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【オンライン配信とウェビナー開催】LGBTQの歴史を変えたドキュメンタリー映画『CURED』の日本語字幕をJVTAが担当

【オンライン配信とウェビナー開催】LGBTQの歴史を変えたドキュメンタリー映画『CURED』の日本語字幕をJVTAが担当

皆さんは、1973年以前の米国で、すべてのゲイやレズビアンを病気とみなし、治療が必要だと考えられていたことをご存じだろうか? 

 
ドキュメンタリー映画『CURED』は、このような社会の中で、同性愛を精神病とすることをアメリカ精神医学会(APA)が定めたマニュアルから削除するための活動を続けた人々を5年にわたり取材した貴重な記録だ。同作は2023年10月28日(土)〜11月6日(月)にオンラインで無料配信される。日本語字幕を手掛けたのはJVTA修了生の大野かほりさんだ。LGBTQ関連の作品を担当したのは初めてという大野さんは、同性愛者だと分かると逮捕されたり、仕事を奪われたりするなど、今では考えられないような当時の環境に驚いたという。

 
「作品中に同性愛の治療法として電気ショックやロボトミー手術が挙げられていましたが、翻訳にあたりいろいろ調べていくうちに、その実態に衝撃を受けました。手術の方法や術後の患者の変貌ぶりなど、知れば知るほど恐ろしくなり、こんなことが実際に行われていたのかと身震いがしました」(大野さん)

 
同作では当時実際に差別を受けたり、権利を守るために自ら反対運動を起こしたりした多くの人々の証言で構成されている。こうした作品の場合、それぞれの名前や職業などをその都度表示しながら、セリフも同時に表示させる必要があるため、縦字幕と横字幕の両方を駆使しなければならない。また、当時の報道の紙面やデモ行進のプラカードや街頭の張り紙といった文字情報も訳出する必要がある。

 
「翻訳するうえで苦労したのは、画面の文字情報の多さです。字幕とテロップを入れるとどうしても文字が多くなり、視聴者が短い時間で理解するのが大変なので、なるべくシンプルで分かりやすい表現を心掛けました。LGBTQについて知らなかったことも多く、1時間とは思えないほど濃い内容で苦労しながらも私自身、大変勉強になりました。」(大野さん)

 
作品の冒頭では、差別的な場面が多く、日本語字幕でもあえてきつめの言葉を使った箇所もある。やがて当事者たちの証言や活動を追うに従って言葉の選び方も変わってきたという。アメリカ精神医学会(APA)の医師の発言などもあり、医学的な専門用語が多いのもこの作品の特徴だ。

 
「当時の厳しい環境にも負けず、自分たちが苦しんだからこそ、子供たちには同じ思いをさせたくないと立ち上がった活動家の皆さんの勇気と行動力は素晴らしいと思います。最初は偏見や差別に苦しむ様子に心を痛め、権力に立ち向かう彼らの奮闘ぶりに興奮し、最終的に勝利をつかんで喜ぶ人々を見て感動しました。1人では無理でも、同じ思いを抱く仲間が集まれば、どんなことも成し遂げられるのだと勇気づけられた気がします。字幕では全体のこうした流れの中で、言葉を使い分けることも意識しました。タイトルにも使われている『CURED』という表現の訳にも工夫をしています。」(大野さん)

 
映画『CURED』は、在札幌米国総領事館・北海道大学DEI推進本部共催による無料オンライン配信で観ることができる。また、11月7日のウェビナーでは共同監督:パトリック・サモン氏とベネット・シンガー氏のコメント映像が紹介される(字幕は大野さん)。さらに、日米のLGBTQ文化に詳しいジャーナリストの北丸雄二氏と、トランスジェンダーであることを公表している北海道議会議員の渕上綾子氏、北海道の同性婚訴訟の弁護を担当する弁護士、須田布美子氏が登壇し、映画の感想、日米のLGBTQコミュニティ、文化や市民権運動の比較などを語る予定だ。

 
「人を愛することはステキなことだし、そういう相手と出会えることは幸せなことだと思います。この作品を通してLGBTQについて深く知ることで、偏見をなくし、誰もが堂々と好きな人と一緒にいられる世界になることを願います。」(大野さん)

 
LGBTQの権利獲得運動における重要な転換点ともなった知られざる功績を讃えた作品を観ることができる貴重な機会、ぜひ多くの方にご覧いただきたい。
 

※画像を拡大して詳細をみる(クリック)

 

◆在札幌米国総領事館・北海道大学DEI推進本部共催
ドキュメンタリー映画「CURED」無料視聴とウェビナー
映画 CURED に学ぶ
 
“CURED” 公式サイト: https://www.cureddocumentary.com/(英語)
 
無料視聴期間: 2023年10月28日〜11月6日
ウェビナー: 2023年11月7日(火) 17:30-18:30
映画は日本語字幕付き、上映時間約60分
ウェビナーの言語は日本語のみ。
視聴、ウェビナー参加ともに申し込みはこちら
https://bit.ly/cured_202311
※視聴のためのリンクとパスワードが登録したメールアドレスに10月28日に送られます。