しながら、手探りで挑戦している企業が多いのも現状です。」と語るのはライセンシングインターナショナルジャパンのゼネラルマネージャー兼専務理事を務める田中香織氏だ。2022年1月15日(土)から開講する「海外を市場にするための知財(IP)戦略セミナー 最低限知っておくべき4つのファクター」で第1回「実践・ブランディング&ライセンスビジネス」の講師として登壇する。25年の間、ライセンスビジネスに深く関わってきた田中氏に業界の変化とこれから求められる人材について話を伺った。
◆キャリアの出発点はファッション・ビジネス
大学卒業後、アパレルメーカーに就職し、百貨店やファッションビルなどの店舗の営業を担当しました。何年か夢中で過ぎていきましたが、すでに出来上がっているファッション商品の販売だけでなく、海外のファッションブランドを長期的に展開していく仕事につきたいと考えるようになり、商社系の企画コンサルティング会社に転職。それがブランドライセンスの仕事に携わった始まりでした。海外のファッションブランドを日本の市場に合わせて展開案を作成し、様々なカテゴリーの商品分野にライセンス営業を行うのが主な仕事でした。その後、出産を機に、フルタイム勤務が難しくなり、柔軟に働ける仕事を模索していた頃、ライセンシングインターナショナルジャパン(旧 LIMAジャパン)の代表の方から後任として引き継いでもらえないかと声をかけていただきました。現在はライセンスビジネスに様々な形で関わる幅広い企業の皆さまに対して、専門的な情報の提供、ビジネスサポートやセミナーの実施、またネットワーキングイベントの運営やライセンス専門展示会などへの協力など、全般的にたずさわっています。
ライセンシングインターナショナルの公式ウェブサイト
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※ライセンス・ビジネスのこれまでとこれからを語ってくれた田中香織氏
◆実は変化に強いのが、IPビジネス
ライセンスビジネスには、市場のニーズを正しくつかみ、想像力を働かせることで、新しいビジネスが生み出される可能性が秘められています。時代に合わせてIPのライセンス展開方法を変えることができるのです。一例として、森に住んでいる有名なある動物キャラクターについてご紹介します。そのキャラクターは、そのかわいらしさや仲間たちとの心温まるストーリーが人気のポイントです。しかし自然や環境をテーマにした商品のシンボルになるよう、キャラクターがもともと持っている設定や世界観などから価値を抽出し、再構成することで、現在求められているSDGsやサステナビリティに関連する商品分野へのライセンスに成功しています。また、医師や博士という設定のアニメやコミックの登場人物は、新型コロナウイルスを分かりやすく解説するキャラクターとして引っ張りだこになっています。ライセンサーやプロのライセンスエージェントが時代に合わせて展開方法を更新していくことで、IPは活性化され、価値が高まる。そして長寿化につながり、ブランド化していくのです。
また、コロナ禍に見舞われたこの2年間、多くの商品やサービスが売上を落とす一方で、マスクなどのコロナ対策関連、インテリア、食品関係、ゲーム、配信、家庭用品など、コロナ禍だからこそ需要が伸びた分野も多くあります。そのような変化をいち早く察知し、商品化に活用していただけるようIPを再構築して提案する。1つの商品を改良しながら売リ続けるのと同じように、時代に合わせてIPの本来持っている価値を引き出し、運用していくところにも面白さがあると思います。
◆グローバル・スタンダートを知ることが最初の一歩
ライセンスビジネスに限ったことではありませんが、一般的にもグローバルにビジネスを進めるにあたり、その業界のグローバル・スタンダードを知っておいたほうが合理的です。知らずに飛び込むと、商談が始まってから準備することで時機を逃したり、相手に主導権を取られてしまい、思うように進められなくなる可能性が高くなります。専門用語はもちろんですが、商慣習や市場性、ターゲットの特性も加味しながら、自社のIPを売り込みつつ、ビジネスパートナーとの信頼関係を構築していくことが重要です。1月15日のセミナーでは、これから皆さまが、海外の市場に向けて、コンテンツなどのIPを使ったライセンスビジネスに挑戦されるために、知っておいていただきたい基礎知識を整理してお伝えします。
田中香織さんが講師を務める講座
Day1:2022年1月15日(土)10:30~12:00
「実践・ブランディング&ライセンスビジネス」
講師:田中香織氏(⼀般社団法⼈ライセンシングインターナショナルジャパン ゼネラルマネージャー ・専務理事)
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※その他の講座の詳細は▶こちら
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