【修了生の原田りえさんが字幕を担当】アカデミー賞助演女優賞と歌曲賞を受賞の『エミリア・ぺレス』が劇場公開

世界各国の映画祭で大きな話題を集めた『エミリア・ぺレス』がいよいよ3月28日から
日本で劇場公開される。
「サスペンス×アクション×ミュージカル×ヒューマンドラマ」という独創的でジャンルを超えた傑作を生み出したのは、フランスを代表する映像作家、ジャック・オーディアール。72歳にして挑んだ意欲作だ。自分らしく生きるために共に道を切り開いていく4人の女性を軸に展開するこの作品は、第77 回カンヌ国際映画祭で女優賞を4 人のアンサンブルで受賞という快挙を達成。またアカデミー賞では最多12部門13ノミネートで助演女優賞(ゾーイ・サルダナ)、歌曲賞(「El Mal」)を受賞、ゴールデングローブ賞でも主題歌賞をはじめ最多4部門受賞と、世界の賞レースで119受賞237ノミネートを成し遂げる(2025年3月3日時点)という快進撃を続けている。

この作品の日本語字幕を手がけたのが、JVTA修了生の原田りえさんだ。原田さんは、多言語(英語・フランス語・スペイン語・ポルトガル語)のスキルを駆使して、多くの映画やドラマの字幕翻訳で活躍。手がけた作品は、『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』(フランス語)や『たかが世界の終わり』(フランス語)、『マイ・バッハ 不屈のピアニスト』(ポルトガル語)、『ほの蒼き瞳』(英語)、『永遠に僕のもの』(スペイン語)など多岐にわたる。今回の『エミリア・ぺレス』はオリジナルのスペイン語から翻訳した。
「“たとえ傷ついても自分らしく生きていく”と決意した女性たちの闘いが、メキシコを舞台にパワフルに繰り広げられます。磨き抜かれた演技力と歌唱力、そしてダンサーとしての高い表現力を併せ持つ、ゾーイ・サルダナの役者魂とパフォーマンスに圧倒されます。男性社会で苦しみ続けてきた女性の葛藤と、腐敗した権力者への爆発的な怒りが伝わる字幕になるように、言葉を吟味しました。トランスジェンダー女優カルラ・ソフィア・ガスコンは、麻薬王マニタスと女性に生まれ変わったエミリアを、見事なまでに演じ分けています。麻薬王のパートでは、中南米の麻薬戦争を描いたドラマ『ナルコス』の字幕を5シーズン手がけた経験を生かし、凄みとカリスマ性を感じさせる表現を意識しました。」(原田りえさん)
この作品の大きな特徴はミュージカルというスタイルだ。音楽はフランスの国民的シンガー、カミーユとクレモン・デュコルが担当している。カルラ・ソフィア・ガスコンとゾーイ・サルダナが共演する「El Mal」やセレーナ・ゴメスが歌う「Mi Camino」などは必見。歌で物語を伝えていくのは字幕翻訳の中でもさらにスキルを問われるが、常に厳しい字幕制限の中で言葉を紡ぐ映像翻訳者にとっては腕の見せどころでもある。


「セリフの字幕もそうですが、歌詞の字幕では特にファースト・インプレッションを大切にして、頭で考えすぎず、最初に感じたイメージとパワーを言葉に落とし込むように心がけています。
『エミリア・ぺレス』はアカデミー賞では歌曲賞受賞のほか、作曲賞にもノミネートされました。あっという間に物語の世界観に引き込む、冒頭の見事な音楽構成が心を深く揺さぶります。「Mi Camino」はセレーナ・ゴメスにぴったりのポップスで、私もつい口ずさんでしまうほど気に入っています。また、エンドロールでは劇中歌のフルバージョンが流れます。作品のメインテーマにつながる、その歌詞にもぜひ注目していただきたいです。」(原田りえさん)
原田さんはこれまでもシンガーソングライターのシーアのポップ・ミュージック・ムービー『ライフ・ウィズ・ミュージック』の字幕なども手がけており、経験豊富。ぜひ歌のシーンの字幕にも注目してほしい。

劇場公開に先立ち、3月21日(金)には、横浜フランス映画祭2025で上映が決定。(ジャック・オーディアール監督が来日して舞台登壇も予定されている。
詳細はこちら
◆『エミリア・ペレス』
監督・脚本:ジャック・オーディアール
出演:ゾーイ・サルダナ、カルラ・ソフィア・ガスコン、セレーナ・ゴメス
原題:EmiliaPeréz|2024年|フランス|スペイン語|カラー|シネスコ|5.1ch|133分|字幕翻訳:原田りえ <G>
配給:ギャガGAGA★
© 2024 PAGE 114 – WHY NOT PRODUCTIONS – PATHÉ FILMS – FRANCE 2 CINÉMA
3月28日(金)新宿ピカデリーほか全国公開
https://gaga.ne.jp/emiliaperez/
【鎌倉市川喜多映画記念館にて、原田さんが字幕翻訳を手がけた映画が限定上映! 】

原田さんは2024年、スペイン映画界の巨匠、ビクトル・エリセ監督の『瞳をとじて』の字幕翻訳を手がけた。この作品が、鎌倉市川喜多映画記念館で開催中の【企画展】「映画字幕翻訳の仕事 ──1秒4文字の魔術」で上映される。
「元映画監督のミゲルは、撮影中に失踪した俳優フリオを捜す旅を通して、自分自身の過去の痛みと向き合うことになります。エリセ監督の不朽の名作『ミツバチのささやき』のアナ・トレントがフリオの娘アナを演じ、映画の中の年月と現実の時の流れが折り重なっていく。まさに“映画の奇跡”が起きる瞬間を、ぜひ川喜多映画記念館のスクリーンで味わってください。」(原田りえさん)
こちらもどうぞお見逃しなく。
※原田さんは3月29日(土) 13:00からの上映とトークイベントに登壇(チケットは完売)。
◆【企画展】「映画字幕翻訳の仕事 ──1秒4文字の魔術」
鎌倉市川喜多映画記念館にて3月30日まで開催中
チラシのダウンロードはこちら ※上映スケジュールなどが掲載されています。
【関連記事】

【修了生の原田りえさんが字幕】『ミツバチのささやき』の巨匠ビクトル・エリセ監督の31 年ぶりの長編『瞳をとじて』が劇場公開

◆【2025年4月期は4月第3週より随時開講!】
各種学校説明会を随時開催!
英日&日英の字幕翻訳体験つきイベントや、約1時間でJVTAの詳細が分かるイベントなどを随時開催しています。